JR在来線 Index
JR北海道
・789系交流専用特急電車
詳細仕様
平成14年12月1日の東北新幹線盛岡〜八戸間開業に合わせて「スーパー白鳥」として函館〜八戸間に投入された交流専用特急電車。函館〜青森間の「海峡」を置き換えるもので、函館〜青森間を1時間58分(40分短縮)、函館〜八戸間を3時間10分で結ぶ。函館と東京間は新幹線と乗り継いで最速5時間58分で、6時間を切る。
同年8月までに23両が新製され、函館運転所に配置された。基本編成は2両ユニット+3両ユニットの5両(3M2T、定員277人)で、増結編成3両(2M1T、188人)を加えると8両編成になる。
特急の運転開始に伴い、青森〜函館間の快速「海峡」は直通特急に格上げされる形で廃止され、「海峡」用の14系、50系客車も廃車。

外見は貫通型の高運転台など「スーパーおおぞら」と似ているが、出入口ドアの高気密化などによるトンネル内での客室内騒音防止対策、バラストの跳ね上げによる窓ガラス破損を防止するための複層ガラスとポリカーボネイト板をユニット化したポリカガードや車両床下機器への着雪を低減するための床下機器フルカバーの採用など、寒冷降雪地帯や通年温度約20℃、湿度90%以上で連続12‰の上り又は下りの連続勾配を有する青函トンネルなど走行する線区にあわせた諸対策を実施している。
車体は軽量ステンレス構造で、主要寸法は長さ21.3(連結面)m、幅2.8m、高さ3.59。回転リクライニングシートでピッチ960mm。
3レベルPWMコンバータ+2レベルPWMインバータによるVVVFインバータ制御(ベクトル制御、IPM、IEGT、1C2M2群)。3相かご形誘導電動機、出力230kW、ギア比3.96。TD継手。
電力回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ。応荷重、T車遅れ込め制御、滑走再粘着制御、抑速ブレーキ制御付き。基礎ブレーキは両抱き式でT台車には抑速あるいは回生失効の際の踏面ブレーキによる車輪温度上昇防止のため1軸に1枚のディスクブレーキを装備している。
軸はり式ボルスタレス台車。固定軸距2100mm、車輪径は810mmと小さい。シングルアームパンタグラフで、すり板は焼結合金すり板+固形潤滑剤。
運転所での車輪削正時等構内入れ換えに使用するため、ユニットの運転台の反対側車端に電話室、車両室を活用して簡易運転台を設けている。
保安装置は中小国〜木古内間は青函ATC、他はATSとなっている。
最高速度140km/h(設計最高速度は青函ATCの照査速度を考慮して145km/h/s。最長26kmの12‰上り勾配区間でも最高速度走行可能)。
起動加速度2.5km/h/s(0〜70km/h。)(青函以外は地上設備の制約から1.8km/h/s)。減速度:常用2.5km/h/s、非常(保安)4.7km/h/s。主回路故障によって1M4T相当となった場合でも限流値増スイッチを扱うことによって最大15‰の勾配で起動可能。

・キハ261系特急気動車
平成12年春の宗谷線(旭川−名寄間)高速化事業完成に合わせ札幌〜稚内間に3月11日のダイヤ改正から登場した特急気動車。愛称名公募の結果、「スーパー宗谷」と決定。札幌〜稚内間を4時間57分で結び、現昼行急行4往復を全て特急化した。この内2往復がスーパー宗谷。
通勤形201系気動車をベースに、デンマーク国鉄と共同作業でアコモデーションを特急化した4両編成の高性能かつ低コスト車両。軽量ステンレス21.3m長車体で耐寒耐雪機能強化、編成中央部に簡易運転台を設けて2両ずつに分割可能。
電子式のヨーレートジャイロと加速度センサでカーブを検知し、台車の空気ばねを利用して車体を傾ける車体傾斜制御装置(最大3度)を備える。
460PS機関を1両に2台(3号車は1台)搭載し、変速1段直結4段の変速機で2軸駆動。車輪径は小径の810mm。最高速度130km/h。
・キハ283系特急気動車
平成9年3月22日、「スーパーおおぞら」として札幌〜釧路間営業運転開始(同区間3時間40分)。軽量ステンレス21.3m長車体で、基本6両、付属2〜3両編成を併結し最大11両。ベアリングガイド式制御付き振子車両で、355PS機関を
1両に2台搭載し、変速1段・直結4段で最高速度130km/h運転を行う最新主力特急気動車。「スーパー北斗」にも使用。
281系に対して耐寒耐雪機能の強化、振子角度増(5度を6度に)、軸箱リンク式操舵機能付台車への変更等を行った。
・キハ281系特急気動車
平成6年3月1日、「スーパー北斗」として、札幌〜函館間営業運転開始(同区間2時間59分、表定速度106.8km/h)。軽量ステンレス21.3m長車体で、7両(7M)基本編成。ベアリングガイド式制御付き振子のゴム軸バネ式ボルスタレス台車。振子角5度。355PS機関を1両に2台搭載し、最高速度130km/h運転の主力特急気動車。
・785系特急電車
平成2年9月1日に「スーパーホワイトアロー」として登場、札幌〜旭川間を1時間20分で走る。交流20,000V、50Hz。
軽量ステンレス製21.3m長2900幅車体の基本4両(2M2T)、増結2両(1M1T)編成でピーク時には6両編成で走る。MT1ユニット方式。
発電ブレーキ付(抵抗器は屋根上)電気指令空気ブレーキで在来線初のPWMコンバータ+交流VVVFインバータ制御(1C4M)。ウイングゴム式ボルスタレス台車。車輪径860mm。190kW誘導電動機、ギア比4.21。
起動加速度2.0km/h/s、最高速度130km/h。
・731系交流通勤電車
平成8年12月24日営業運転を開始した、客室仕切のない21m長ステンレス車体の全ロングシート3両固定編成で、キハ201通勤気動車と併結運転可能。和式便所付。
回生ブレーキ付きVVVF制御(IGBT、1C2M)、1本リンク軸はり式ボルスタレス台車で低床化のため車輪径810mm。通勤形ながら最高速度130km/h運転を行う。
・キハ201系気動車
平成9年3月22日営業運転を開始した、客室仕切のない21m長ステンレス車体全ロングシート3両固定編成で、小樽以遠の非電化区間から乗り換えなしで札幌直通運転を行う。電化区間では731系交流通勤電車と併結運転。
1両に450PSエンジン2台搭載し、通勤気動車ながら130km/h運転を行う。パッシブ強制制御で2度傾斜する車体傾斜機能を持たせている。
JR東日本
・E657系交直流特急電車
平成24年3月17日のダイヤ改正から常磐線に登場したE651系「スーパーひたち」、E653系「フレッシュひたち」に継ぐ第3世代の常磐線交直流特急電車で、平成24年春から秋にかけて16編成160両を上野-いわき間に投入、年度末までには既存のE651系、E653系を全てこの電車に置き換える。なお、いわき〜仙台間(原発事故等で久ノ浜-亘理間は不通なので除く)は現行のE653系で運転し、いわき駅では同一ホームで乗換えができるようにする。
車体はわずかに赤みがかった白を基調に窓下には紅梅のラインを入れ、水戸の「白梅・紅梅」を表現している。デザインのテーマは「Dynamic&Smooth」。
10両固定編成(6M4T)で、E656(M2)+E657(M1)4ユニットと1両のグリーン車を含む4両の付随車から構成される。車体はアルミニウム合金のダブルスキン構造。
編成定員は600人(グリーン車30人、普通車570人)。座席間隔は普通車960mm、グリーン車1,160mmで普通車の座席はE653系に比べて50mm拡大している。
最高速度はそれまでと同様の130km/hで、制御方式はVVVFインバータ制御(1C2M)。
この新型特急電車は平成9年10月に登場したE653から15年を経て登場した電車であり、この間の技術進歩や生活様式の変化等を反映して次のような改良を取り入れている。
・ 先頭車とグリーン車には新幹線E2系や「成田エクスプレス」用E259系で採用されているフルアクティブサスペンションを搭載し、更に全車に車体間ダンパーを装備して走行中の振動や前後の動揺、ヨーイングを抑制して乗り心地の向上。
・ 各座席にはパソコンを置くことが可能なテーブルとコンセントを設置し、WiMAXを利用したブロードバンド環境も整備してビジネスユースへの対応。車内案内表示器にはフルカラーLED式を採用し、行き先・停車駅案内等のほか、列車運行情報やニュースなどを配信した利便性の向上。
・ 改良型ハンドルの電動車いす対応大型トイレ、タウンカート対応の多目的室をグリーン車に設置するなどユニバーサルデザインを意識した車内設備の充実。なお、AED(自動体外式除細動器)を1編成に1台設置している。
・ 出入り口には防犯カメラを、客室とすべてのトイレ内には非常通話装置を設け、セキュリティーの向上。
・ 主要機器や保安装置は2重系化して、安定輸送の確保。なお、補助電源となる静止形インバーター(SIV)は1台故障してもサービスダウンすることはない。
号車 |
1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 | 5号車 |
6号車 | 7号車 | 8号車 | 9号車 | 10号車 |
車種 | クモハE656-0 T'C | モハE657-200 M1 | モハ656-200 M2 | サハ657-0 T1 | サロE657-0 Ts | モハE657-100 M1 | モハE656-100 M2 | モハE657-0 M1 | モハE656-0 M2 | クハE657-0 Tc |
・E259系特急電車「成田エクスプレス」
平成3年3月に成田エクスプレス(東京-成田空港駅79.2km他)として投入された253系「N'EX」の老朽化や成田空港の増強に対応するため投入された二代目「N'EX」で、E233系に採用した新しい技術を採用している。
平成21年4月以降22年6月までに22編成132両が製造され、全ての253系と置き換わるが、平成21年10月1日から現行ダイヤの一部を253系からE259に置き換える形で営業運転を開始した(8編成)。
車両のデザインは白をベースに赤、黒を使った253系のイメージを踏襲しているが、運転台は高運転台となり、貫通扉のホロふたには「N'EX」のロゴが入って先頭のイメージはかなり変わっている。
253系では3両が1つの編成単位となっていたが、E259では6両編成を基本とし、併結して12両編成でも運転するため乗客の車内移動を考慮して貫通構造となっている。
車体はアルミ合金製ダブルスキン構造で、車体寸法は長さ20m(連結面)、幅2.946m、高さ3.655mで、床面高さは50cm低い1,140mmとなっている。
車端部妻面にはE257系と同様の車端ヨーダンパを設け、さらに各車両間には車体間ダンパ(ショックアブソーバー)を、先頭車には新幹線E2系・E3系で採用されている空気圧式のフルアクティブサスペンションを搭載し、乗り心地の向上を図った。
基本6両(4M2T)固定編成で定員は290名(うち、G車28名)。全車禁煙で両先頭車に通常のトイレ、6号車には多目的トイレがある。シートピッチは253系と同一の1,020(G:1,160)mmである。
6号車には多目的室と車内販売準備室を設置した。多目的室は車椅子に乗ったままで入室が可能なように、出入口の寸法を1,230mmと広くとった。また、室内の折りたたみ椅子は、倒すとベッドとして使用することも可能である。
←東京
号車 | 1号車 | 2号車 |
3号車 | 4号車 | 5号車 | 6号車 |
車種 | TC' | M' | M
| M'-500 | M-500 | TSC |
定員 | 40人 | 56人 | 56人 | 56人 |
54人 | 28人 |
空車重量 | 38.4t | 38.0t | 36.5t |
38.0t | 37.0t | 38.9t |
普通車には2箇所に、グリーン車には1箇所に側扉があり、幅は935mm(有効開口幅926mm)である。
荷物棚はE257系と比較して高さを40mm下げ、荷物を載せやすいように配慮した。253系とは異なり、蓋は設けられていない。
各座席とも可動式のヘッドレストを装備し、側肘掛先端にはノートパソコンや携帯電話の充電などに利用することを考慮したパーソナルコンセントを設けた。座席裏側には折りたたみ式テーブルと網製のシートバックポケットを設けたが、G車はスライド式、普通車は背面テーブルの位置を見直ししている。
客室端部の通路上には17インチワイド液晶ディスプレイを左右に2面設置し、列車の行き先や停車駅案内のみならず、成田空港発のフライトインフォメーションや首都圏各線の運行情報などを日本語、英語、中国語、韓国語の4か国語で表示を行う。また、運転台に設置したカメラから前面展望の風景を映すことも可能とした。
客室内は天井を床面から2,305mmと可能な限り高くとり、空調・排気用のダクトは天井には設けていないため車内情報表示器を設置した場所でも床面から2,030mmの高さを確保している。
客室端部の出入台側には、253系と同様に大型の荷物置き場を設置した。荷物置き場と客室の間には仕切りを設けているが、仕切り扉は設けていないため、客室内から荷物置き場を直接目視することが可能である。荷物置き場は3段になっており、下段にはスーツケースを縦置きに、中段にはスーツケースを横置きに収納することが可能な寸法が確保されている。また、乗客自身が操作するダイヤル式ワイヤ錠を、グリーン車の荷物置き場には24個、普通車では荷物置き場1箇所につき16個(1両で32個)設置し、荷物室天井には防犯監視カメラを設置することで、さらなるセキュリティの向上が図られている。
VVVFインバータ制御(1C4M2群 2レベル IGBT 定速運転制御付き(40km/h以上) ベクトル制御)。140kW誘導電動機。ギア比96/17:5.65。
回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(編成ブレーキ力制御、空転滑走防止制御 抑速ブレーキ 耐雪ブレーキ 保安用の直通予備ブレーキ)
台車はヨーダンパ付き軸はり式ボルスタレス台車で、先頭車両には、新幹線で採用した空圧式フルアクティブサスペンションを採用した。
基礎ブレーキは踏面片押しブレーキ、付随車は踏面片押しブレーキとディスクブレーキの併用で、付随車の台車には駐車ブレーキが付いている。
パンタグラフはシングルアーム式を3号車に1台、5号車に2台搭載しているが、2台のうち4号車側の1台は予備である。パンタグラフの折り畳み高さは地上から3,980mmとして、中央東線などの小トンネル区間への入線も可能である。
屋根上にWiMAXのアンテナを設置しており、車内のWiMAX送受信機を通じて無線LANアクセスポイントに接続、車内で公衆無線LANサービス(BBモバイルポイント(ソフトバンクテレコム)、UQ
Wi-Fi(UQコミュニケーションズ)の2サービスに対応)を利用可能にしている(プロバイダとの契約が必要)。平成22年2月からはこのWiMAX設備を前述の液晶案内装置へのデータ伝送にも利用(デジタルサイネージ)する予定となっている。
最高速度130km/h。起動加速度2.0km/h/s、減速度5.2km/h/s。
・キハE200形ハイブリッド気動車
平成17年7月31日から小海線(小渕沢-小諸間)で営業運転を開始したJR東日本の車両としては初(世界でも初)のハイブリッド気動車。
定格331kW(450PS)総排気量15.24リットル4サイクル直列6気筒横形直噴式ディーゼルエンジン駆動の発電機と屋根上に置かれた7.6kWhリチウムイオン蓄電池2群を組み合わせて1時間定格95kWのMT78誘導電動機2個を駆動する(台車は1M1T)電気方式の気動車である。

ハイブリッドシステムは右図のような構成になっており、制御装置の直流中間回路にバッテリーが接続され充放電する。
方式は電動機のみで駆動し、エンジンでは駆動しないシリーズハイブリッドシステムとなっており、自動車のようにエンジンと電動機を組み合わせて駆動するパラレル方式とは異なっている。
最高運転速度は100km/hで、上り25‰での均衡速度は60km/hとなっており、小海線で使用している現行のキハ110系気動車と同等の引張力特性である。
両運転台の軽量ステンレス拡幅車体で基本寸法は長さ20.0m(連結面)、幅2.92m、高さ3.62m。基本編成1両、定員117(座席46)名で、8両まで連結した運用が可能である。
1,010mm幅片開き側引戸2扉車で、中央部に片側2列及び1列のクロスシートをもつセミクロスシート方式。側窓は上部下降窓と固定窓を組み合わせ、ガラスは熱線吸収率を向上したものを使用してブラインドカーテンを省略した。
床面高さはキハ110に比べ45mm低くして1,130mmとしたが、小海線はホーム高さ920mmの客車ホームであるため従来の205mmから45mm減ったものの160mmのステップは残っている。
JR東日本では、「環境負荷低減」などのコンセプトのもと、新しい動力システムであるハイブリッドシステムを搭載した試験気動車(キヤE991形「NEトレイン」)を製作し、平成15年5月から走行性能や省エネルギー効果等の確認を進めていた。
その結果、効果等の確認が出来たことから先行営業車3両を新造し、営業運転に投入したもので、今後、営業運転時における各種データの確認を約2年間行い、量産車を検討していくことになっている。
コンセプトは、
○環境に優しい車両(環境負荷の低減)
・ |
ハイブリッドシステムにより、ブレーキ時の回生エネルギーを蓄電池充電に利用、キハ110系よりも燃料消費率を約10%(最大約20%)低減。駅停車時等にはエンジンを停止し、騒音を低減(約30dB) |
・ |
発電用ディーゼルエンジンには最新の排ガス対策エンジン(コモンレール式ディーゼルエンジン)を採用し、ハイブリッドシステム効果と合わせて、排気中の窒素酸化物(NOx)、黒鉛などの粒子状物質(PM:Particulate
Matter)の約60%低減。 |
○人に優しい車両
・ | 床面高さを低くしてステップとの段差を縮小(△45o)。 |
・ | 優先席部の吊手高さの変更(一般高さ1.630mmに対し△50o)や腰掛幅の拡大(ロングシート部+20 oの460mm)。 |
・ | 車いすスペースと自動ドア付大型車椅子対応トイレ(真空式汚物処理装置)。 |
○メンテナンス軽減
・ | 主電動機、制御装置、空調などの機器を最近の通勤電車と共通化を図り、メンテナンスの軽減。 |
となっている。
ハイブリッドシステムの動作は次の通りで、これらの動作は自動的に行われる。
停車中 | : |
燃費向上と騒音防止のためエンジン発電を中止する。蓄電量が低下した場合はエンジン発電して充電する。 |
発車時 | : |
発車直後(約30km/hまで)は蓄電池の充電電力のみで電動機を駆動し、エンジンは停止している。 |
加速時 | : | エンジン発電によって不足する出力を補足する。 |
ブレーキ時 | : |
エンジン発電は停止。電動機を発電機として利用して発生した回生電力で蓄電池を充電する。 |
抑速運転時 | : |
エンジン発電を停止して回生電力を蓄電池に吸収する。蓄電量が充電限界に達した場合はエンジンブレーキで回生電力を吸収して過充電を防止する |
台車は電動台車がDT75、付随台車がTR260形式となっており、軸はり式ボルスタレス台車、軸距2100mm、車輪径860mmで、セラミック噴射装置を第1、4軸に、固定タイプのフランジ塗油装置を3軸(T台車)に取り付けている。
機関は定格331kW(450PS)総排気量15.24リットル4サイクル直列6気筒横形直噴式ディーゼルエンジンDMF15HZB-G(ターボ、アフタークーラ付き)で燃料噴射系に高圧電子制御システムを持つコモンレール式でクリーンな排出ガスと低騒音化を実現した。これと直結された主発電機はDM113(270kW)である。
主回路の制御方式は2レベルPWMコンバータ・インバータで、補助電源装置は主変換装置と一体でその直流中間回路を共通とする2レベルPWMインバータ方式となっている。
蓄電池は軽量高出力なリチウム電池で、平坦な1駅区間5km程度を走行できる電力量を持っており、不具合が生じた場合の冗長性を考慮して2群構成になっている。
ブレーキ方式は回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(遅れ込め制御、応荷重・滑走再粘着機能付き)、直通予備ブレーキ、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキで機械ブレーキはユニット式の踏面ブレーキとなっている。
最高速度:100km/h 起動加速度:2.3km/h/s 減速度:3.5km/h/s(常用、非常)
・E721系一般形交流電車
平成19年3月開業予定であった仙台空港線対応と旧国鉄時代に製造あるいは改造された2扉車の455・457系、717系、417系等の老朽化した旧型電車置換えを目的で製造された交流専用電車。
JR東日本の0番台、500番台と仙台空港鉄道(株)の3系列で下記に示すようにそれぞれ運行開始した。従来の2扉車は老朽化と同時に朝夕のラッシュ時に旅客の乗降に時間がかかるため列車遅延の原因になるなど輸送上の課題となっていた。
車体はステンレス製で、長さ20m(連結面間)、幅2.95m、高さ3.55m(屋根)と最近の電車の標準寸法になっている。更に、従来車にあったステップが無くなり、車両床面とホーム高さがほぼ同じになった。仙台地区のホーム高さはいわゆる客車ホームの920mm(レール面上)であり、在来車が客室床面高さが1180mmなどだったため、それまで車両出入口内側に970mmのステップを設けていた。
しかし、バリアフリーの要請にあわせ、機器の小型化、車輪径を810mmにするなどして、床面高さをレール面上950mmまで下げてフラットな面として段差を最小にした。また、車両とホームの間のすき間が狭くなるように乗降口のくつずりが延長されている。乗務員室の床面は従来車と同じ高さになっており、他車との併結で貫通路を構成する際に客室と段差が生じるため、目立つように黄色い点字が施されている。
仙石線のようなレール面上1100mmのホームのいわゆる電車ホームの線区には運用できない。

クモハE721+クハE720の1M1T2両固定編成で、最大で4編成8両まで併結可能である。片側両開き3扉(1300mm 半自動ドア・ドアチャイム・開閉表示灯付)
乗降扉の開閉ボタンの取り付け位置は従来車より低い位置に改められた。また、閉扉時の戸挟み防止のために、開口10cm程度となった時点で閉扉動作を一旦停止、再閉扉する機構が採用されている。
座席はセミクロスシート方式で、ボックス式クロスシートの座席間隔は1,585mm、ロングシート部分の1人分の座席幅は460mmとなっており、従来車より広い。
0番台車については、2006年12月26日から中央快速線で運用中のE233系と同様に、優先席の部分は床が赤紫色と灰色のツートンカラーに、つり革がオレンジ色になっており、優先席以外の空間との区別が明確にされている。
空調装置には乗車率や車内・車外の温度を検知し、設定基準温度や風量を自動補正する機能が備えられた。
制御方式は3レベルPWMコンバータ・2レベルPWMインバータによるVVVFインバータ制御でブレーキ方式は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ付き)・純電気ブレーキ方式である。
ATS-Psの保安装置、補助電源装置の静止形インバータ(SIV)や主変換装置は二重系構造で、一方が故障しても健全な機器に切り替えることでなるべく運行が続けられるような配慮がなされている。
今後のワンマン運転を想定して、整理券発券器と出入口表示器の準備工事がなされている。そのうち500番台とSAT721系には、仙台空港線でのワンマン運転にあわせて運転台にドア開閉スイッチが設置されている。ただし、同線では駅での料金収受を行っているため、整理券発券器や出入口表示器は準備工事のままになっている。
車椅子スペースや電動車いす対応洋式トイレなど交通弱者対応設備も採用され、自動放送装置は日本語・英語対応となっている。
701系と協調運転、719系と相互に救援が可能で、701系との協調運転の場合、モニタ装置は互換性があるので両車間で機器の動作状況が監視でき、701系の性能、ATSの速度照査パターンに合わせて走行することになる。
最高速度120km/h 加速度2.2km/h/s 減速度4.2km/h/s
[500番台]
平成19年3月18日の仙台空港アクセス鉄道(名取駅〜仙台空港駅)の開業時に同線への直通運転用として投入された。平成18年2月に500番台として1編成が先行製作され、各種試験を経て2次車3編成を増備、4編成8両で営業開始した。
空港アクセス鉄道として大型荷物スペースが設置されているほか、ワンマン運転装置やホーム監視モニタなど空港線特有の設備があることから車両番号が500番台に区分されている。
[SAT721系]
第1種鉄道事業者である第3セクターの仙台空港鉄道(株)も500番台と同一仕様のSAT721系電車を2両編成3本の計6両を投入した。SAT721系電車は運転台周りや側面の装飾帯などは青を基調に黄色の細帯があり、座席表地は赤を基調とするなど配色面で特徴を出している。
E721系500番台とSAT721系は仙台-仙台空港間で共通運用がなされ、同区間を快速で17分で結んでいる。
[0番台]
0番台は3次車として仙台地区で運用されている2扉車の旧型電車置換え用として平成18年9月に第1編成が完成、訓練運転等の後翌年2月1から東北本線(黒磯〜一ノ関間)で、同年3月17日から常磐線(原ノ町〜仙台間)で、4月22日からは仙山線でそれぞれ営業運転を開始した。外部装飾は緑と赤の帯であり、緑と青の帯の500番台車と帯の色が違っている。また、大型荷物スペースは持っていない。
平成19年度初までに39編成78両が導入され、将来的には719、701、721系の3形式に統一される。
・E233系一般形直流電車
平成18年12月26日の豊田駅5時10分発の東京駅行各停から最初の編成で営業運転開始。

首都圏に連続して発生した輸送障害の低減策を策定するためJR東は平成18年5月12日に「首都圏輸送障害対策プロジェクト」を設置、その具体的な方策として7月に地上設備や車両の強化を進めることを決定した。
その結果、平成18年12月頃から翌年度末までに車両の経年が進んでいる中央線の201系710両を置き換えるため688両を新製(総投資額740億円)、中央快速線東京〜高尾・大月、青梅線立川〜奥多摩、八高線拝島〜高麗川、乗入れ区間の富士急行線
大月〜河口湖間に投入された。
10両固定、6両+4両、一部区間6または4両で運用されるため、先頭、側面の表示器にJR東の車両では初めてフルカラーLEDを採用して通勤快速等の列車種別を見やすく表示するようにした。
平成19年秋頃からは京浜東北線・根岸線大宮-大船間にも10両固定編成が投入され、209系830両が置き換えられる。
「故障に強い」、「人(利用者)への優しさ」、「情報案内機能の強化」がコンセプトで、E231系の技術をベースに利用者アンケートなども実施、ユニバーサルデザインやバリアフリーの観点からは、優先席や女性専用車(朝時間帯)の荷棚・吊手高さの変更(50mm低下)、優先席エリアの明確化、腰掛幅の拡大(430mmを460mmへ)、
車内の液晶画面による情報案内の充実(運行情報、ニュースに加え時刻等)、ドア部点字表記や床面高さの低下(ホーム段差80mm→30mm)等を行い、通勤電車では初めて空気清浄器が搭載された。
車両の加減速性能向上による到達時分短縮や車体強度の向上も行なわれ、更に一つが故障しても通常走行が可能なように電気機器や保安装置など主要機器を二重系化して信頼性を向上させ、輸送障害低減を目指した。201系は10両編成の場合6M4Tで、
209系やE231系では4M6Tと電動車比率を下げたが、E233系では電動車割合を再び増加(6M4T)させ、パンタグラフも4両編成でも2台搭載している。 基本編成は6M4Tと4M2T+2M2Tの2タイプがあり、中央線用として固定42編成、分割編成15編成、青梅・五日市線用として6両編成が13編成、4両編成が10編成ある。
1本リンク式軸はり式ボルスタレス台車、1C4M2郡(M車) 2レベルPWMインバータ制御、かご形誘導電動機140kW(1時間定格)
最高速度(性能)120km/h(201系は100km/h)
起動加速度3.0km/h/s。減速度:常用5.0km/h/s、非常5.0km/h/s。
[1000番台]
平成19年12月22日から京浜東北線・根岸線で使用している209系の置き換え用として営業運転に入った。
6M4Tの10両固定編成のみが製造され、H21年度までに870億円を投じて83編成、830両の現行車両をこの1000番台に順次入れ替える。
車齢が若いものの機器の故障が多かった京浜東北線の209系は0番台の半数程度が廃車、それ以外の0番台と500番台は他線へ転用される。
[2000番台]
平成21年9月9日から常磐緩行線(東京メトロ千代田線直通各駅停車)の203系、207系900番台の置き換え用として営業運転に入り、H22年度までに全18編成が投入される。
10両編成で、車体はステンレス製で同一であるが、車体幅を千代田線の車両限界に合わせるため、ストレート車体になっている。前面には非常用貫通路を設置し、メトロに合わせて2号車と9号車に車いすの設置スペースがある。直通運転に対応したATC装置も搭載した。
室内はオールロングシートで、側扉上には17インチワイド液晶画面が設置されており、運行情報などが表示される。
[3000番台]
平成20年3月10日から東海道本線で運用開始。
E217系のVVVFインバータ装置などの機器類更新工事に伴い不足した編成を補充するために製造された。
基本10両+付属5両1本で、基本編成の4・5号車に2階建てグリーン車が連結されている。MT比は基本編成6M4T、付属編成2M3Tで基本編成の電動車比率がE231系近郊タイプよりあがっているが、起動加速度はE231系に合わせ2.3km/h/sに設定されている。
[?000番台]
平成22年夏から京葉線で運用開始予定。
平成23年秋にかけて10両編成21本、4両+6両編成4本の合計25O両を投入し、現在の2O1系、2O5系、2O9系をすべて置き換える。総投資額は約250億円強。
現在運用している2O1系(40両)、2O5系(17O両)、2O9系(5OO番代、40両)は全て置き換えられるが、2O1系と2O5系は廃車、2O9系は武蔵野線へ転用。
車内の各ドア上の液晶画面には運行情報やWiMAXによるニュースなどを配信する。 最高時速120km/h。
・E531系一般形交直流電車
平成17年7月9日のダイヤ改正から常磐線で営業運転を開始したJR東日本の普通電車としては初の最高速度130km/h運転可能な交直流電車。403、415系(1500番台を除く)の老朽化に伴う置き換えと8月24日開業の最高速度130km/h運転のつくばエクスプレス対策として常磐線に投入されたもので、車体寸法、構造等はE231系とほぼ同様である。
基本10両、付属5両の最大15両編成であり、これらを組み合わせて運用する。同日のダイヤ改正では新たに「特別快速」(上野駅〜土浦駅)が誕生し、全列車がこの車両を使用している。
1人あたりの座席幅はE231系より10mm広い460mmとゆったりし、床面高さは35o低い1,130mmとなっているため、ホームとの段差が小さくなっている。
電気式戸閉装置(戸挟み安全機能付き及び半自動機能付き)で片側4扉。回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキで、抑速、直通予備、耐雪ブレーキ付き。
最高速度130km/h運転対応としてヨーダンパ搭載、主電動機は130kW、歯数比6.06。
起動加速度2.5km/h/s。減速度:常用4.2km/h/s、非常4.2km/h/s。
・E257系直流特急電車
平成13年12月1日から投入された中央線特急「あずさ」、「かいじ」用車両で、183系、189系(計154両)置き換え用。「スーパーあずさ」351系より停車駅が多い運用となるので振り子は採用していない。平成14年内に順次増備し、全て置き換え予定。
中空押出し形材を用いたダブルスキンアルミ合金製構体20m長車体の、基本9両(5M4T)、付属2両(1M1T)の11両編成が基本で、分割・併合が可能。定員は11両で678人(普通:650 G車:28人)
車両情報管理装置(TIMS)、全自動空調装置のほか、JR東の在来線では初めてとなるベビーチェア付きトイレ6カ所(1カ所はシート)を採用。喫煙専用フリースペース(9号車)も設けた。
VVVFインバータ制御(IGBT 2レベル 1C4M ベクトル制御)。145kW誘導電動機、ギア比5.65。
軸はり式軽量ボルスタレス台車(1本リンクけん引装置)、シングルアームパンタグラフ。
回生・発電ブレンディングブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(遅れ込め制御)、直通予備ブレーキ、抑速ブレーキ、耐雪ブレーキ、駐車ブレーキ。補助電源容量は210KVA/台。
最高速度130km/h。
・E231系一般形直流電車
平成12年3月に登場した今後の在来線標準となる車両。それまでは211系のような近郊タイプと209系のような通勤タイプを分けてきたが、この車両以降はシート形状、トイレの有無、先頭形状等で違いを出す以外は共通化することで製造コストや保守作業の軽減を図った。
車体は軽量ステンレス製で、寸法は長さ20m(連結面)、幅2.95m、いずれも4扉車(通勤形には5号車に6扉車)で、MT73主電動機出力95kW、ギア比7.07、最高速度120km/hは共通である。
209系950番台をベースに、通勤形(4M6T)を3月11日から中央・総武緩行に30両、近郊形(4M6T+2M3T)を6月21日から宇都宮線に45両投入し、それ以降増備を続けている。
ワンハンドルマスコン、車両情報管理装置(TIMS)、荷重変動にも影響されない加・減速一定制御、全自動空調装置等を採用。
VVVFインバータ制御(IGBT、通勤は3レベル、近郊は2レベル。1C4M2群)、軸はり式軽量ボルスタレス台車でDT61GとTR246系、シングルアームパンタグラフPS33B(10両編成で2基)。
回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、直通予備ブレーキ、耐雪ブレーキ(応荷重・滑走再粘着、駐車ブレーキ付き)。先頭台車に駐車ブレーキを設けて手歯止め作業を省略した。補助電源容量は210KVA/台。
最高速度120km/h(曲線通過+15km)。 起動加速度 2.5km/h/s 減速度4.2km/h/s(常用最大、非常)
平成14年4月下旬から山手線で500番代が営業運転開始。
●E231系編成図(近郊用)●(10両基本編成の場合。付属5両は黒磯、前橋方に付く)(上野、新宿方←→黒磯、前橋方)
号 車 | 1 |
2 | 3 | 4 | 5 |
6 | 7 | 8 | 9 |
10 |
編 成 |  |  |  |  |
 |  |  |  |  |  |
形 式 | Tc' | M' | M |
T | T | T | M' | M | T | Tc |
主要設備 | 洋便(身障) | SIV・CP |
主制御器 | | | 和便 | SIV・CP | 主制御器 |
| |
空車質量t | 28.0 | 28.7 |
28.4 | 22.2 | 22.2 | 22.2 | 28.3 | 28.4 |
22.2 | 26.4 |
座席形式 | セミクロス | セミクロス |
ロング | ロング | ロング | ロング | ロング | ロング |
ロング | ロング |
定員(着席) | 138(40) | 162(60) |
162(54) | 162(54) | 162(54) | 162(54) | 162(54) |
162(54) | 162(54) | 143(39) |
空調装置 |
年間全自動制御。冷房:集中式48.84kW(42,000kcal/h)。暖房:シーズ線ヒータ腰掛下吊下式 |
扉関係 |
開口1300mm幅。戸挟検知(推力強弱変化)。電気式ドアエンジン(近郊:リニアモータ式 通勤:スクリュー軸式) |
表示装置等 | LED式車内案内、行先、運行番号表示装置。対話式非常通報装置。 |
E231系一般形直流電車(Tc') |
 |
・E751系交流特急電車「つがる」
平成12年3月11日のダイヤ改正から東北本線盛岡〜青森間に投入された「スーパーはつかり」用交流専用特急電車で、1日14往復のうち7往復に充当された。最速タイプは途中、八戸、三沢に停車し同区間を1時間58分で結ぶ。
新幹線リレー号として現在使用している老朽化した485系「はつかり」を置き換えるもので、20m長アルミ合金ダブルスキン車体の6両編成(4M2T)3本の18両が投入された。
平成14年12月1日の東北新幹線盛岡−八戸開業後は、八戸〜弘前を結ぶ「つがる」として運用されている。
定員は普通378人、グリーン車16人の合計394人。車椅子利用者用の座席が半室グリーン車の6号車に2席あり、授乳などにも使える多目的ルームも設置されている。
主制御装置はPWMコンバータ+VVVFインバータ(IGBT 各電動車1C2M2組)で、主電動機は145kW誘導電動機。ブレーキ方式は回生併用電気指令式(T車遅れ込め制御)。軸はり式ボルスタレス台車で、ギア比5.65。シングルアームパンタグラフを編成に2基搭載。
最高速度130km/h。
・E26系全二階建て オール個室客車寝台特急列車「カシオペア」
平成11年7月16日(上野発)、17日(札幌発)から、上野〜札幌間に投入されたステンレス製車体全2階建て12両編成、88室で定員176人。1編成しかないので1日おきの運転。1編成の開発製造費用は30億円。それぞれ16時20分に出発し、翌日8時55分に到着。
1、2号車が特A個室寝台(スイート)各4室8人、3号車が食堂車、 4〜11号車がA個室寝台で各10室20人、12号車がラウンジ。
特A個室は一階部分を寝室、二階部分をメゾネットとした2人用で、シャワー、トイレ、洗面台が完備。A個室は居間兼寝室タイプの2人用。6、10号車には共用シャワーが付いている。身障者対応個室、ミニロビー、自動販売機を設置。
情報サービスとして、各個室にテレビを設置し、衛星放送(2チャンネル)、ビデオが見られる。文字ニュースで目的地の天気予報などを提供、全室に朝刊を届ける。食堂車ではフランス料理と懐石料理を準備し、個室に届ける夕食セットもある。
上野−青森間は特別色の交直流電気機関車EF81、青函トンネル内はトンネル専用機ED79、北海道内はブルーのDD51重連が牽引している。
・C57 180号機「SLばんえつ号」
平成11年4月29日から磐越西線新津〜会津若松間で30年ぶりの復活定期運行開始。阿賀野川沿いの景勝地を持つ同区間を大正時代風に改造した12系客車6両を連結して3時間18分で結ぶ。
現役引退後、新津市の小学校に静態保存されていたSLで、土・日曜日、祝日を中心に11月28日まで運転されるが、「SL磐梯・会津路号」の運用もある。
・E653系交直流特急電車 詳細仕様
平成9年10月1日、常磐線の「フレッシュひたち」として7両編成4本が登場。編成ごとに車体外部下部塗装を変えている。
基本7両固定(4M3T)で14両運転も可能。平成10年に4両編成も登場し、11両編成も可能になった。M1M2ユニット方式。グリーン車はない。485系「ひたち」置き換え用。
JR東の在来線としては初めてのアルミ合金製(ダブルスキン構体)20.5m長車体。1本リンク牽引軸はり式ボルスタレス台車。1時間定格145kW
3相かご型誘導電動機、ギア比5.65。PWMコンバータ+VVVF制御(3レベルIGBT 1C4M)。最高速度130km/h。
T車に車椅子スペース、固定用ベルト。男子トイレ併設洋式トイレ。車椅子・ベビーベッド対応トイレ・洗面所。カード式公衆電話。ジュース等の自動販売機。折りたたみベッド、スライド座席付き多目的室。
・E501系交直流通勤形電車
平成7年12月1日に常磐線交流区間の取手以北の輸送力強化等のために投入された209系電車をベースにした交直流通勤電車。軽量ステンレス製20m車体長の基本10両(4M6T)+付属5両(2M3T)の15両編成で、トランスポンダ機能を利用した交直自動切替えができる。
1本リンクけん引軸はり式ボルスタレス台車、ドイツ・シーメンス車の主変換装置を採用、インバータのベクトル制御、空転滑走制御にクリープ制御をJRとして初めて採用した。最高速度は120km/h。
・E217系近郊形電車
平成6年12月3日、総武快速、横須賀線に投入。昭和47年の東京地下駅開業時に投入した近郊形113系1000番台の老朽化に伴い、その後継として製作されたもので、混雑緩和を優先して近郊形ながら初めて4扉構造とした。編成は113系に合わせ基本11両(4M7T)+付属4両(2M2T)の15両編成(6M9T)としているが、軽量ステンレス車体、側窓ガラス、主回路、軸はり式ボルスタレス台車等の基本システムは京浜東北線に投入している209系がベースで、主電動機も同じMT68だが線区条件を考慮し歯数比を6.06としている。走行線区中最も急勾配な東京地下トンネル区間の33.4‰で満車(250%乗車)で1車カット(3M8T)しても起動可能である(高加速ノッチ)。基本編成と付属編成ではMT比が異なるため、加速度を揃えるよう主電動機の負担を変えている。
車体寸法は211系と同一で、全車20m長(連結面)、2.95(2階車:2.9)m幅、3.67(2階:4.07)高であるが、座席配置はロングシート(1人450mmで従来より+20mm)を基本とし、基本編成の千葉方3両に遠距離、観光での使用を考慮してセミクロスシートを設けた。戸閉装置には電気式ドアエンジンを採用し、閉位置手前で物が挟まった場合に閉じる力を弱める戸ばさみ安全機構を持たせている。
グリーンの2両は二階建てで、211系のグリーン車と同じ構造であるが、回転リクライニングシートは片持ち式となった。
台車は209系の台車にヨーダンパを取り付けたDT61B、TR246Bだが、後にヨーダンパは外している。パンタグラフも209系と同じPS28Aを採用している。
VVVFインバータ制御(1C4M)、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、T車遅れ込め制御で台車単位の滑走防止装置を設けている。
先頭車には身障者対応スペースが設けてあり、付属編成千葉方以外にはトイレも付いている。平成9年11月6日以降順次車椅子対応化した。
最高速度120km/h。起動加速度 2.0km/h/s。
・E351系特急電車
平成5年12月1日から中央線「あずさ」で運用開始、平成6年12月3日から、それまでの183系を置き換えて「スーパーあずさ」として本格使用。
鋼製20.7長車体、基本8両(4M4T)、付属4両(2M2T)の12両編成で分併。
発電ブレーキ混用回生ブレーキ付VVVF制御(GTO→IGBT、1C4M)。150kW誘導電動機、ギア比5.15。最高速度130km/h。
円筒案内式ボルスタレス台車。台車−パンタ直結のパンタ偏奇防止機構付きころ式の制御付き振子(5度)。車輪径810mm。菱形→シングルアームパンタ。
・255系特急電車
平成5年7月、房総半島の内、外房線を走る「房総ビューエクスプレス」として登場。JR東日本の特急車両としては初めての回生ブレーキ付VVVF制御(GTO、1C1M)で、それまでの183系置き換え用。
鋼製20.5m長車体9両編成(4M5T)で、現在京葉線から内、外房線に入っている。最高速度130km/h。
ウイングゴム式ボルスタレス台車。95kW誘導電動機、ギア比6.06と出力が小さくギア比は高い。
・209系通勤形電車
平成5年4月10日の東京通勤圏輸送改善ダイヤ改正に合わせて103系通勤電車の取替えも行なわれ、これに伴い京浜東北線に120両、南武線に6両投入されたJR東日本としては初めて本格的なVVVFインバータ制御車となる新世代の標準通勤電車の原型。「寿命半分、価格半分、重量半分」を目標に開発された。平成4年量産先行901系3編成(現900、910、920)を製作、京浜東北線で営業に使いながら各種確認を実施し、この量産車に反映した。
車体は軽量ステンレス製で主要寸法は連結面間長20m(先頭車20.42m:103系は20m)、幅2.8m、高さ3.67mとなっており、編成は京浜東北10両(4M6T)、南武線6両(4M2T)の2種類の編成。ドアエンジンは最初検証が済まなかったので直動空気式としたが後に電気式を採用した。
軸はり式ボルスタレス台車D61、TR246で、台車中心間距離は強度上の最適地13.3mになっている。
VVVF制御(GTO 1C4M)。回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ・直通予備ブレーキ付で応荷重装置、フラット防止機能も付いている。
最高速度110km/h。起動加速度 2.5km/h/s、減速度 3.3km/h/s(非常)。
500番台
平成10年12月29日から老朽化のため車両故障が頻発した103系の置き換え用として最初の9編成が中央・総武緩行線に投入された。当時製造中の総武快速・横須賀線用E217系の車体構造を流用して急遽投入されたため、その後登場した新標準系列E231へ移行するまでの過渡的な車両となっており、170両(10両編成17本)の新製にとどまっている。
主な仕様は0番台と同じだが、車体幅はE217系と同じ2,950mmの幅広車体(103系や0番台より150mm拡大)となった。「幅広車体」といわれたが国鉄時代の昭和61年2月に最初に高崎線に登場した211系電車も3扉の近郊形ながら2,950mmを採用しており、側構体下部を内側に傾斜させて車両限界に抵触しないように最大寸法としたもので、車体長さ19.5m、連結面間距離20mの車両ではこれが最大の幅で、それより広いわけではない。
0番台では台車中心間隔を車体強度上の適値である13.3mとしたが、幅を広くすると車端部が限界を支障するため20m車の標準である13.8mに戻した。先頭車の車体長も中間車と同じ19,500mmに揃えられたが、第1・2ドア間の長さが短くなり、この部分だけ7人掛けから6人掛けとなった。
側面の扉間窓は0番台がすべて固定式だったが、第1・2ドア間(先頭車を除く)と第3・4ドア間にある窓が分割され、車端寄り3分の2が1枚下降窓になっている。行先表示器はLED化された。
平成11年度製の2次車(10編成以降)からパンタグラフがシングルアームのPS33Aになったが、E231系とは取り付け方向が逆(パンタグラフの肘が車体中央部向き)である。
台車中心間隔が0番台より500mm拡げられ、同時期に製造された950番台(E231系900番台)と同様の13,800mmとなっている。
950番台
平成10年10月に落成後、中央・総武緩行線を中心に性能試験、訓練運転などが行われ、平成11年3月27日から同線において営業運転を開始した。平成12年3月に登場したE231系電車の先行試作車で、6扉車1両を含む基本4扉10両編成(4M6T)。209系とE217系以降の技術進歩を採り入れ、103、113、115系等の通勤・近郊電車の取替えを考慮し、通勤形、近郊形両用の性能を持たせた。1〜5号車を東急車輛、残りをJR東新津車両製作所で製作した。
混雑緩和のため209系500番台と同じ幅広車で基本寸法は、VVVFインバータ素子をGTOからIGBTへ変更、最高速度を120km/hへ向上させ、電磁鍵外し式シングルアームパンタグラフPS33を採用、新たに車両制御・検修支援・乗務員支援等を行なう列車情報管理システムTIMSの搭載等JR東の第二世代の電車の登場を告げた。
VVVFインバータ装置は1C4M2群で変わらないが、IGBTを採用し、3レベル(三菱電機製 2kV/600A/2S2P、1200A 後に通勤タイプで採用)と2レベル制御(日立製作所製 3.3kV/1200A/2S1P 後に近郊タイプで採用)の2種類が1ユニットずつ搭載され、試験された。
台車は0番台とほぼ同じだが電動機はMT73となり、ベクトル制御が初めて採用された。戸締装置は電気式で、5号車に導入された6ドア車は従来のスクリュー式だが、4ドア車はリニアモーター式駆動式が試験導入された。いずれも戸挟み検知機能を持っている。
その後、E231系量産車の登場に伴い平成12年6月にE231系900番台と改称された。
最高速度120km/h。起動加速度 2.5km/h/s、減速度 4.0km/h/s 4.5km/h/s(非常)。
1000番台
平成11年12月4日のダイヤ改正から営団千代田線相互直通運転用の1000番台2編成が常磐線緩行用に投入された。車体幅は2.8mで、営団仕様に合わせ6M4Tとして起動加速度3.3km/h/sを確保し、35‰勾配での押し上げ救援可能としている。自編成のみなら1ユニット(MM')解放状態でも同区間での起動・加速が可能。
基本システムは0番台と同じだが、先頭車に非常貫通路を設け、長さは営団に合わせ20m(連結面)とした。
最高速度110km/h。起動加速度 3.3km/h/s、減速度 4.7km/h/s(常用最大、非常)。
・901系
平成に入って民鉄等からVVVF車が続々登場し、安価な界磁添加励磁制御で進んできたJR東日本も205系通勤電車の後継車両として素子の価格低下が見込め、技術もほぼ確立し将来性のあるVVVF制御車両を103系の老朽取替えを目的に導入することになった。
JRではそれ以降大量投入となるため、新製・維持費の低減、平均20年の寿命の適性化、軽量化(編成平均25t/両)を徹底的に追求することとしたが、機器、構造面で統一することができなかったため、車両メーカーの独自性も尊重し、仕様の異なる試作的な要素の901系3編成を平成4年に京浜東北線に投入した。
車体は軽量ステンレス製で主要寸法は連結面間長20m(先頭車20.42m:103系は20m)、幅2.8m、高さ3.67mとなっており、編成は京浜東北10両(4M6T)、南武線6両(4M2T)の2種類の編成。103系とは先頭車寸法以外にも台車中心間距離も13.8mから軽量化のため強度上の最適値である13.3mに変更した。また、椅子幅を広げた関係でドア幅は変わらないがドア間寸法も3.5mから3.64mに広がっており、ドア端と妻間の寸法は200mm程度短くなっている。
粘着係数が大きく取れるため電動車比率を下げ、4M6T(ユニットカットの2M8Tで33.4‰起動可能)の10両編成(Tc+T+M1+M2+T+T+T+M1+M2+Tc')とし、リブなしの軽量ステンレス車体、1本リンクけん引装置で軸はり式軸箱支持装置の新軽量ボルスタレス台車DT61とTR246、小形軽量の3元ばね式PS28形パンタ、三相誘導電動機の1時間定格出力95kW、歯数比7.07、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、補助電源として190kVA静止形インバータ等は共通とするが、主にM1M2ユニットに搭載するインバータの制御方式を3種類比較した。
主電動機の1時間定格出力は95kWと小さいが、通勤電車では加減速が頻繁で過負荷使用を前提としているのに加え、公称kWを実力以下の数字として価格を抑えるようにしている。
○A編成(川重製) | 主電動機4個個別2群制御 パワートランジスタ(1200V
300A)インバータを4段直列接続とし、MT66形主電動機を個別に制御 |
○B編成(東急車輛製) | 主電動機4個分散2群制御 小容量高周波GTO(4500V
500A)インバータでMT67形主電動機を個別に制御 |
○C編成(川重製 4、5号車のT車は東急車輛の協力を得て国鉄大船工場製) | 主電動機4基一括2群制御 低耐圧GTO(2500V
2000A)をM1車に集中搭載し、MT68形主電動機を一括してに制御 |
大型の固定窓と熱線吸収ガラスの採用とカーテンの省略、スタンションポールの付いた450mm幅片持ちバケット式の座席、ドア上の車内LED案内装置、運転台モニター装置などが採用され、1ハンドルマスコン、電気式戸閉装置、冷房装置、貫通路妻扉数、スクリュー式空気圧縮機などが比較検討された。
平成6年に量産化改造が行なわれ、209系900、910、920番台となっている。
・キハ100、110系気動車
平成2年3月に鋼製量産先行車の「キハ100」が北上線に「キハ110」が山田・釜石線急行「陸中」に登場、非電化区間の輸送改善用。両運転台、ワンマン運転対応。25‰の均衡速度は95km/h以上。平成4年3月、八高線等に投入。
300番台は特急仕様化され、秋田新幹線工事中は「秋田リレー号」として北上〜秋田間を運転した。
キハ100 | キハ110 |
車体長16.5m | 車体長20m |
最高運転速度100km/h | 最高運転速度100km/h |
セミクロス | 2人掛回転リクライニング |
機関330PS1台 | 機関420PS1台 |
・253系特急電車「NEX」
平成3年3月19日に成田空港と都心を結ぶ専用特急「成田エクスプレス」として営業運転開始。基本6両(4M2T)、付属3両(2M1T)編成があり、現在は併結して6〜12両編成。
直流直巻MT61電動機(120kW)と界磁添加励磁制御、回生ブレーキ付。最高速度130km/h。
平成10年12月8日から新宿・池袋発着の一部を大宮発着へ。
・251系特急電車
平成2年4月28日、伊豆と都心を結ぶ専用特急「スーパービュー踊り子」として営業運転開始。リゾート特急に相応しい斬新なデザインで、編成は全てハイデッカーまたは2階建て車両になっている。
鋼製20m長車体の10両(6M4T)固定編成。各車に洋便所1カ所(一部男子専用併設)。直流直巻MT61電動機と界磁添加励磁制御、回生ブレーキ付。最高速度120km/h。
・651系交直流特急電車 詳細仕様
平成元年3月11日、常磐線の「スーパーひたち」として登場。基本7両(4M3T)、付属4両(2M2T)で国内で初めて最高速度130km/hの営業運転を行った。
製造は民営化直後の激しい競争の結果、日立製作所ではなく川崎重工が受注し、車両価格も平均で1億を切った。
130km/h運転、車両価格、川重の車両を日立の社員が毎日ビジネスに利用する・・など話題になった。
昭和43年以降製造の485系の老朽化、陳腐化に伴う取替えとして205系以降採用しているボルスタレス台車、電気指令式空気ブレーキに新たに回生ブレーキ付き交直対応界磁添加励磁制御などの新技術を採用し、汎用タイプの485系に対し常磐線のビジネス客を対象とした輸送を目的にデザイン、アコモを見直して製作された。
グリーン車は2列+1列配列で荷棚も航空機のようなふた付きでシートピッチは1160mm、普通車は2+2列の配列でシートピッチは970mmとなっている。客室照明は間接照明で、一人ずつ点滅できる読書灯も付いている。グリーン車のサロ651形の後位座席は禁煙席で一般席との仕切りに透明ガラスを採用した。
客室両端には情報案内表示装置を設け、モニターからの案内を表示し、オーディオサービスとしてFMの電波を室内に発信し、乗客が持参したFMラジオで受信可能で、グリーン車ではイヤホンのみでも聞けるようにし、更に衛星放送の受信システムが可能なよう準備工事がしてある。
車体は全鋼製で定員を極力確保するため車体長を21.1m(連結面)としたが、その関係で車体幅は2.9mとなった。出入台はグリーン車で前位に1ヶ所、普通車は前後に2ヶ所設けている。先頭車前面には大形の高輝度LED表示器を取付けて右図のように各種マトリックス表示を行なえるようになっている。
台車は205系以降採用しているボルスタレス台車であるが、保守性等を考慮し、新たにロールゴム式軸箱支持装置、Zリンク式けん引装置、新設計の密封円錐コロ軸受を採用したDT56、TR241で、高速性能を向上させるため、車体-台車間にヨーダンパを装備した。各軸軸端には空転滑走検知用の非接触式速度発電機を取付けている。
パンタグラフは菱形の3元バネ系PS26を開発し、M'車に1基搭載している。主電動機は205系でも使用した120kWの直流電動機MT61であるが、駆動装置の歯数比を3.95、33%弱め界磁として加速性能、高速性能は485系を上回るものとした。
ブレーキ方式は回生ブレーキ付き電気指令式空気ブレーキ、抑速ブレーキ、直通予備ブレーキで滑走再粘着装置付きとなっている。
最高速度130km/h(10‰上り勾配以下)、 曲線通過 本則+25km/h 起動加速度1.9km/h/s
平成2年3月ダイヤ改正から1時間ヘッド対応で2次車が登場、衛星放送受信サービス本格的に実施され、グリーン車の各座席に小型の液晶テレビが設けられた。
平成12年からは、順次座席の交換やAVサービスユニットの撤去、半間接照明への変更など内装のリニューアルが行なわれた。
JR東海
・313系直流電車
国鉄時代からある113系や103系の置き換え用として、平成11年5月6日から中央西線で営業運転開始したJR東海の新世代直流電車。名古屋圏の中央線や東海道線に順次投入される。
軽量ステンレス20m長車体の4、3、2両編成(MT比は1対1)で、3両編成では同一車両内に動力台車と付随台車を持つ変則的な車両がある。1.3m幅3扉で座席は転換クロスシート基本、一部セミクロスシート。身延線(縮小限界)を考慮して車体幅2.93m、屋根高さ3.65m(空調機を除く)、シングルアームパンタグラフの折りたたみ高さはレール面上3.96m。軽量ボルスタレス台車。
3レベルPWM制御のVVVFインバータ(IGBT、1両2群1C2M)制御で、トルク制御にベクトル制御採用。C-MT66A形185kW誘導電動機(ギア比6.53)。回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、T車遅れ込め制御で、低密度線区走行を考慮し発電ブレーキ混用。全軸に滑走検地装置を付け、滑走再粘着制御を行う。
付随台車は1軸2ディスクブレーキを持ち、踏面ブレーキを省略、そのかわりに踏面清掃装置を搭載している。最高速度120(130準備)km/h。
「セントラルライナー」用のハイグレード車両として8000番台が平成11年12月4日から登場。3扉車3両編成で名古屋−中津川間を一部定員制列車として運転するため外部塗色の変更(オレンジ色のグラデーションストライプ採用)、座席やその配置のアップグレード等を行った。車椅子・ベビーベッド対応の大形洋式便所が編成に1カ所有り。
・285系寝台特急直流電車
平成10年7月10日営業運転を開始した。JR西日本と共同開発した寝台特急電車「Sunrise Express」。
サンライズ出雲(東京〜出雲)、サンライズ瀬戸(東京〜高松)で運用、東京〜岡山間は併結。シングルデラックス、サンライズツイン、シングルツイン、シングル(2階建て車を上下に利用)、ソロ(1階建て車を上下に利用)の各室がある。
鋼製全2階建ての21.3m長車体7両編成(2M5T)。ベクトル制御を用いたVVVFインバータ制御(1C1M)で、220kW誘導電動機、ギア比6.53。
軸はり式ボルスタレス台車。回生・発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ。
最高速度130km/h。
・373系特急電車
平成7年10月1日に身延線の静岡−甲府間の「ふじかわ」として営業運転開始。平成8年3月16日から急行から特急に格上げされた東京−静岡間の「東海」、飯田線豊橋−飯田間の「伊那路」等の特急、快速の東京〜大垣間「ムーンライトながら」として使われる中長距離用汎用電車。老朽化した165系置き換えと急行列車のグレードアップ用。
ステンレス製21.3m長車体の3両固定編成だが、併結して輸送需要等に柔軟に対応できる。
ウイングゴム式ボルスタレス台車。VVVFインバータ制御(1C1M)。185kW誘導電動機、ギア比6.53。回生・発電併用電気指令式空気ブレーキ。
最高速度120km/h。
・383系特急電車「ワイドビューしなの」
平成7年4月29日から量産先行車を臨時列車として営業運転開始、平成8年6月から平成10年2月に開催された長野オリンピック向けに量産を開始し、平成8年12月1日から「ワイドビューしなの」として中央西線で使用。国鉄時代の昭和48年7月10日に国内初の振子特急電車として中央西線「しなの」に投入された381系の置き換え。
軽量ステンレス21.3m長の6両編成(3M3T)で、JR東海在来車両としては初めての回生ブレーキ付VVVF(1C1M)制御車。発電ブレーキ混用のブレンディング式。
ベアリングガイド式制御付き自然振り子(5度)。ウイングゴム・操舵式ボルスタレス台車。155kW誘導電動機、ギア比5.57。車輪径810mm。
最高速度130km/h。
軸箱支持剛性を進行方向によって変える自己操舵機能台車を試験したが、量産では「柔剛固定式」。
・371系特急電車
平成3年から新宿と沼津間を小田急線から御殿場線経由で結ぶ「あさぎり」として運転開始。編成の構成は小田急の20000系「RSE」と共通で、中間に2階建て車2両を含む鋼製20.25m長車体、7両編成(5M2T)1編成のみ。
最高速度120km/h。
ウイングゴム式ボルスタレス台車。車輪径860mm。120kW直流直巻電動機、ギア比4.21。回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、添加励磁制御。25‰勾配でも100km/h運転が可能。
・キハ75形気動車
平成5年8月1日、名古屋から関西線、伊勢鉄道線、紀勢線を経由して津、松坂方面を結ぶ快速「みえ」として登場。キハ58・65形の置き換えで競争力の強化を目指す。車椅子対応洋式便所付き。2両編成の2次車にはワンマン運転機能を持たせた車両を一部投入。
カミンズ社製の350PSエンジンを1両に2台搭載し、ステンレス21.3m長の2両編成が基本であるが、最大10両まで1両ずつの増結が可能。最高速度120km/h。
・キハ85形気動車
平成元年3月11日、キハ82の置き換えとして量産先行車登場、その後「ワイドビューひだ」として量産車投入。ステンレス21.3m長の4両編成を基本とし、ホーム有効長の最大10両まで増結が可能。平成4年3月14日から「ワイドビュー南紀」にも使用。
カミンズ社製の350PSエンジンを1両に2基搭載し、最高速度120km/h、20/1000の上り勾配で100km/h以上という高速性能を持っている。
JR西日本
・521系交直流電車
平成18年10月21日の北陸線、湖西線の一部区間直流電化開業に伴い、米原-福井間や近江塩津-近江今津間に投入された近郊形交直流電車。平成18年11月30日から米原〜福井間で営業運転を開始した。2両固定編成で、5編成が順次投入された。
最高速度120km/h、定員252(座席88、補助席含め108)名。このほか、新快速用の223系(5000番代)14両、125系6両も新製投入する。
交流20,000Vから直流1,500Vに変更された区間は北陸線長浜−敦賀間(38.2km)と湖西線永原−近江塩津間(5.8km)の計44.0kmで、工事は平成15年10月に着工し、直流変電所4カ所、交直流切替設備を新設、既存変電所3カ所を改修した。敦賀、木ノ本、虎姫など9駅ではホームこう上など設備を改良し、敦賀、近江今津、近江塩津、長浜の4駅の構内配線変更を行った。
総事業費は約162億円(車両費約50億円含む)で、144億円は地元が負担した。
・321系通勤電車
平成17年7月19日から京阪神路線に投入するため走行試験を開始し、
平成17年12月1日以降、JR京都線・JR神戸線などで順次営業運転を開始した。老朽化した103系の廃車に伴い投入したもので、平成3年に登場した207系の後継として新型通勤電車としては14年ぶりに登場。
車体はステンレス製で、車体寸法は高さ4.09m、幅3m、長さ20m。7両固定編成。
デザインは丸みを帯びた先頭形状で、福知山線の事故の遺族らの心情に配慮し、前面と側面に207系と異なる紺とオレンジのラインを配した。車内は、天井の中づり広告の位置に19インチカラー液晶画面を1両に12面設置し、運行情報などを流す。
座席は、中央部のロングシート1人当たりの幅を440mmに拡大し、7人掛けから6人掛けとした。また、高齢者らに配慮し、4人用優先座席の妻壁部に手すりを設ける。荷棚の高さも2O7系に比べ、約8.7cm低い176.5cmとし、つり革は床面からの高さ1.8m、1.7m、1.62mの三種類とした。
車両制御には走行中の列車状態を運転台でモニター監視し、車両故障防止を支援するデジタル伝送システムを採用。
平成17年度に16編成112両、平成18年度に20編成140両の計36編成252両を導入。JR京都・神戸線(東海道・山陽線)、JR宝塚線(福知山線)などに投入する。投資額約250億円。
最高時速120km/h。
・キハ187系特急気動車
平成13年7月7日の山陰線高速化に合わせて投入予定の特急気動車。制御付き振り子装置を持つステンレス製車体の2両編成。450PS高性能エンジンを2基搭載。定員は118人。平成13年春までに14両製作される予定。快速タイプ10両と合わせて製造費は約35億円。
山陰線高速化は平成13年夏完成を目指して安木−益田間(182.7km、H11.8から着手)で進められているもので、曲線部のコンクリート枕木化やカント改良、14駅構内の高速分岐器交換等の工事を行っている。新車両の投入によって松江−益子間は現在よりも39分早い1時間56分で結ばれる。
最高速度は120km/h。
・キハ126系快速気動車
平成13年7月7日の山陰線高速化に合わせて投入予定の快速用気動車。ステンレス製車体の2両編成。高性能エンジンを1基搭載。定員は262人。車椅子対応トイレ及び座席、ドアチャイムなども採用。平成13年春までに10両製作される予定。
最高速度は100km/h。
・285系寝台特急直流電車
平成10年7月10日営業運転を開始した。JR東海と共同開発した寝台特急電車「Sunrise Express」。
サンライズ出雲(東京〜出雲)、サンライズ瀬戸(東京〜高松)で運用、東京〜岡山間は併結。シングルデラックス、サンライズツイン、シングルツイン、シングル(2階建て車を上下に利用)、ソロ(1階建て車を上下に利用)の各室がある。
鋼製全2階建ての7両編成(2M5T)。ベクトル制御を用いたVVVFインバータ制御(1C1M)で、最高速度は130km/h。
・283系特急電車
平成8年7月31日、京都〜新宮間「オーシャンアローくろしお」で営業運転開始。平成9年3月22日「スーパーくろしお
オーシャンアロー」として振り子活用、和歌山−白浜間130Km/h運転開始。
鋼製21.3m長車体の6両編成(2M4T)、3両編成(1M2T)で分割併合編成を行う。6両編成の3号車には「展望ラウンジ」というオープンスペースが設けられている。女性専用トイレあり。
VVVF制御(IGBT、1C1M)。ベアリングガイド式制御付き自然振り子(5度)。車輪径810mm。起動加速度2.1km/h/s、最高速度130km/h。
・281系特急電車
平成6年9月4日に開港した関西国際空港アクセス専用特急「はるか」で、京都駅と空港を結ぶ。
鋼製20m長車体基本6両(2M4T)、増備3両(1M2T)編成。回生ブレーキ付VVVF制御(1C1M)。円錐積層ゴム式ボルスタレス台車。最高速度130km/h。
・681系交直流特急電車
平成4年12月26日、量産先行車が臨時「雷鳥」で営業開始、平成7年4月20日、「スーパー雷鳥サンダーバード」として北陸線大阪〜富山・和倉温泉間に登場。
21.1m長車体6両(2M4T)+3両(1M2T)の9両分割併合編成で、回生ブレーキ付VVVF
制御(1C1M)、軸はり式ボルスタレス台車。起動加速度1.8km/h/s、設計最高速度は狭軌で最高の160km/h。
・223系近郊形電車
平成6年9月4日の関西国際空港の開港に合わせて「関空快速」に投入。ステンレス製20m長車体2〜8(3M5T)両編成。VVVF制御(GTO、1C1M)。利用者の大型荷物を考慮し、1+2の転換クロスシートを採用している。最高速度120km/h。
平成7年8月、京都、神戸線の新快速等用に起動加速度2.5km/h/s、130km/h運転を目指した2+2の転換クロスシートに出入り口部に補助いすを採用した1000番が登場。
VVVF制御(IGBT、1C1M)。WMT102形220kW誘導電動機(ギア比6.53)。主回路構成を1M2T基本としたため、実際の編成が4とか8両の場合、性能に余裕がでるのでモーターが3台しかないM車(3000番台)がある。補助電源故障の時、1モータを解放しそのインバータを補助電源用にCVCF運転できるようにもしている。
平成11年3月29日から身障者対応トイレ、転落防止ホロ等を設置した2000番台を投入。「紀州路快速」、「関空快速」用として基本番台と併結できる2500番台を投入。
平成11年5月10日から近郊形としては初めて新快速で130km/h運転を実施し、サービス向上、私鉄との競争力強化を図る。平成12年春には全新快速を223系化する。
・221系通勤形電車
平成元年3月、通勤・通学のほか買い物、行楽等多目的な活用を目指して東海道、琵琶湖、大和路線にハイグレード「快速タイプ」として投入された。
鋼製20長車体3扉全クロスシート6両(3M3T)、4両(2M2T)、2両(1M1T)の短編成で、自由な編成構成ができるJR西日本の「アメニティライナー」。
回生ブレーキ付き界磁添加励磁制御。軸箱ウイングバネ円錐ゴム式ボルスタレス台車。
起動加速度2.5km/h/s、最高速度120km/h。
・207系通勤形電車
JR東西線に投入すべく平成3年度に先行試作車が製作され、平成5年3月18日福知山線に量産投入。平成9年3月8日の東西線開業にあわせ剛体架線対応で2パン化。
全ステンレス20長車体4扉全ロングシート7両(3M4T)編成で、JR西日本のアーバンネットワークを形成する主力の通勤電車。車体幅が2950mmあり、209系等2800mmの他の通勤電車より広い。
回生ブレーキ付きGTOチョッパ+パワートランジスタによるVVVF制御(1C2M)、軸箱ウイングバネ円錐ゴム式ボルスタレス台車。起動加速度2.7km/h/s、最高速度120km/h。
・キハ120形気動車
平成4年3月からJR西日本としてローカル線の活性化を目指した両運転台ワンマン運転の液体式新型気動車を投入。越美北線、木次線、関西線、美祢線で使用されている。2次車では330馬力エンジンを1台搭載し、16m長車体、最高速度は95km/h。
JR四国
・8000系特急電車
平成5年3月18日予讃線全面電化開業に伴い量産車が投入された。「しおかぜ」は岡山で300系「のぞみ」と接続。
ステンレス製21.3m長車体3両(1M2T)と5両(2M3T)編成で分併。ころ式制御付振り子(5度)台車。車輪径810mm。パンタグラフ支持台と台車をワイヤでつないだパンタ偏奇防止装置を初めて採用した。積層ゴム式ボルスタレス台車。回生ブレーキ付VVVF制御(GTO、1C8M)。設計最高速度160km/h。
・6000系近郊形電車
平成8年4月26日、111系の置き換え、機能向上策として瀬戸大橋線の観音寺〜岡山間等に運用開始。
ステンレス製20m長車体3両基本編成(1M2T)で、併結9両または7000系運転台付を増結して4両編成可能。
回生ブレーキ付VVVF制御(GTO、1C1M)。設計最高速度110km/h。
・2000系特急気動車
昭和63年4月10日に瀬戸大橋(本四備讃線)が開業し、道路等との競争から関西と四国を直接高速で結ぶ看板特急が必要になり登場した日本最初の制御振子付き(ころ式)高性能気動車特急。
平成元年3月11日から先行試作車が営業運転開始。平成2年7月30日から「南風」、「しまんと」に量産車登場、11月21日ダイヤ改正本格投入。
小松製330PS機関を1両に2基搭載し、急勾配、急曲線を高速で走行(25‰上り勾配95km/h以上)。変速1段・直結2段。最大振子角5度。中ぐり軸で車輪径810mm。軽量ステンレス製21.3m長車体の3〜6両編成。最高速度120km/h。
出力を350PSにアップして高徳線に平成7年4月5日に投入された特急「うずしお」増備車N2000は平成10年3月14日に130km/h運転開始。
・1000系一般気動車
平成2年にローカル列車のサービル改善とワンマン化の拡大による効率化を図るために投入された。ステンレス製21.3m長車体の両運転台1両編成で2両でのワンマン運転可能。
400PS機関を搭載し、粘着性能向上のため、2軸駆動のボルスタレス台車を使用。最高速度110km/h。
JR九州
・クルーズトレイン「ななつ星in九州」
概要[編集]
九州各地を巡り、自然・食・温泉・歴史などを楽しむことを目的とした観光寝台列車である。2013年10月15日に運行を開始した[2][3]。2012年10月から予約の受け付けを開始し、2013年10月 - 12月の平均倍率は7.27倍だった[4]。1人あたりの価格は1泊2日で15万円 - 40万円(車中泊)、3泊4日で38万円 - 95万円(車中2泊・旅館1泊)で、関東・関西など国内観光客やアジアの富裕層の利用を見込んでいる[5]。
この計画は以前からJR九州のデザイン顧問である水戸岡鋭治が構想を練っていたもので[6]、2011年1月にJR九州から発表された[7]。仮称として「クルーズトレイン」などと呼ばれていたが[7][8]、同年5月28日にJR九州から列車名や詳細が発表された[2]。
列車名は、九州の7つの県(福岡県・佐賀県・長崎県・大分県・熊本県・宮崎県・鹿児島県)[9]と、九州の主な7つの観光素材(自然・食・温泉・歴史文化・パワースポット・人情・列車)[9]、そして7両編成の客車を表現したものである。
なおJR九州では本車両を「大人の空間」と位置づけているため、ツアー参加者は「中学生以上」に限定されているほか、車内の共用スペースのドレスコードを「スマートカジュアル」(ジーンズ・サンダル禁止)と定めている。また車内は全面禁煙で、寝台個室にテレビは設置しない[10]。
運転区間[編集]
2013年10月から2014年3月までのコースは以下のとおり[11]。3泊4日コースと1泊2日コースをそれぞれ週に1回ずつ運行する[2]。これらは旅行商品(パッケージツアー)として販売されるため[12]、本列車は団体専用列車の扱いとなる。発売窓口はJR九州のクルーズトレイン専用窓口と主要旅行会社、さらに4月2日からは博多駅3階のJR博多シティ改札口外に設けられる専用ラウンジ「金星」でも旅行相談及び対面販売も行われる[13]。第1期(2013年10月から12月の出発分)の予約受付が2012年10月1日から31日に行われたが、定員の7倍以上の応募があったため抽選となった[14]。なお、機関車や客車の検査により長期運休となる場合がある。
3泊4日コース1日目: 博多駅 →(久留米経由)→ 由布院駅 →(大分経由。車内泊)
2日目:(車内泊)→ 宮崎駅 → 隼人駅(隼人駅からバスで旅館へ)
3日目:(旅館泊。隼人駅までバスで移動)隼人駅 → 鹿児島中央駅 →(人吉・熊本経由。車内泊)
4日目:(車内泊)→ 阿蘇駅 →(そのまま列車で大分経由、またはバスで阿蘇から豊後森へ)→ 豊後森駅 → 博多駅
1泊2日コース1日目: 博多駅 → 長崎駅 →(車内泊)
2日目:(車内泊)→ 阿蘇駅 →(そのまま列車で大分経由、またはバスで阿蘇から由布院へ)→ 由布院駅 → 博多駅
平成25年10月15日の運転を開始した篠栗線(吉塚〜桂川)・筑豊線の一部(桂川〜折尾)、鹿児島本線(折尾〜黒崎)間64.8km電化(線区愛称名「福北ゆたか線」)にあわせて投入した交流近郊電車。アルミ合金中空押出形材(ダブルスキン)構体を採用。転換クロスシートでゆったりと旅行できる一方で、通路幅やデッキを広げ、混雑にも対応できるように考えている。
主幹制御器にワンハンドルを使ったワンマン運転対応で長さ20m(連結面)、幅2,950mm、高さ3,680mm車体の2両固定(1M1T)編成とし、最大12両まで構成できる。大型一枚ガラスを採用し、貫通扉はない。洋式循環式便所付き。定員256名(内、座席72名)。62両(31編成)製作し、19編成が当該線区に、12編成が長崎、佐世保線に投入された。
カーボンすり板付きシングルアームパンタグラフ。ウイングゴム式軽量ボルスタレス台車で、車輪径810mm、軸距2100mm。ダブルリアクションタイプの緩衝器で乗り心地の向上を図っている。床下機器は主電動機を除いてブロア(送風機)レス化し、保守コストの低減等も実施している。
交流回生付PWMコンバータ+VVVFインバータ制御(2レベル1C4M)。150kW誘導電動機、ギア比6.5。回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、T車遅れ込め制御。応荷重付き。直通予備ブレーキ付き。
最高速度120km/h。起動加速度2.63(100%乗車)km/h/sで、25‰の上り勾配を2MMカット状態(200%乗車)で起動可能。
日本貨物鉄道(JR貨物)が保有するDF200形ディーゼル機関車を設計の基本として、「ななつ星in九州」仕様に外観などを設計変更した[9]「DF200-7000」が使用される[15]。2013年7月2日に製造元の川崎重工業兵庫工場から車体に傷防止の黒いカバーがされた状態で大分へ向けて甲種鉄道車両輸送が実施された
客車は77系客車とする[17]。 817系電車の車体に787系電車の台車を組み合わせたものを基調として[9]、寝台車5両とダイニングカー、ラウンジカーで構成された7両一編成で、製造はJR九州小倉総合車両センターが1 - 3号車を、日立製作所が4 - 7号車をそれぞれ担当する。なお、小倉総合車両センター担当車の車体構体は日立製作所で製造される。寝台個室はスイート12室、DXスイート2室の計14室で、定員は28名[9]である。車体はアルミニウム合金製とし[18]、内外装のデザインは水戸岡鋭治が担当する[2]。2013年9月13日に報道陣に公開された[19]。
専用客車はまず日立製作所担当の客車4両(4 - 7号車)が完成し、DF200形と同じく黒いラッピングフィルムによるカバーを装着した状態で7月18日に日立製作所笠戸事業所から小倉へと甲種鉄道車両輸送が実施され[20]、小倉総合車両センターで製造された客車3両(1 - 3号車)とともに8月1日に小倉総合車両センターで構内試運転が実施され、8月15日からJR九州管内での本線試運転が開始されている。車両製造費は7両編成で約30億円[18]。
客車が7両編成となったのは「山間部の(線路・駅設備等の)制約が大きく、機関車を入れて8両・約160mが限界」という社内での検討の結果による。関係者への取材によれば「社長(唐池恒二)からは『もう1両増やせないか』という話があった」ものの結局断念したという[21]。
寝台個室は全室シャワー・トイレ付き。ただ水タンクの容量が2日分しかないため、3泊4日コースの場合は2日目の夜(旅館泊)に車両を一度鹿児島の車両基地に入れて水及び燃料の補給を行う[22]。洗面台の洗面鉢は、2013年6月15日に亡くなった14代目酒井田柿右衛門の遺作である[23][24]。
機関車と客車ともにすべて大分鉄道事業部大分車両センターに所属している[
ラウンジカーマイ77-7001が該当。JR九州小倉総合車両センターで製造され、ラウンジカーとして1号車に組成される。走る社交場として車内には共用空間のラウンジを展望室設け、左の側面に大窓、右にはバーカウンターを備えている他に、客室にはピアノを備え、床下には電源装置を備えている。この車両の側扉は展望室車端部に設けられた非常扉のみで、客用扉は持たない。ダイニングカーマシフ77-7002が該当。小倉総合車両センターで製造されたダイニングカーで2号車に連結される車両に組成され、この車両の床下にはラウンジカーと同じく電源装置を備えている。スイート寝台車マイネ77-7003からマイネ77-7006までの4両が該当。寝台車両で3 - 6号車に組成され、4両合計で12室設置されるゲストルームは全てスイートルームで、両サイドの車窓を楽しめる様に通路と客室が3・5号車と4・6号車で配置が逆に連結されており、3号車の一室は車椅子対応となっている。製造は3号車が小倉総合車両センター、4 - 6号車は日立製作所が担当している。DXスイート寝台車マイネフ77-7007が該当。日立製作所で製造された展望室をもつ寝台車で、編成端部である7号車に組成される。一車両に2室が設置され、編成端部の部屋では、一面にほどこされた車窓からの景色を堪能することができる。
バス
立寄り地での周遊には、同じく水戸岡がデザインし、JR九州バスが所有する既存車を改造した専用バスを使用する
・817系近郊形交流電車
平成13年10月6日の篠栗線(吉塚〜桂川)・筑豊線の一部(桂川〜折尾)、鹿児島本線(折尾〜黒崎)間64.8km電化(線区愛称名「福北ゆたか線」)にあわせて投入した交流近郊電車。アルミ合金中空押出形材(ダブルスキン)構体を採用。転換クロスシートでゆったりと旅行できる一方で、通路幅やデッキを広げ、混雑にも対応できるように考えている。
主幹制御器にワンハンドルを使ったワンマン運転対応で長さ20m(連結面)、幅2,950mm、高さ3,680mm車体の2両固定(1M1T)編成とし、最大12両まで構成できる。大型一枚ガラスを採用し、貫通扉はない。洋式循環式便所付き。定員256名(内、座席72名)。62両(31編成)製作し、19編成が当該線区に、12編成が長崎、佐世保線に投入された。
カーボンすり板付きシングルアームパンタグラフ。ウイングゴム式軽量ボルスタレス台車で、車輪径810mm、軸距2100mm。ダブルリアクションタイプの緩衝器で乗り心地の向上を図っている。床下機器は主電動機を除いてブロア(送風機)レス化し、保守コストの低減等も実施している。
交流回生付PWMコンバータ+VVVFインバータ制御(2レベル1C4M)。150kW誘導電動機、ギア比6.5。回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、T車遅れ込め制御。応荷重付き。直通予備ブレーキ付き。
最高速度120km/h。起動加速度2.63(100%乗車)km/h/sで、25‰の上り勾配を2MMカット状態(200%乗車)で起動可能。
・303系直流通勤電車
JR九州としては初めて開発した福岡市交通局乗り入れ対応直流電車。筑肥線の複線化開業に伴い実施される平成12年1月22日のダイヤ改正で4M2Tの6両固定編成2編成を投入した。
4扉20m長アルミ合金製車体でセパレートタイプロングシート、固定窓とUVカットガラス、防音ほろ等を採用し、定員892名。福岡市交にあわせ、地下鉄内のATOワンマン運転に対応、車体幅も2800mmとした。
VVVFインバータ制御(2レベル制御IGBT
1C4M2群)で回生・発電(ブレーキチョッパ+抵抗器)ブレーキ併用電気式空気ブレーキ。各車均等遅れ込め制御。回生時の帰線電流(最大3000A)を考慮しシングルアームパンタグラフを1ユニット(M1・M2)の片側(先頭より)に2台搭載。運転保安装置はATS-SK/ATC/ATO。
最高速度110km/h。起動加速度3.3km/h/sで、市交の30‰上り勾配対応可能。12両製作し、製造費は約16億円。
・885系交流特急電車。白い「カモメ」
平成12年3月11日のダイヤ改正から「かもめ」として長崎線に登場。アルミ合金製(ダブルスキン構造)車体で、寸法は長さ20.5m(連結面 先頭車は全長21.65m)、幅2.91m、高さ3.435m。6両固定編成(3M3T)で編成定員314名、重量228.4t。白を基調に黄色、黒色を配した大胆な外観で、”白いかもめ”としてPRしている。博多〜長崎間の所要時間は現在の平均2時間から約10分短縮された。7編成42両製作し、製造費は1編成(6両)約11億円。
PWMコンバータ+VVVFインバータ制御で回生ブレーキ併用電気式空気ブレーキ。主電動機容量190kW、ギア比4.83。車輪系810mm、軸距2250mmのウイングバネ式ボルスタレス台車で制御付きころ式振り子システムを採用。R600m以上の曲線で本則+30km/hの曲線走行性能を持つ。パンタ支持はT形フレーム式。シングルアームパンタグラフPS401KAを編成に2個搭載。補助電源は主変圧器の3次巻き線方式。
最高速度130km/h。起動加速度2.2km/h/s。減速度4.3km/h/s(常用) 5.2km/h/s(非常)
・815系近郊形交流電車
平成11年10月1日の豊肥線電化(熊本〜肥後大津)にあわせて同線や鹿児島線に投入した交流近郊電車。アルミ合金中空押出形材(ダブルスキン)構体を採用し、摩擦撹拌接合(FSW)により継ぎ目の見えない車体になっている。
主幹制御器にワンハンドルを使ったワンマン運転対応20m長車体の2両固定(1M1T)編成とし、1席ずつ区切ったスプリット座席の片持ち式ロングシート、大型一枚ガラスの採用、貫通扉の廃止等イメージを一新した。洋式循環式便所付き。定員271名。52両製作し、製造費1編成約2億円。
カーボンすり板付きシングルアームパンタグラフ。ウイングゴム式軽量ボルスタレス台車で、車輪径810mm、軸距2100mm。床下機器は主電動機を除いてブロア(送風機)レス化し、保守コストの低減等も実施している。
交流回生付PWMコンバータ+VVVFインバータ制御(2レベル1C4M)。150kW誘導電動機、ギア比6.5。回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、T車遅れ込め制御。応荷重付き。直通予備ブレーキ付き。
最高速度120km/h。起動加速度2.6km/h/sで、25‰の上り勾配を2MMカット状態(200%乗車)で起動可能。
・883系交流特急電車
平成7年4月20日「ソニックにちりん」として日豊本線の高速化のために投入されたコロ式制御付振子(5度)、偏奇防止パンタグラフ付き特急電車。現在は「ソニック」として博多−大分間を2時間10分で結ぶ。
ステンレス製20.5長車体の基本7両(3M4T)編成。円筒積層ゴム式ボルスタレス台車。車輪径810mm。発電ブレーキ付VVVF制御(1C1M)。最高速度130km/h。
・787系交流特急電車
平成4年7月15日に「つばめ」として鹿児島線に登場。発電ブレーキ付サイリスタ位相制御。メタリック塗装の大胆なエクステリアデザインがユニーク。鋼製20.5長車体基本7両(6M1T)、増結して9両(6M3T)編成。最高速度130km/h。博多・南宮崎の「シーガイアにちりん」等にも使われる。
円筒案内式ボルスタレス台車。150kW直流直巻電動機、ギア比3.5。
・783系特急電車
JR化後初めて「ハイパーサルーン」として新製された特急車両で、昭和63年3月13日に鹿児島本線「有明」に登場。20m長の軽量ステンレス車体で車体中央に側扉があるユニークな構造。回生ブレーキ付サイリスタ位相制御+弱め界磁制御。
平成6年度からリニューアル工事が行われ、イメージを一新した。「有明」、「かもめ」、「にちりん」として使用。基本6両(3M3T)、5両(3M2T)編成で、最高速度130km/h。
・813系近郊電車
平成6年3月、老朽車両の取り換え用として投入された交流近郊電車。ステンレス製20m長車体で最小単位を2両(1M1T)とし、3、4両編成も可能。全転換クロスシートを採用したセミハイグレード車両。発電ブレーキ付VVVF制御(1C1M)。ロールゴム式ボルスタレス台車。最高速度120km/h。
JR貨物
・M250系直流特急コンテナ電車「スーパーレールカーゴ」 詳細仕様
東京−大阪間を6時間で結ぶ日本初の特急コンテナ用直流貨物電車で、下の図にあるように、両端に電動車が2両ずつ、中間に付随車が12両連結された4M12Tで、全長409.2mの16両固定編成である。
最高速度は130km/hで、今後のモーダルシフトに対応するよう宅配便などの小口積合わせ貨物の高速輸送を目的に開発された。
平成16年3月13日のダイヤ改正から東京貨物ターミナル〜安治川口間を所要時間6時間10分で毎日深夜に上り・下り各1本ずつ運転されている。これは10tトラック56台分に相当し、年間で14000tのCO
2
削減が期待できるという。試作車は川重、日車、東芝(制御装置)が製造した。
主要寸法は、電動車が長さ(連結面)20.3m、幅2.8m、高さ3.8mで、コンテナ貨車が長さ20.5m、幅2.66m、高さ1.0mである。
搭載するコンテナは、専用のU54A形31フィート長、片側妻両開き扉のコンテナで、床面積22.24m
2 内容積53.93m
3 総重量11500kgで、編成積車重量最大728tである。
3レベルPWM電圧形VVVFインバータ制御(1C1M(2群×2/両))。ベクトル制御。主電動機1時間定格220kWで、編成では3520kWとなる。ばね上昇空気下降式シングルアームパンタグラフを各電動車に1基ずつ搭載している。
台車は、空気ばね付きの軸はり式ボルスタレス台車で、軸距2100mm、車輪径M:860mm T:810mm、修正円弧踏面。車軸軸受は密封円錐ころ軸受で電しょく防止のため全車軸に接地装置を取り付けている。ブレーキは、発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重付き)。
新たな装備として、走行中の車両各軸の軸受温度を監視する軸温検知と車輪のフラット検知、GPSを使用した列車位置検知システムが搭載されている。
最高速度130km/h 運用区間内の最急上り勾配区間(等価査定勾配12‰)での均衡速度(約100km/h)と地上側変電設備容量から編成の1時間定格出力を3520kWに設定している。
M250系特急コンテナ電車編成 |
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・EH200形直流電気機関車「ECO POWER ブルーサンダー」
中央、上越線等の勾配線区用H級(8軸)機関車。EF64置き換えで、重連運転の不便を回避。平成13年6月に東芝製1号機が完成、7月から翌年3月まで走行試験が行なわれた。製作費は3.5〜4億円。
2分割で全25m長、2.8m幅、高さ3.98m車体。運転整備重量134.4t(軸重16.8t)。最高運転速度110km/h。
VVVFインバータ制御(1C1M IGBT ベクトル制御)。主電動機1時間定格565kW 短時間定格640kW。1000分の25の急勾配区間でも1100t列車を牽引可能(1モーター解放可)。平成18年度初10両に増加。
・EF510形交直流電気機関車
日本海縦貫線や常磐線用。EF81置き換え。平成13年12月12日に川崎重工・三菱電機製1号機が完成。製作費は3.5〜4億円。19.8m長、2.88m幅、高さ4.28m車体。最高運転速度110km/h。
運転整備重量100.8t(軸重16.8t)。主電動機1時間定格565kW 短時間定格640kW。平坦区間で1300t列車を牽引可能。従来のEF81に比べて約1.4倍にパワーアップ。
・EH500形交直流電気機関車「金太郎」 詳細仕様
今はない国鉄EH10以来2例目のH級(8軸)電気機関車。首都圏から青函トンネルを経由して北海道(五稜郭)まで直通運転を行う。直流1500V、交流20000V 50/60Hzの3電源対応。愛称は「金太郎」。1両約4億円。
平成9年9月に試作車901号機が完成し、新鶴見機関区を基地として同年12月から翌年9月にかけて単機、コンテナけん引の走行試験を実施、基本性能や地上設備への影響等について確認した。平成10年10月以降は営業列車けん引で走行試験を実施し、平成12年3月11日のダイヤ改正から3両が東京〜函館(五稜郭)間で営業運転を開始した。
隅田川〜黒磯間EF65重連、黒磯〜青森間ED75重連、青森〜五稜郭ED79重連がこの1両の機関車で置き換えることができることになり、ED75形及びED79形の老朽取替え、重連運用の解消と保有機関車数の削減による新製価格抑制が可能となった。
また、F級よりH級のほうが粘着性が高いため、25‰急勾配区間での1000t列車の安定起動や青函トンネル等連続勾配での運転冗長性が向上している。
2分割で全25.0m長車体(全幅:2.8m 全高4.28m)。軸配置:(Bo-Bo)+(Bo-Bo)。VVVF制御(IGBT 1C2M)。
運転整備重量134.4t(軸重16.8t)。機関車出力は1時間定格:直流3400kw 交流4000kW(50/60Hz)、短時間定格4520kW(主電動機565kW)。
EF210形式直流電気機関車等と標準化を行なった定格出力565kWの主電動機を採用しており、計4520kWになるが、変電所等地上設備の制約や輸送条件を考慮して直流区間では最大3500kWに制限、交流区間では変圧器等の機器容量から制約を受け1時間定格4000kWとしており、その実力を存分に発揮するまでには到っていない。
平成18年度初40両と増備が進んでいる。
・DF200形ディーゼル機関車「レッドベア」
いわゆる電気式ディーゼル機関車で、平成5年3月10日、五稜郭〜札幌貨物ターミナル間で試作機の901号機が営業運転開始。DD51形の重連運転解消と老朽置換えを目的として開発され、北海道〜本州を結ぶルートの輸送改善を図った。1両約4億円。
コンテナ列車800tけん引時110km/h以上の走行性能を持つ。出力1250kWのドイツMTU社製エンジン2台を搭載。公称動輪周出力は約1800kWで現行DD51の1.5倍。運転整備重量96t。発電ブレーキ併用VVVF制御(GTO、1C1M)。
平成10年度以降の50番台2次量産車からは中・高速域の出力向上とDD51形式更新車の換装エンジンとの部品共通化を目的にエンジンを小松製に変更、公称動輪周出力を1900kWに変更した。平成17年度初28両。
・EF210形直流電気機関車「ECO−POWER桃太郎」

平成9年12月5日から量産先行901号機が営業運転。EF65形式の後継を担うとともにモーダルシフトに対応、コスト低減も図ったJR貨物の標準仕様機関車。東海道線の1300t列車(26両のコンテナ)牽引を行うことを主体に開発。
平成10年10月3日のダイヤ改正から量産18両を含め全19両が出そろい、岡山を基地として東海道・山陽線で本格的運用に入る。
全長18200mm、全幅2887mm、全高3963mm。軸配置:Bo-Bo-Bo。運転整備重量100.8t。発電ブレーキ付VVVFインバータ制御(1C2M、GTO)。
最高速度110km/h。1時間定格3390kW(1個565kW)、 30分定格3540kW(関ヶ原の急勾配用)
平成11年以降の100番台2次車13両からはGTOからIGBTに、1C2Mから1C1M制御に変更。平成18年度初44両。
・EF200形直流電気機関車
高速化・高加速化、安全性向上・省力化、東海道線等の輸送力増を目的に平成2年6月に試作機(901)が登場。平成4年5月に量産機1号が新鶴見機関区に配属。7月から1300tけん引列車の暫定運用、10月から東海道、山陽の本格運用が始まった。
運転整備重量100.8t、1時間定格出力6000kW、発電ブレーキ付VVVF制御(GTO、1C1M)。シングルアームパンタグラフ。最高速度120Km/h。
1600t(コンテナ貨車32両)の列車をけん引して10‰の上り勾配を90km/h以上で走行でき、1100tの列車をけん引して25‰の上り勾配で起動できる能力を持つ。
・EF500形交直流電気機関車
高速化・高加速化、安全性向上・省力化、全国縦貫走行を目的に平成2年6月に試作機(901)が登場。3電源方式、運転整備重量100.8t、1時間定格出力6000kw、発電ブレーキ付VVVF制御(GTO、1C1M)。最高速度120Km/h。
1600t(コンテナ貨車32両)の列車をけん引して10‰の上り勾配を90km/h以上で走行でき、1100tの列車をけん引して25‰の上り勾配で起動できる能力を持つ。
・コキ200形式48t積コンテナ貨車
平成12年登場しその後も順次増備が続いている。総重量20フィート24トンタンクコンテナの輸送等に合わせて製作された48t積コンテナ貨車。
空車重量16.9t、最大積載量48.0t(20ftコンテナ24.0t×2個、40フィート30.48t)。重量コンテナに特化したため全長は15.0m(連結面)と短い。床面高さは1000mm。台車はFT3台車で、枕バネはコイルバネ、軸箱支持装置は軸ゴム+シェブロン複合ゴム方式と100系と変わらないが、車輪径は810mm、軸距は2100mmになっている。
ブレーキ方式は応荷重式電磁自動空気ブレーキ(空圧式測重弁)(CLE)となっており、基礎ブレーキとしてコスト低減のため量産コンテナ列車としては初めてユニット式踏面ブレーキを採用した。
最高速度110km/h。曲線通過 本則+5km/h
・コキ100系コンテナ貨車
JR貨物発足後のコンテナ列車高速化用として昭和62年度から製造されており、マイナーチェンジしながら増備が進んで、平成18年には計4000両を越えている。
国鉄時代にもコキ5500(最高速度85km/h 昭和34年新製)、コキ10000(最高速度100km/h 昭和41新製)、コキ50000(最高速度95km/h 昭和46年新製)形式を中心にコンテナ列車の運行が行われていたが、JR移行後、輸送の主体は一層コンテナ列車となり、
より高速化、効率化や海上コンテナへの輸送にも対応する必要になってきたため、これらに対応すべく登場したのがこのコキ100系で、高さ2600mmの背高コンテナも輸送できるように床面高さは1000mmに統一した。JRのコンテナ高さ2,500mmに対してISOコンテナ高さ2,591mm(8'6")なので、
床面高さ100mm下げて、2591+1000=3591<3600(コンテナ片部の車両限界)とした。コンテナの幅は2,438、2,450、2,490mmの3タイプである。
最高運転速度は110km/h。曲線通過 本則+5km/h。台車は枕バネが2重コイルバネ式で車輪径860mmのFT1、コキ106以降FT2台車。ブレーキ方式はCLE(C:三圧力制御弁 L:応荷重装置付き E:電磁制御)つまり、高性能の電磁自動空気ブレーキ方式で、基礎ブレーキはブレーキバリ方式(踏面片押し制輪子)となっている。
コンテナの積載形態は下図のようになり、コンテナ緊締にはは12ftのアンカー方式と20ft等のツイスト式などのスミ金具方式があるが、積載コンテナによりお互いに緩衝するのでアンカー装置は側はり懐に格納できるようになっている。

主要諸元
形式 | コキ100 |
コキ101 | コキ102 | コキ102-500 |
コキ103 | コキ104 | コキ105 |
コキ106 | コキ110 |
自重 | 18.5(17.8) |
18.7 | 18.5 | 18.7 | 18.7 |
18.7 | 18.7 | 18.9 | 18.9 |
荷重 | 40.5 | 40.5 |
40.5 | 40.5 | 40.5 | 40.5 |
40.5 | 40.7 | 40.7 |
換算 | 積・空 |
5.0・1.8 | 5.0・1.8 | 5.0・1.8 |
5.0・1.8 | 5.0・1.8 | 5.0・1.8 |
5.0・1.8 | 5.5・1.8 | 5.5・1.8 |
主要寸法 (mm) | 車
体 | 連結面長さ | 19910 | 20400 |
19910 | 20400 | 20400 |
19910 | 20400 | 20400 |
20400 |
最大幅 | 2640(2605) |
2640(2605) |
2640 | 2640 | 2640 |
2640 | 2640 | 2663 | 2663 |
最大高さ | 1162 | 1867 |
1162 | 1162 | 1867 | 1867 |
1867 | 2017 | 2017 |
車体長さ | 19110 | 19600 |
19110 | 19600 | 19600 |
19110 | 19600 | 19600 |
19600 |
床面高さ | 1000 | 1000 |
1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
1000 | 1000 | 1000 |
台車中心間距離 | 13710 |
14200 | 13710 | 14200 |
14200 | 14200 | 14200 |
14200 | 14200 |
走り装置 | 形式 軸箱支持 |
FT1 軸ゴム | FT2 軸ゴム+軸箱支持ゴム |
まくらばね種別 |
2重コイル複列 |
軸受 |
複列円錐コロ(JT11) |
ブレーキ装置 |
踏面片押し |
連結器 装置 | 連結器 |
並形(ピン付縦ワク下作用) | 並形(1位)密着 (電連付)(2位) |
並形(ピン付縦ワク下作用) |
緩衝器 |
ゴム(RD19) |
最高運転速度(km/h) |
110 |
積載コンテナ種別及び個数 | JR12ft:5
JR20ft:3 JR30ft:2 ISO20ft:2 ISO40ft:1 | JR12ft:5
JR20ft:3 JR30ft:2 ISO20ft:2 ISO40ft:1 | JR12ft:5
JR20ft:3 JR30ft:2 ISO20ft:2 ISO40ft:1 | JR12ft:5
JR20ft:3 JR30ft:2 ISO20ft:2 ISO40ft:1 | JR12ft:5
JR20ft:3 JR30ft:2 ISO20ft:2 ISO40ft:1 | JR12ft:5
JR20ft:3 JR30ft:2 SO20ft:2 ISO40ft:1 | JR12ft:5
|
JR12ft:5 JR20ft:3 JR30ft:2 ISO20ft:2 ISO40ft:1 |
JR12ft:5 JR15ft:4 JR20ft:3 |
製造期間 | 昭62〜63 |
昭62〜63 | 平元〜2 | 平元〜2 |
平元〜2 | 平元 | 平2 | 平9〜 |
平13 |
製造両数 | 132 |
132 | 180 | 50 | 230 |
2945 | 80 | 912 | 5 |
記事 | ():1〜4号車 |
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コキ100・101形式
昭和62年に4両1ユニット構成のコキ100の試作車が登場した。この車両にはデッキ部分がなく入換作業に不便だったため、量産車ではユニットの両端車をデッキ付の101形式に変更した。従って、コキ101奇数車+コキ100奇数車+コキ100偶数車+コキ101偶数車の4両で1ユニットを組んで運用される。コキ101は作業員用スペースと手すりを設けたため、全長が490mm長い。
昭和62年からの2年間に66ユニット・264両が製造された。
枕バネが2重コイルバネ式のFT1台車をはき、試作車ではユニット全車に備えていた電磁弁は、コスト削減のため、両端の101形式だけに変更された。
コキ102・103形式
コキ100・101形式のマイナーチェンジ版で、同様に4両で1ユニットを構成するが、電磁ブレーキ装置を中間のコキ102(奇数車)に集中させた。
平成元年〜2年にかけて合計で115ユニット・460両が製造されたが、平成2年製のコキ102形式中間車25ユニット分50両は、全長をコキ103に合わせた500番代となり、コンテナ積載部分の前後の面積が広がっている。
コキ104形式
4両1ユニット構成では運用の効率化や地方線区への進出に不都合なため、コキ103を基本に単車運用を可能にしたもの。平成元年から平成9年まで2950両近く製造され、コンテナ列車の中では最大両数となっている。途中、
一部海上コンテナ積載用への改造等が行われたが、コキ106、コキ200の増備が進み、平成11年に海上コンテナ緊締装置は取り外され、一般運用に就いている。
コキ105形式
2両ユニット車。コキ105奇数号車+コキ105偶数号車の2両ユニットを組み、奇数号車に電磁ブレーキ装置を搭載する。1990〜91年に40ユニット80両が製造された。
コキ106形式

コキ104形を海上コンテナ積載用にマイナーチェンジした車両で、20ftのISOコンテナとJR規格コンテナの積載位置を共通にしたほか、20ft・24tの重量コンテナも1個ではあるが積載できる。20ft、40ftコンテナ用緊締装置の構造がツイストロック式に変更され、台車も軸箱支持装置をシェプロンゴムと軸ゴムによる複合ゴム支持方式に変更したFT2となった。
積載荷重は、台枠や台車の強化により40.7トンに増加された。
平成9年から平成17年までに912両(1〜912)が製造され、現在も増備中である。平成15年度製造の601〜からは留置ブレーキ動作時に車側に表示板が突き出す手ブレーキ緊解表示装置が設置されている。また、平成16年度製造の713〜からは、応荷重ブレーキ装置の測重機構が油圧式からコキ200形式同等の空圧式に変更された。
平成11年度以降製造の405号からは従来車との区別のために灰色塗装となり、既に製造されたコキ106も塗装変更が行われている。コキ106-405・406の2両には滑走検知用の速度検出器と兼用した車軸発電機を電源とした貨車用フラット防止装置を取り付けて試験を実施した。試験結果の送信には機器箱に設けた携帯電話が使用された。
コキ110形
コキ100系最新車種で、15ftコンテナを4コ積むことを主に従来のコンテナも積めることを目的に製造されたコキ106号車のマイナーチェンジ車。平成13年に5両製造されたのみで、車体の色はからし色(黄色)に塗られている。
・コキ72形式48t積コンテナ貨車
平成9年初に試作車による走行試験開始。現行ISO規格の海上コンテナを全て積載可能。
全長16.0m(連結面)、コンテナ高さ9フィート6インチ(ハイキューブ)を積載できるように、床面高さを740mmとした低床構造で、車輪径610mmの空気バネボルスタレス台車を採用。応荷重式電磁自動空気ブレーキ(油式応荷重装置)、ディスクブレーキ。
空車重量17.2t、最大積載量48.0t(20ftコンテナ24.0t×2個)
最高速度110km/h。曲線通過 本則+5km/h
・コキ71形式コンテナ貨車
平成7年3月からカーラックシステムによる乗用車輸送を名古屋〜新潟間で開始。
21.3m長車両2両を1ユニットとして運用し、1両で高級自動車8台搭載可能。乗用車保護のために着脱式ラックカバーを1両に2組備えている。帰りにはコンテナ4個積むことができる。
車輪径610mmの空気バネボルスタレス台車で、床面の高さはレール面上700mm。
・クサ1000形式車運車
平成6年秋から営業運転を開始したピギーバック輸送用貨車。21.3m長車両2両を1ユニットとして運用し、 1両で車長6.5mの4tトラック3台を輸送する。
車輪径610mmの空気バネボルスタレス台車で、床面の高さはレール面上700mm。最高速度110Km/h。
旧国鉄
・207系通勤形電車
国鉄民営化直前の昭和61年12月から常磐・千代田線に投入された国鉄初(最後でもある)の誘導電動機駆動VVVFインバータ制御電車(GTO
1C4M)。試作要素の大きい1編成のみが投入されただけであった。10両(6M4T)、最高速度100km/h。
同じ車両形式の電車がJR西日本で走っているが違うもの。
昭和58年頃から4500V-2000Aという大容量のGTOサイリスタが実用化され、公営・民鉄の一部ではVVVFインバータ制御電車の開発を積極的に進めるようになった。国鉄では古くから交流電動機駆動方式の研究が行なわれてはいたが実用化には至らず、
この素子が実用化されるようになっても経営の厳しい状況では自前で開発することは困難であったが、急勾配を持つ北陸新幹線用車両開発にも整備新幹線調査費が利用できることになったことからそれを活用して昭和59年に150kW誘導電動機4台とそれを制御するGTOインバータと制御システム一式を試作して組合せ試験を、60年度には101系電車に取付けて静岡〜豊橋間で現車試験を実施し、基礎的な技術開発を行ない、実用化の目処を得た。
相前後して昭和61年に常磐緩行の千代田線乗入れ車両1編成10両を増備することになり、制御方式を比較検討した結果、保守性、高加速高粘着、小形軽量化、省エネルギー等に優れたPWM方式のVVVFインバータ制御方式にすることに決定、先の試作・走行試験結果をもとに改良を加えて207系が誕生した。
車体はアルミに比べ重量的にやや不利だが実績を積んだ軽量ステンレス製とし、車体寸法、加・減速性能等は203系に合わせている。
台車は205系と同じボルスタレス台車で、主電動機は150kWのMT63誘導電動機、TD継手を使用し、回転数が上げられるので歯数比1:7.07とした。
インバータ装置は1C4M制御で、4500V-2000AのGTOを1S-1P-6armとして構成した。
ブレーキ方式は回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(直通予備ブレーキ、T車遅れ込め制御)で約5km/h程度で回生ブレーキから空気ブレーキに切り替わる。
11月完成12月営業開始という厳しいスケジュールから、営業運転をしながらも各種性能試験が継続され、基本的な性能は所期の目的を達成したが、降雨時の空転が多いことなどから期待粘着係数の向上策、空転・滑走制御の精度向上が課題として残された。
製造コストが203系より高く、常磐緩行車両の増備もなかったことから試作的な1編成のみの製作に終わっている。試験が終了した後は同じ路線を走る203系などと共通運用されている。
当時、VVVFインバータ制御車両の技術は経験が浅く発展途上で、何より製造費が高かったため、多数の車両を保有する国鉄とその後のJR東日本は、コスト的に優れた界磁添加励磁制御方式を在来特急にも採用し、本格的なVVVF制御車が投入されたのは、平成5年の京浜東北線・根岸線209系(4M6T)が最初であり、千代田線乗入れ常磐緩行線へは千代田線の信号保安システム更新に伴う列車増発で平成11年12月から営業開始した209系1000番台(6M4T)となっている。
・211系近郊形電車
昭和37年6月登場の東海道線111系や113、115系など近郊形車両の老朽取替えと東北・高崎線の輸送力増強を目的に205系で用いた新技術を採用、新たに抑速ブレーキを追加、近郊形電車としてのアコモデーションも抜本的に見直しして昭和59年度4次債務で135両、昭和60年度本予算及び1次債務で115両の計250両が製作され、昭和60年12月16に第1編成が落成、翌61年2月18日から順次営業運転を開始した。JR化後も増備され、E231登場までは主力として活躍した。

東海道線用はセミクロスシート車(10両基本編成)を0代、ロングシート車(5両付属編成)を2000代とし、東北・高崎線用(寒地向け)は何れも5両編成のセミクロスシート車(基本編成)を1000代、ロングシート車(付属編成)を3000代とし、1〜3編成を組合せて運用した。寒地向け車両には車内・外に設けられたスイッチを操作することによって側扉を開閉できる半自動開閉方式を採用した。
車体は205系電車と同じく構体をステンレスとし、軽量化・保守費の低減、車両寿命の延伸を図った。また、客室内のアコモデーションの刷新から、客室幅の拡大、下降式一枚窓の採用、腰掛等客室設備の改善を行った。
車体の基本寸法は、長さ19,500mm(連結面間:20,000mm)、幅2,950mm、高さ3,670mmで心皿間距離を13,800mm(113糸電車では14,000mm)として、側出入口は近郊形としてそれまでと同様片側3箇所(開口1,300mm)設けている。
客室スぺ−スを拡大し居住性の改善を図るため車体幅を最大2,950mm
(113系電車では2,900mm)としたのが特徴で、コンタは台枠上面410mmの位置から台枠上面幅2,790mmに向かい、側構体下部を内側に傾斜させ車両限界に抵触しない最大寸法と
し、台枠上面高さは1,155mm、屋根高さをも3,670mmとし、室内の床面からの天井高さを2,250mmに拡大した。
113系電車では、客室内化粧板も構体のスソ絞りに沿って下部を絞ったため、客室幅が減少しているが、211系電車では化粧板のスソは絞らず、床上面100mmまで客室幅2,730mmとした。こめため、客室の床幅は2,700mmとなり、客室有効スペ−スの拡大を図ることができた。床は台枠上面に板厚0.6mmのSUSのキーストンプ
レートをスポット溶接し強度上ユニテックスを入れ、その上に3mmの床敷物を張った構成になっていて全体で25mmの厚さである。
客室は車端部がロングシートで、中央部は0代と1000代がセミクロスシート、2000代と3000代がロングシートになりている。クロスシートの場合、1ボックスの長さは1,490mm、腰掛スぺ−スの幅は1,015mm、通路幅は720mmである。ロングシートは1人当たりの腰掛幅を440〜450mmとした。
軽量ステンレス車体、軽量ボルスタレス台車、界磁添加励磁制御、全電気指令式空気ブレーキ等基本システムは205系と同様で、新たに速度40km/h以上で抑速ブレーキ制御が行なわれるようになった。主電動機も205系と同じMT61であるが、歯数比を6.07から5..19に変更している。
ユニット当りの力行性能向上によって1 トン当りの引張力は211系6M9Tで速度40km/hまでは113・115系8M7Tを上回っており、2M3T
の編成で25‰までの線区でそれまでの運転時分が確保できる。電動車比率を下げることによって新製価格、保守コストを下げるとともに、編成としての重量も軽くすることができ、動力費の節減にも寄与した。
最高速度110km/h。 起動加速度 2.0km/h/s(定員)、常用減速度 3.0km/h/s。
・205系通勤形電車
昭和60年3月から最初の4編成40両(10両固定編成:6M4T)が山手線に登場、その後、山手線52編成全て、東海道・山陽本線(京阪神緩行線)、埼京線、南武線、横浜線、京浜東北線、中央・総武緩行線にも順次投入され首都圏通勤電車の顔となったが、山手線の205系は平成14年4月21日から幅広タイプのE231系500番台が順次投入されたため平成17年4月17日限りで運用を終了し、発生した車両は必要に応じ短編成化、改造を受け、他線区の103系置換え等のため大規模な転配属が行なわれた。
国鉄は昭和58年頃111系等近郊形電車の後継車として安価で省力化、省エネルギーが図れる新近郊形電車に採用する回生ブレーキ付界磁制御方式と軽量ボルスタレス台車の試作試験を実施し、良好な成果を収めていた。
一方、横浜線と武蔵野線の輸送力増強用に山手線に新車を投入、捻出された103系を充当することになり、経営の厳しい国鉄の車両新製価格等コスト低減を推進するため、投入の一段落した201系電車を全体的に見直しし、新たな通勤電車を開発することになった。
中央線に投入した電機子チョッパ制御の201系電車は回生ブレーキによる省エネルギー効果は大きかったが性能、機能向上に伴う車両新製費高が問題になったため、より低価格で、かつ、電力回生ブレーキ機能を有し、乗心地が良く、車両および軌道の保守費が節減できる電車という要求に応えて製作されたのが国鉄最後の通勤電車となった205系である。
国鉄として初めて軽量ボルスタレス台車、界磁添加励磁制御、回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ、電動ワイパーを採用し、更に省令を変更(特認)して自動ブレーキと手ブレーキの廃止(直通予備ブレーキ、手歯止め前提)、MM'間棒連結器の採用、A-A基準相当の不燃化等それ以降の通勤・近郊電車の基礎となった車両である。
車体は軽量化、保守費の低減等から無塗装の軽量ステンレス製で前面形状はSUS面にFRPの枠を貼り付けてイメージアップを図り、シンボルカラーとして線区毎のカラーフィルムを張った。戸袋窓、妻窓はコストダウンのため廃止された。
側窓は最初上窓下降下窓上昇のユニット窓だったが途中からバランサー付きの1枚下降窓に変更された。
車体寸法は長さ20m(連結面)、幅2,800mm、高さ3,670mm(屋根部)で、全ロングシート、1300mm幅両開き扉4箇所。重量はMM'のユニットで計67tと201系に比較して16tもの軽量化が図られ(編成で299tで60〜70t軽量化)、沿線の騒音・振動の低下が話題にもなった。
713系電車で採用された120kW直流直巻主電動機MT61を使用し、歯車比を6.07とし、弱め界磁は力行最弱で35%まで使用し、高速からの十分な回生ブレーキが可能で、低速では速度20km/h近くまで回生ブレーキを使用できる。車両重量軽減もあり201系以上の性能が得られた。
常用ブレーキは指令線3本+1本(80°相当)で0〜8段階の指令を行なう。付随車は多段膜板式中継弁により制御し、電動車はブレーキ受量器によりアナログ的に電気に変換し回生ブレーキ力を指令し、回生ブレーキカが不足する場合は、電空変換弁により空気ブレーキを制御する。非常ブレーキおよび列車分離等のために常時加圧の往復の電気引通し線を設け、分離の際は電磁弁が消磁し非常ブレーキが自動的にかかる。
最高速度100km/h。 起動加速度 2.5km/h/s、常用減速度 3.0km/h/s。
新たに採用された技術の主なものは次の2つである。
○界磁添加励磁制御システム

民鉄等では電機子チョッパ制御等が使用され、VVVF制御車の導入も一部で行なわれていたが、価格が安くて回生ブレーキの可能な電動発電機(MG)を電源とした界磁制御方式の界磁添加励磁制御システムが開発され使用された。
回路は右図のようになっており、力行時は分路接触器をOFFとし力行電流はバイパスダイオードを流れ、全界磁状態となって通常の抵抗+直並列制御を行なう。
並列最終段からの界磁制御領域ではF接触器が投入され、電機子電流の一部は誘導分路側に分流できるようになる。If=0の時、Isはほぼ20%界磁相当つまり電機子電流の80%が分流するような回路抵抗分布となっているが、F接触器の投入直後は全界磁の特性を維持するようなIf=Isになるように制御され、分路回路の電流は0となり全界磁の特性となる。
サイリスタの位相制御によりIfが減少するとIsが増加し始め、弱め界磁制御領域に入る。力行弱め界磁の回路のままで、添加励磁電流を強めると、主電動機の誘起電圧が架線電圧より高くなり、電機子電流は分路側を逆に流れて回生プレー
キがかる。
○ボルスタレス台車
国鉄として始めての枕バリのない低横剛性空気ばねを用いたボルスタレス台車は、電動台車DT50、付随台車TR235形式で、けん引装置は遊間がなく前後左右の支持剛性の柔らかな積層ゴム式となっており、車体に取り付けた中心ピンを介して前後力が伝達される。軸箱支持方式は円錐積層ゴム式で、ペアリングは片ツバ式
密封円筒コロを用いて軸箱を含めて小形・軽量化が図られた。車輪は波打車輪で踏面形状は円弧踏面である。基礎ブレーキ方式は、M車は踏面片押式、T車は踏面併用のディスクブレーキで、ディスクは車輪中心に対し非対称に1枚付いている。
台車重量は201系のDT46と比較して1.5t、ばね下重量は0.5t(1台車)軽量化された。
・203系通勤形電車
昭和46年4月の常磐線複々線化(綾瀬-我孫子間)完成以来、営団地下鉄千代田線と相互直通運転の可能な常磐線緩行電車としては10両(8M42T)編成103系1000番台が使用されてきたが、緩行線の我孫子→取手延長に伴い増備が必要になり、昭和57年201系をベースに車体をアルミ合金にして軽量化を図った203系電車を投入した。
抵抗制御車の103系は営団の回生ブレーキ併用電機子チョッパ制御6000系と比較して発熱が大きく、使用電力量が大きいため、トンネル部の熱蓄積、電気代の差額負担の問題が生じていた。
その後、奈良線電化等で電車が必要になり、103系を捻出、充当し、203系が59年度に新たに70両が投入された。更に武蔵野線の101系の老朽取替えに伴い転用が行われ、残りの9編成90両が100番台として昭和60、61年度に投入され、必要な170両が全て203系に統一された。
車体は軽量化のためアルミ合金製で、空車重量はM車32.3t、M'車32.9tとなっている。寸法は国鉄通勤形電車標準の長さ20m、幅2.8mで扉は片側4扉だが、戸袋窓を廃止している。
台車は201と同じDT46だったが、100番台はから205系と同じDT50Aボルスタレス台車となった。
営団との相互乗入れ「申し合せ事項」では加速度(0〜32km/hまでの直線加速域)、減速度(ブレーキ初速度92〜0km/hまで)ともに3.0km/h/s以上を確保することになっていることから、主電動機は201と同じ150kWのMT60Aだが歯数比は14:85=1:6.07と大きくとり、加速度3.3km/h/s、減速度3.7(非常4.7)km/h/sとした。
最高速度100km/h。
・201系通勤形電車
昭和54年8月20日に中央線快速に試作車10両(6M4T)編成が営業を開始し、昭和56年から量産車が登場、主に101系の老朽取替えを目的に昭和60年に製造が終了するまで1,018両が製造された。車体
は鋼製で寸法は長さ20m(連結面)、幅2,800mm、高さ3,675mm(屋根部)で、空車重量M車41.7t、M'車41.5t。
国鉄の通勤電車として初めての電力回生ブレーキ付サイリスタ電機子チョッパ制御・弱界磁制御車。今では当たり前の空気バネ、冷房装置を標準装備した。
台車はDT46形(電動車)、TR234形(制御車・付随車)で、主電動機はMT60直流電動機(定格150kW
375V-445A)、中空軸平行カルダン撓み板継手、歯数比:15:84=1:5.6。
ブレーキ方式は応荷重装置付きSELR回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ。
最高速度100km/h。 起動加速度 2.4km/h/s、常用減速度 3.0km/h/s。
総武・中央線緩行や7両(4M3T)編成で関西地区東海道・山陽本線緩行等に広く活躍したが、平成10年以降の総武・中央線緩行への209、E231系、平成17年の関西地区に321系等の新車投入に伴い、転用等が行なわれ、平成18年12月には中央線快速、青梅線等にE233系の投入が決定し、
廃車が進むものと思われる。