32.東北・上越新幹線物語3/3(東北・上越新幹200系新幹線電車の技術と歴史)

1.200系新幹線電車とは

 昭和57年6月23日に東北新幹線(大宮−盛岡間)、同年11月15日に上越新幹線(大宮−新潟間)が最高速度210km/hで開業した。200系電車はこの東北・上越新幹線開業に合わせて投入された新幹線電車で、大宮暫定開業時には12両編成(全電動車)のE編成36編成432両が登場した。
200系電車  東海道新幹線の青のラインカラーに対しに雪解けの新芽のイメージの緑色のラインカラーを採用し、アルミ合金車体、機器を下から支えるボディマウント構造、寒冷地を走行するための耐寒耐雪構造、騒音対策を強化した3元バネ系PS201パンタグラフ、運転台にプラズマディスプレイによるモニター装置の搭載等に特徴がある。
 華々しく登場した200系新幹線電車であるが、当時、海外ではフランスTGVの260km/h運転開始やイギリスAPT、ドイツICE等の新幹線の最高速度を上回る車両開発がすすめられていたため、見劣りする最高速度210km/hの向上が大きな課題となった。
 200系電車でどこまで最高速度を向上できるかが議論になったが、ボディマウント構造により走行抵抗が設計時の想定より2割程度小さかったため、車両製造と並行して速度向上試験等を実施、ブレーキ力の強化や集電系騒音対策としての高圧母線引き通しによるパンタ半減化などの改良によって230〜240km/h運転実施の見通しがたち、昭和60年3月14日の上野開業時には新たに高速走行対応のF編成21編成252両が登場して東北新幹線「やまびこ」運用で240km/h運転を開始した。
 それ以降は編成としての新製は行われず、昭和62年3月に100系新幹線電車と同じ先頭形状を持つ先頭車4両、平成2年度には鋼製の2階建て付随車12両が製作され、営業用としては全部で700両製作された。
 他に、事業用として、925系電気軌道総合試験車として、2編成14両が製作されている。
 開業後、輸送需要に応じた編成長の変更、サービス向上に向けた多くの改造等を受けながら永く活躍してきたが、平成9年3月以降のE2系の投入、増備によって活躍の場が少なくなり、東北新幹線では最後は各停の「なすの」等で運用されていたが、平成22年度からのE5編成の導入もあって平成23年11月18日限りで定期運用が終了した。
 上越新幹線では、リニューアル改造されて最後まで残っていた10両編成のK編成11編成が平成18年以降でも「とき」上下16本、「たにがわ」同12本の合計28本で使用されていたが、東北新幹線へのE5編成の増備によるE2系の上越新幹線への転用に伴い減少し、平成25年3月16日ダイヤ改正の前日の15日で上越新幹線での定期運用も終了した。
 4月14日には団体臨時列車「さよなら200系」号が運転され、この日を持って200系電車は東北・上越新幹線開業から30年の歴史に幕を閉じた。

2.最初の200系電車の編成と技術

 最初に登場した12両編成の36編成(E編成)は、東北新幹線の速達タイプ「やまびこ」、各停タイプ「あおば」、上越新幹線の速達タイプ「あさひ」、各停タイプ「とき」に運用されたが、いずれも次図のような編成で、共通あった。

 なお、編成を構成する各車両の形式と主な車内設備は次表のとおり。

形式略号称号定員車内設備
215Ms特別中間電動車52乗務員室、和洋式便所、小便所、洗面所
221Mc普通制御電動車45(先頭車)運転室、業務用室、和式便所、小便所、洗面所
222M’c普通制御電動車(集電装置付)55(先頭車)運転室、業務用室
225M普通中間電動車80和式便所、小便所、洗面所
2254M普通中間電動車70乗務員室、事販準備室、和式便所、小便所、洗面所
226M’普通中間電動車(集電装置付)95 
237MB普通食堂中間電動車28(半室ビュフェ)業務用室、電話室、和洋式便所、小便所、洗面所


(1) 基本仕様
 東海道新幹線では米原付近の雪に悩まされたため、寒冷地を走行する200系では耐寒耐雪対策が強化され、床下機器を全てカバーしたボディマウント構造、排雪性能に優れたスノープラウ、主電動機冷却風取り入れ・雪分離の雪切り室、防雪カバーやヒーター等を採用した。これらの対策で重量が増加するため車体は軽量アルミ合金製とし、更に連続勾配、排雪走行にも対応するため主電動機の出力を0系185kWに比べ230kWに増強した。
 制御方式は直流電動機のサイリスタ連続位相制御であるが、粘着性能を向上させるために主変圧器の2次側分割を不等6分割としたバーニア制御方式とし、ブレーキ制御は粘着係数に沿って最大のブレーキ力を確保するようにμ(粘着係数)パターン制御を採用した。
 200系1、2次量産車の基本仕様は次表のとおりで、その後、12両編成から8〜16両編成に改造されたり、2階建てグリーン車・食堂車が導入されるなど編成の変化や使用実態に合わせた機器等の改良等が行なわれている。
電気方式交流25,000V 50Hz電圧変動範囲+20% −10% 短時間−20%
車両編成方式全電動車方式 M+M'の1ユニット方式
車体、ぎ装方式アルミ溶接構造 ボディマウント方式
1両当り重量軸重17トン 以下
主要寸法長さ25,000(先頭車25,150)mm 幅3,380mm 高さ3,975mm 床面高さ1,300mm パンタ折り畳み高さ4,490mm
編成定員1等:52名 2等:833名 合計:855名
最高速度 210km/h(連続定格速度167km/h) 後に240km/h
主変圧器TM202 外鉄形送油風冷シリコン油使用 1次:2,350KVA 2次:2,100KVA 3次:250KVA
主整流器RS202 サイリスタ混合ブリッジを用いたサイリスタバーニア連続位相制御方式 定格出力2,014kW 
主電動機MT201 強制通風式補極付き直流電動機 連続定格230kW(475V,530A,2200RPM)
台  車DT201 空気ばね2軸ボギー IS式軸箱支持ウイング式軸バネ(ダンパ付き)車輪径910mm 固定軸距2,500mm
基礎ブレーキ各車輪側ディスクブレーキ 空気−油圧変換(増圧シリンダー)
駆動装置可とう歯車付1段減速(WN)式 ギア比29:63=1:2.17
力行方式サイリスタ連続位相制御
ブレーキ方式SEA発電ブレーキ併用全電気指令空気ブレーキ 速度・粘着曲線(μパターン)に沿ったチョッパ連続制御
保安方式2周波ATC
サービス電源SC201静止形変換装置(補助トランス 補助整流装置 定電圧装置) :AC100V、DC100V 主変圧器3次:400V
空気調和装置AU82(天井準集中式) 冷房25,000kcal/h 暖房PTCサーミスタ25kW以上(1台)
汚物処理循環式汚物処理装置

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(2) 車体
構体 ア、ボディマウント構造
 軸重の許容値を東海道の16tから17tに増加させても、出力増大、寒雪害対策、環境対策等の新しい対策は全て重量増要素となったため、車体、機器等の軽量化が必要になった。
 車体は961、962形試作電車で採用したアルミニウム合金溶接構造の構体とし、側スカート部までを一体としたボディマウント構造とした。
 価格は高くなるが、0系の鋼製構体と比較して約20%の軽量化がされている。
 ボディマウント構造は、アルミ車体の剛性維持と雪害対策上の考慮から採用されたもので、床下機器を0系のように客室台枠から吊下げる方式ではなく、側構体両下端部間に機器取付はりを通し、その上に床下機器を乗せる方式であり、床下機器類を車体に包み込む形になる。
イ、空気調和装置取付
 屋根構造は0系の上屋根、下屋根方式から、側構体と一体の丸屋根方式とし、パンタグラフ、空気調和装装置取付部は低屋根方式としている。なお、空気調和装置も0系のヒートポンプ分散式ユニットクーラー、屋根開口部はめ込み式からサーミスタ併用準集中式ユニットクーラー、低屋根部据置き式に変更され、車体前後2ヶ所に取り付けられている。
ウ、スノープラウ
 前頭排障装置は重量バランスから鋼製溶接構造とし、その下面はレール面上150mmの高さで、レール面上200mm以上の高さにある車体下部を保護するようにしている。
 排障器にはわずかな雪なら排除できる程度のスノープラウが組み込まれており、その形状は鉄道技術研究所塩沢試験所(新潟県)塩沢雪害防止実験所での数多くの試験の結果から生み出したもので、排雪走行時軌道脇の貯雪溝に飛雪が集中して向うように計画してある。
エ、雪取装置
 空調用新鮮外気及び主電動機冷却風は車外から取入れるため、降雪地走行を考慮して、その中の雪の除去するためサイクロン式雪取装置を設けた。
 取付は,M系車1,2位車端4位出入台わき,M′系車し3,4位車端にそれぞれ機器室を設け、主電動機冷却用(各車l,4位)及び空調給気用(M系車2位,M′系車3位)の雪取装置を中に据付けてある。
雪取装置は、車側上部の外気取入れ口の風道に続く雪分離部のFRP製分離風道とエジェクタ及び電動送風機を組込んだアルミ製の箱体で構成してある。
 取入れられた外気は、分離風道を通過する間に雪が慣性力によって外周部に分離され、取入れ外気の一部により駆動されるエジェクタにより吸出され車側下部の吐出風道から車外に放出される。雪を除かれた取入れ外気は箱体に入り、一部をエジェクタ駆動用に使用、残りを主電動機冷却用又は空調用新鮮外気に使用する。
 主電動機冷却用の雪取装置には箱体内に電動送風機(45m3/mi)があり、主電動機冷却風は箱体下面からたわみ風道を通り車体床中風道を経て、主電動機に導かれる。
 空調新鮮外気用の雪取装置にも箱体内に電動送風機があり、新鮮外気は箱体上部に立上ってたわみ風道を通り、給気風道により屋根上の給気装置に導かれる。

(3) 台車
DT201  小山試験線で各種防音車輪による騒音比較試験を実施したハット形ブレーキディスクを持つDT9020形台車も候補に上がったが、車輪近傍では各々一定の効果が認められたものの、車両全体や軌道を含めた全体的な沿線に対する効果としてはほとんど差が見られなかったため、従来の普通車輪を使用した962形試作電車のDT9019形台車に若干の改良を加えた新形式のDT201台車とした。
 基本構造は東海道新幹線で15年の安定した実績を持つDT200系と同じだが、強度、耐久性、軽量化の改良や寒冷・降雪地帯の走行や基地等での温水噴射による融雪等を考慮した寒雪害対策を施している。
 主に次のような耐寒耐雪対策を施している。
・雪が入り込んで凍結し動作不良とならないように、軸ばね覆い、側受保護防雪板、空気ばね周囲や台車・車体まくらばり間防雪カバーの取付
・歯車箱軸受押えふた及び軸箱後ぶたにオイルシールを追加するなどの防水対策
・従来の台車周りの配管類をできるだけ台車枠内に収めて、台車枠への着雪や飛石による配管・配線の損傷対策

(4) 車両電気システム及び機器
ア、パンタグラフ
 基本構造は、菱形下枠交差枠、バネ上昇・空気下降式、標準作用高さ+300、-200mmの動作範囲等東海道用0系のPS200Aパンタグラフと同じだが、離線率やアーク音低減のため主すり板部を可動式二重舟方式として架線追随性能を向上した3元系ばね機構を採用して集電性能を向上し、さらに、風切り音対策、電波障害対策、立上がり力の強化等の改良を行なったPS201形を使用している。
 3元ばねの構造は、小山試験線で2次に渡って試作試験を実施したPS9016〜PS9020形パンタグラフの試験結果から、最も集電性能の優れたPS9020Cの微動すり板方式とした。微動すり板は図のようなU形を平らにした板バネで、舟体と可動舟間に設けすり板は可動舟に取付けている。万一の可動舟脱落防止のため、ピンを設けている。
 また、基礎試験とPS9015形パンタグラフでの走行試験の結果から、斜め管にフェライトコアを取付け、電波雑音を吸収させる電波障害防止対策を採用した。
 更に、積雪を考慮し、右図のように立ち上がり時の押上力を8kgと増加した。

イ、力行・ブレーキ制御方式
 東海道新幹線電車では、主変圧器2次側の低圧タップ切換器により電圧を制御し、主整流器によって直流変換をして直流電動機を駆動しているが、200系電車では雪による粘着力の低下を考慮し、連続制御による滑らかな加速を得るため、サイリスク・ダイオード混合ブリッジを使用したバーニャ位相制御方式とし、直流電圧を連続的に制御している。
 これにより空転の発生をおさえると共に、発生した場合には力行トルクを抑制し、再粘着後はトルクを正規に復帰する方式として再粘着特性を向上させている。
 電気ブレーキは発電ブレーキで、積雪時等の粘着を維持するため、サイリスクを使用したチョッパ制御装置によるバーニャチョッパ連続位相制御を行い、ブレーキ電流を滑らかに変化させる方式とした。
 このブレーキカについては、速度に対応した粘着特性が得られる粘着パターン(μパターン)に沿った制御を行っており、粘着限界内で最大限有効にブレーキカを使用する方式 としている。
 ブレーキ回路は2つの1車毎に独立した回路からなり、それそれの回路は4個直列の主電動機と直列に主抵抗器がある。この主抵抗器は8個に分割されていて、主制御装置より短絡・開放制御される抵抗部分、チョッパ制御装置により連続的に制御される抵抗部分及び常時使用されるダミー抵抗部分からなる。チョッパ制御装置はこの主抵抗器のRchと並列に接続されて、ブレーキ中に列車速度が順次低下すると主電動捜の発生電圧が低下し、これに伴う主回路電流の減少Rchチョッパ装置により非常に短い時間々隔で短縮・開放し、その短絡時間と開放時間の比を変えることにより主回路電流を指示された値に保つものである。電流の減少により開放時間が最小値になった場合はカム接触器を1個短縮して電流を増加し、チョッパ装置 は再び開放時間を大きくして制御を継続する。
 滑走が発生した場合には界磁短絡を行い、再粘着後はブレーキ電流を正規に復帰する方式とし、再粘着特性を向上させている。  空気ブレーキは、東海道新幹線電車の電磁直通ブレーキとは異なり、全電気指令による空気ブレーキを使用している。空気ブレーキについては
 (空気ブレーキカ)=(ブレーキ指令値)−(電気ブレーキカ)
という制御を行っており、電気ブレーキカの減少を空気ブレーキで補う方式のため電気・空気の切換が円滑である。


ウ、補助電源方式
 東海道新幹線電車の補助回路電源は、主変圧器3次巻線を直接電源とするAC220V、および無停電電源として電動発電機を用いたAC100Vと、更に整流装置で変換したDC100Vを使用している。
 200系電車では、電源装置の大きさ、重量、保守性等を考慮し、従来の電動発電機方式から静止形変換装置による方式とし、交流、直流電源をすべて静止形化した。すをわち、出力は主変圧器3次巻線からのAC400V、補助トランスのAC100V、定電圧トランスによるAC100V更に整流装置で変換したDC100Vとしている。

エ、保安対策
 ATC自動列車制御装置は、基本構成としては東海道新幹線電車のものと同様であるが、50Hz区間専用としたこと、東海道用26次車以降と同様、主信号と副信号の2種類のATC信号により制御する2周波方式を採用し、情報信頼度の向上を図ったこと、各回路の3重系化を行いシステム信頼度を向上させたこと、半導体部品等の信頼度を向上させたこと等、各部について改良が加えられた。
オ、無線方式
 無線方式は、従来の空間波方式から漏洩同軸ケーブルを使用したLCX方式を採用し、チャンネル数が大幅に増加している。なお、空間波方式も一部補助的に使用している。

カ、モニター装置
 モニタ装置は962形試作電車で初めて採用した装置であり、925形車両を経て更に情報量の増大、処理速度の向上等の改良が加えられた。
 装置は運転室内に配置されたマイクロコンピュータ利用のモニタ中央装置、各車配電盤のモニタ端末器、および運転台のプラズマディスプレイ表示器、操作スイッチならびに情報伝送回路からなっている。
 主な機能としては、列車の運転状況の表示、および各車の主要機器の動作状態の表示であり、これにより機器故障発生時の号車および故障内容が連転台で即時に把握でき、遠隔制御による開放処置と合わせて応急処置の簡易化、迅速化がはかられている。また検修時にはこの装置を利用して機器の動作試験を行う等の省力化をはかることができる。
 それまでは運転士が2人乗務し、1人は検査係の仕事をしていたが、この装置の導入によって開業時から懸案であった1人乗務が実現した。

3. 200系新幹線電車の編成等の変遷

(1) 新製時
 200系新幹線電車の営業用編成は、東北・上越新幹線の開業時期に合わせて、昭和54年度国鉄投資計画の2次債務予算による1次車4編成から昭和59年度債務による9次車2編成まで、合計57編成、684両製作された。
 大きく分けて、大宮暫定開業用に投入された1次車〜5次車の36編成(E編成)432両と東北新幹線「やまびこ」が240km/h運転を開始した昭和60年3月の上野開業用に増備された6次車〜9次車の21編成(F編成)252両である。
 高速走行対応の性能を持った第6次は最初E37 - E39編成1000番台で登場したが、完成時に既に後のF編成に準拠した性能を持たせており、すぐに最初のF編成であるF1 - F3編成に改名され、この先頭車は1000番台を与えられた。
 7〜9次車の先頭車は、利用者から批判の大きかった乗務員専用のスペースを無くして旅客定員を5名増加させた1500番台になった。このため、1000番台の先頭車は3編成分しかない。
 その他、国鉄末期の昭和61年度に10次車として東海道新幹線の100系電車に合わせたロングノーズ先頭車4両、JR移行後に2階建て付随車12両が製作された。
 製作次車ごとの主な変更点は次のとおりであり、昭和56年にはフランスTGVが260km/h運転を始めたこともあって、上野開業前には高速運転を目指した各種走行試験や準備工事等が施され、開業前に仙台工場で最終仕様に改造された。
 なお、平成3年6月20日に東京駅全線開業したが、増えた営業距離が短いこともあって車両数の増は行われていない。
 ○4次車 6編成
  ・電気ブレーキ仕様変更(主抵抗器容量増大)
 ○6次車 3編成
  ・230km/h程度まで速度向上できる車両構造、ATC235km/h受信対応準備工事、特高圧引き通し・パンタグラフ数削減準備工事等。 これ以降、1000番台。後に7次車以降と同様なF表記。
 ○7次車 11編成
  ・先頭車割り付け変更による定員増(5名)で、これ以降の先頭車は、1500番台。ATC240km/h受信対応準備工事、速度向上可能な編成に対してF表記等
 ○8次車 5編成
  ・上野240km/h開業に合わせたATC240km/h化、、特高圧引き通し・パンタグラフ数削減等
 ○9次車 2編成
  ・上野240km/h開業に合わせたATC240km/h化、、特高圧引き通し・パンタグラフ数削減等
 ○10次車
  ・東北新幹線の輸送力増強用として、東海道・山陽新幹線100系の先頭車と同様なロングノーズの先頭車4両

 次表に東北・上越新幹線車両新製の経緯を示す。

 ○詳細編成一覧は、 ここ をクリックしてください(別画面)。

(2) 大宮暫定開業(昭和57年6月23日:東北 11月15日:上越)
 昭和57年の大宮暫定開業時に最高速度210km/h対応のE編成と呼ばれた1〜5次車までの12両編成の36編成432両が東北・上越新幹線に最初に投入された。配属は、東北の仙台車両基地にE1、E4〜13、E15、E19、E21〜26、E28〜31、E35〜36の25編成、上越の新潟車両基地にE2〜3、E14、E16〜18、E20、E27、E32〜34の11編成であった。

(3) 上野開業(昭和60年3月14日)
 前述のように、高速化の要求が高まり、ATC速度段の変更、ブレーキ力の強化や騒音対策としての高圧母線引き通しによるパンタ半減化によって240km/h運転対応としたF編成と呼ばれた6次(1000番台)、7〜9(1500番台)次車までの12両編成の21編成252両が製作された。
 同時に、全「やまびこ」列車を240km/hで運転すると、新製の21編成では不足するため、大宮暫定開業で投入した5次車7編成(E30〜E36)を240km/h運転対応に改造して(F51,52、F61〜F63)対応した。
 上野開業は、東北にE編成7編成(E1、E4〜9)F編成20編成(F1、F4〜6、F9〜21、F63〜65)、上越にE編成22編(E2〜3、E10〜29)、F編成8編成(F2〜3、F7〜8、F51〜52、F61〜62)の57編成でスタートした。上越新幹線の240km/h運転はやや遅れて昭和63年3月13日から実施している。

(4) 上越新幹線の短編成化と編成数増
ア、各停タイプ「とき」10両化
 昭和60年10月の関越自動車道の開通の影響もあり、上越新幹線の乗車率は低下したが、240km/h運転等により需要の伸びていた東北新幹線「やまびこ」は混雑し、その対策が必要になった。
 余裕のあった上越新幹線から持ってくるとフリークエントサービスが低下して道路との競争が不利になるため、「とき」9編成を12→10両編成化してダイヤを確保しながら編成数を増やすこととし、抜き出した中間車と組み合わせて使用する先頭車が必要になるが、この時、東海道新幹線100系と同様な先頭形状を持つ221、222形2000番台の先頭車各2両が10次車として投入された。
 この車両のシートピッチは980mmから1,040mmに変更して3人掛け腰掛を回転可能化し、仕切り引戸を光電スイッチ検知開閉化するなどの100系の仕様と同じである。
 10両編成はG編成とされ、その作り方は、E10、20、21、22の4編成から3、4号車の1ユニット2両を抜き出し、その中の25形の2両を37形100番台と15形100番台に改造して中間車8両を確保、それに全検終了後のE28編成の両先頭車を組み込んで新たにG28編成が組成された。両先頭車が抜かれたE28編成には新製した先頭車が組み込まれて新たに12両編成のF58編成が組成された。組換え後は番号は変わらずE→G編成と変えられている。
 更に、E23、24、26、27、29の5編成から3、4号車の1ユニット2両を抜き出し、その中の25形の2両は37形100番台と15形100番台に改造して中間車10両を確保、それにF52編成の両先頭車を組み込んで新たにF66編成が組成された。両先頭車が抜かれたF52編成には新製した先頭車が組み込まれたが、番号は変わっていない。
 改造されたグリーン車は窓ピッチの変更等も行われており、既存の同形車と外見上同一で、37改造された中間車はビュッフェ部が100系と同じアコモに改善された。
 以上の組換えで、昭和62年4月からE編成は10編成が減、ロングノーズ先頭車4両を加えてG編成10編成とF編成2編成(G28純増、E28編成→F58編成、F66編成純増)となり、計2編成増加した。
 次に、E編成とG編成の違いを示す。

12両E編成
1号車
221
2号車
226
3号車
225
4号車
226
5号車
225
6号車
226
7号車
215
8号車
226
9号車
237
10号車
226
11号車
225
12号車
222

10両G編成「とき」
1号車
221
2号車
226
3号車
225
4号車
226
5号車2156号車
226
7号車237 8号車
226
9号車
225
10号車
222

イ、「とき」8両化
 各停タイプの「とき」は短編成にしたものの乗車効率が低いままだったので、昭和63年度から更に8両編成に短縮し、捻出車を活用して列車の増発を図り、高速道路に対抗することになった。
 具体的には先のG編成10編成から8両G編成8編成、12両F編成3編成(F40〜42)を作ることになり、12両編成についてみれば3本、東北・上越新幹線全体では1本の編成増となった。
 具体的な組換えは複雑なので省略するが、これに伴い不足する形式を補うため、中間車6両を改造して先頭車2両、グリーン車2両、ビュッフェ車2両を生み出し、221形式200番代、222形式200番代、215形式200番代、225形式450番代が誕生し、両先頭車は改造後12両編成に、215・225形式は8両編成の「とき」の5号車,7号車に組み込みまれた。
 8両編成「とき」は適正な輸送量とするためグリーン車を半室とし、ビュッフェを廃止して車阪準備室にすることとしたため、215形式200番代はグリーン席(24席)と普通席(28席)の合造車、225形式450番代は車イスで利用できる設備と車販準備室を持つ車両となり、新しいタイプの車両となった。

ウ、上越新幹線275km/h運転
 当時TGVは既に260km/hで営業運転を行っており、速度面で見劣りする新幹線は短い区間でもTGVの最高速度を上回る運転をすることとし、平成元年10月からF編成4編成をブレーキ力の向上、界磁制御の導入等の改造を行い、翌年3月のダイヤ改正からトンネル内のため環境問題も生じない大清水トンネルの下り勾配を利用して越後湯沢まで加速して「あさひ」2本だけだが275km/h運転を実施した。
 速度制御には地上信号を受けて読み替えるトランスポンダ方式を採用し、ATC装置の大改良していない。
 改造編成は他のF編成と区別するため、F90番台になり、F54→F90、F59→F91、F14→F92、F16→F93となった。
 しかし、TGVは平成元年9月には大西洋線で最高速度300km/h運転を世界で初めて開始しており、平成9年にJR西日本が500系「のぞみ」で300km/h運転を開始してやっと速度面で並ぶことができた。
エ、「あおば」8両化と「やまびこ」長編成化
○「あおば」8両化と「やまびこ」13両編成化
 東北新幹線の輸送量は順調に伸び、「やまびこ」はグリーン車から先に予約が埋まる状況となっていたたが、各停タイプの「あおば」の利用率は低迷していた。
 そのため、平成2年6月のダイヤ改正から「あおば」を8両編成にする一方、一部の「やまびこ」編成に輸送力増強とグリーン席増を狙って東北新幹線としては初めての2階建て車両を導入して13両化することになり、平成元年9月から組換え、改造工事等が行われた。
 「あおば」8両化は、E4、E7、E12、E13の4編成とE9の保留車Ms、MBから8両編成のG編成6編成(G40〜45)を組成した。
 「やまびこ」13両化は、鋼製2階建て付随車Tsd249形式を新製し、F編成(F43、F57、F52、F58、F42、F55)の7号車に組み込むことで行われたが、F43、F57の先頭車はロングノーズでなかったので先のE4のMとE9のM'各2両をロングノーズ先頭車改造して組込み、発生した先頭車は8両化で新たに誕生したG44、G45の先頭車に利用された。
 この組換えで、F43→H1、F57→H2、F52→H3、F58→H4、F42→H5、F55→H6となり、13両編成のH編成が6編成登場した。H6編成は登場時は旧先頭車だったが、後にE13のMM'がロングノーズ先頭車改造され置き換えられた。
 この2階建て車両は200系では初の鋼製車体で、2階部はオープンのグリーン席、1階は左右方向にグリーン個室と普通用のセミコンパートメントを配置し、100系とは違ったアコモデーションになっていた。
 台車は100系のようなECBブレーキを用いない全機械ブレーキとし、車輪ディスクブレーキのほかに車輪間に2組の特殊鍛鋼製ディスクブレーキを備えている。
○「あおば」8両化と「やまびこ」16両編成化
 東京駅全線開業の平成3年3月8日ダイヤ改正からは更に輸送力増強を図るために、H編成「やまびこ」を16両編成化することになったが、13両編成にもう1両の2階建て車両T'sd248形式を新製して組み入れるとともに、「あおば」3編成を8両化することによって生み出す車両を組み込んで16両編成とすることとした。
 具体的には、「あおば」E8、E18、E19編成の3・4号車MM'と8号車M'、11号車Mを抜出し、このMM'6ユニットを56号車に組み込むことで組成し、その結果、E8→G46、E18→G47、E19→G48となった。
 新しい2階建て車両の2階部はオープンのグリーン席、1階部は立食ながら食事ができるカフェテリアとした。
○グリーン車の位置変更
 12両編成の場合、真ん中の7号車にグリーン車が連結されていたが、9号車のビュフェを利用する旅客がグリーン車の通り抜けるため落ち着かないなどの問題があったため、平成3年6月20日の東京乗り入れに合わせ、平成3年5月7日以降F編成28本、E編成10本に対して11号車への組み替えが行われた。
 もともと9〜11号車がグリーン車だったH編成や5号車だったG編成はそのままだった。

13両編成「やまびこ」7号車は2階立て
1号車
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2号車
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3号車
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4号車
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5号車
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6号車
226
7号車
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8号車
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9号車
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10号車
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11号車
226
12号車
225
13号車
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16両編成「やまびこ」9、10号車は2階立て
1号車
221
2号車
226
3号車
225
4号車
226
5号車
225
6号車
226
7号車
225_4
8号車
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9号車
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10号車
248
11号車
215
12号車
226
13号車
225
14号車
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15号車
225
16号車
222

オ、山形新幹線「つばさ」併結用K編成の登場とH編成G車1両普通車化
 平成に入ると平成4年の山形国体に合わせ、福島-山形間の在来線の軌道を広軌に改軌して新幹線を直通運転する山形新幹線構想が具体化したが、山形新幹線区間は車体が大きい200系車両が入れないため、240km/h運転の新型車両を投入することが決まった。
 この車両が6両編成の400系「つばさ」(L編成)であるが、福島までは200系と併結運転することになり、そのために、仙台方先頭車に自動連結・解放装置を取り付けた8両編成のK編成が登場した。
 「つばさ」運転開始は平成4年7月1日からだったが、K編成化改造工事はかなり早くから行われ、平成2年12月18日には最初のK2編成が改造完了している。
 この時の改造・組替えは240km/h運転を行うため、F編成を種車に行われ、分割併合連結器付き先頭車への改造と、サービス設備見直しの9号車のMB237のビュフェ設備を撤去、車販準備室(k)と身障者対応設備(P)を新設して7号車に組み込むのMpk化改造(MB237→Mpk225)であった。
 併せて、H編成の11号車グリーン車は需要減とK編成のグリーン車が不足するためK編成に転用することとし、その位置に組込む車掌室(con)付きMcon車と13号車に組み込むMB→Mpk車改造も実施した。H編成へのMcon車組込で押出さたMs車6両のうち5両はK2、K3、K5、K7、K11編成に転用し、残りの1両は普通車の入っていたG45編成5号車に組込まれた。
 H編成の11号車Mcon組込、13号車Mp組込は平成4年7月13日に完了し、新在直通編成の改造・組み換えは最後のK3編成が7月1日のダイヤ改正をまたぎ、7月10日に完了した。
 K編成は、「あおば」用G編成によく似た編成内容だが、実際には「やまびこ」として走る区間で240km/h運転を行なうため、F編成からの改造車をメインにしており、残りは余剰による保留車を復帰させたもので構成され、F編成7編成から8両編成の、K1〜11の11本がデビューした。400系も、L1〜11の11本で、同数となったわけである。
 当初、7号車に237形ビュフェ車が入っている編成(K1、4、6、8〜10)もあったが、これらは順次、225形460・480・490番台(改造車だが、いづれも身障者トイレと車販準備室を持つ)に統一された(最終施工は平成5年4〜5月、K8、9編成)。
 「つばさ」運転開始当時、K編成は原則として、東京〜仙台間で「つばさ」併結の「やまびこ」だけの限定運用とされ、「つばさ」と無関係な盛岡方面行「やまびこ」とか、上越新幹線に入る運用は一切なかった。

カ、E編成のF編成化改造
平成4年10月〜平成5年9月にかけて、最高速度210km/hのE編成10本に対てし240km/h運転のF編成化改造を実施した。主な改造項目は、速度向上に伴う主抵抗器用送風機の容量アップとATCの240km/h改造、パンタグラフの特高圧引通し等であり、平成4年度は5編成(E3・E16,E2,E1,E14)、平成5度に5編成(E6,E15・E5,E11,E17)を施工し、E1,2,3,5,6,11,14,15,16,17はそれぞれF30から39まで順に編成番号が割り振られ、平成5年12月1日のダイヤ改正からE編成の運用は無くなった。

キ、秋田新幹線「こまち」併結用編成等改造
平成9年3月22日  新在直通山形新幹線に続いて、在来線の盛岡〜秋田間を秋田新幹線として整備することになった。
 秋田新幹線直通のE3系「こまち」11編成と併結する200系「やまびこ」の編成両数は、東北新幹線内の輸送力を確保するために10両編成とし、種車となる12両編成のF編成11編成を対象に、平成9年3月22日の秋田新幹線開業に向けて、平成6年6月から平成8年7月までの期間で9号車のMpK化改造(MB237→Mpk225)と盛岡方先頭車への自動分割併合装置の設置等の事前の準備工事が実施された。
 これに合わせて山形新幹線に併結する編成についても8両から10両への編成増強することが決定され、K編成10両化の組替工事は平成9年1月7日から3月26日までの期間で行われ、先に準備工事を終えたF編成11本と分割併合装置付きK編成(8両)11本(K1〜K11)を種車とし、F編成の7・8号車MM'を8両のK編成5・6号車に組込みそのグリーン車の位置を9号車に変更することでF編成12両の10両化およびK編成8両の10両化を実施した。
 その結果、元12両のF1,2,3,10,11,12,13,15,18,20,21編成はK40〜K51に、元8両のK1〜11編成はK21〜K31編成に名称変更された。
 この22本のK編成は「こまち」・「つばさ」両用併結編成とし共通運用で使用することで予備車の削減が図られている。
 k編成はその運用範囲から仙台総合車両所に集中配置し、これに伴い業務量の平準化を図るため仙台総合車両所のG編成8両×8本64両とF編成12両×20本240両を新潟新幹線第一運転所に配置変更した。

ク、長野新幹線区間乗入れ改造 F80編成
 平成9年10月1日に長野新幹線が開業し、新たに開発された北陸新幹線用E2系N編成13編成が投入されたが、平成10年2月の長野オリンピック用の臨時列車としてF17編成に長野新幹線区間乗入れ用改造が実施され、F80編成が誕生した。
 長野新幹線区間には、安中榛名〜軽井沢間の30‰連続急勾配や軽井沢〜佐久平間の50Hz/60Hz周波数変更区間などの線区条件に対応する改造を必要とすため、急勾配登・降坂対策としての主回路機器改造、排障器や腰掛の取替えによる軽量化、異周波対応のための電気機器新設等の改造が実施された。
 また、S1、S2電気軌道総合試験車編成にも長野新幹線区間乗入れ改造を行い、併せて保留で残していたG43編成4号車を種車として軌道検測車(T車)を1両改造転用した(改造後、M'226-63→T921-32)。  臨時輸送終了後は電源周波数切り替え装置が撤去されて通常の運用についたが、平成16年6月18日付けで廃車になっている。

ケ、リニューアル編成
 200系車両は昭和55年から60年にかけて集中的に製作された車両であり、老朽取替えが集中的に発生することになるが、取替両数の平準化を図るため、比較的経年の少ない編成を選定してリニューアル改造を実施し、延長使用することとした。
 平成8年8月25日〜平成9年1月14日に先行改造としてK47編成1本の改造を行い、平成11年3月29日から東北新幹線に営業列車として充当した。
 引続き、平成11年度はK25,K41,K48,K21の4編成、平成12年度はK49,K44,K26,K46の4編成、平成13年度はK51,K43,K42の3編成を施工し、4年間で合計12編成のリニューアル改造を実施した。
 改造の主な項目は、電子基盤の取替え、台車枠等の足回り装置の取替え、腐食対策や塗装更新、前面ガラスの曲面ガラス採用、車両保全対策と陳腐化した内装のリニューアルとして腰掛、床敷、荷札、カーテン等の室内アコモ改良である。
 平成16年10月23日には中越地震でK25編成が脱線し、平成17年3月25日付けで廃車されている。
 ニューアルK編成のDS-ATC搭載工事が完了するまで予備編成として最後まで残っていた従来形状のK31編成は、新潟県中越地震の発生による臨時運用に充当されたほか、上越新幹線での脱線事故で使用不能となったK25編成の代替として置き換えのE2系J69編成が落成するまでの間使用されたが、平成18年1月11日に廃車になっている。このK31編成10号車の222-35は埼玉県さいたま市大宮区の鉄道博物館に展示されている。
 平成19年5月9日にはK47編成がオリジナル塗装に復元され、通常の運用のほか開業記念等の記念列車としての運用についた。
 東北新幹線大宮駅以北では「やまびこ」上下4本、「なすの」同5本の合計9本で定期運用していたが、E5系の増備に伴い平成23年11月18日で終了し、最後となる平成24年度には新潟新幹線車両センターにK編成3本(K43・K47・K51編成)の計30両が所属し上越新幹線の「とき」・「たにがわ」で運用されていたが、平成25年3月16日ダイヤ改正で完全に引退した。

コ、新形式車両投入等による淘汰
 永く200系電車のみの活躍が続いた東北・上越新幹線に、平成6年7月15日から新幹線通勤を意識して着席定員を最大にした全2階建て12両編成のVVVF制御240km/h運転のE1系「Max」が投入された。
 平成8年度に増備された2編成の置き換えとしてG43、G47編成が捻出され、平成9年6月1日にG43編成226-61と225-453が最初に廃車、226-63は軌道試験車921-32に改造されて925-S1編成に組み込まれた。このG43、G47編成が廃車の最初である。
 平成8年度にはVVVF制御275km/h運転可能な「秋田新幹線用」のE3系と、それと併結する東北新幹線用と平成9年10月1日に新規開業する北陸新幹線用のE2系の量産先行車が登場し、翌平成9年度に量産投入されたE2系J編成は「こまち」併結K編成と置換えられ、捻出したK編成をG編成行路に充当したため、G編成が余剰になった。
 更に、平成9年度にはE1後継として8両編成にして分割・併合機能をもたせて機動性を増した全2階建て8両編成のE4系「Max」が登場し、主に「つばさ」併結K編成との置換えに使用したほか、E4系+E4系編成の仙台駅分併による輸送力調整に使用し、捻出したK編成はG編成行路に充当され、G編成の淘汰が進むことになる。
 平成9〜12年度には、E2系15編成、E4編成9編成の合計192両が投入され、G編成16編成全部(平成11年4月28日)、K編成3編成、F編成3編成の計206両が淘汰され、一気に減少した。
 なお、平成11年12月4日改正では「こまち」併結編成はすべてE2系に置換わり、全列車275km/h運転による到達時分短縮が行われたが、同時に、リニューアル改造されたK47,25,41の3編成が初めて上越新幹線の営業列車に投入されている。
 平成13年度以降も、平成14年12月1日八戸延伸開業対応、275km/h運転の拡大のためにE2系、E3系車両の集中投入が進められ、平成16年度までにE2系14編成とE2系8→10両化組込み用中間車M1M2の15ユニット、E3系6編成、E4系9編成の計250両を新造、F編成12編成、K編成7編成、H編成2編成と12両化でH編成から抜いた8両の計254両が廃車された。
 平成16年3月13日ダイヤ改正では東北新幹線「やまびこ」33編成のうち29編成が「はやて」タイプのE2系での運転となったが、この中には16両編成のH編成(定員1,235名)の定期行路へのE2系編成(10両)+E3系編成(6両)(合計定員1,152名)の置替えも含まれており、この改正でF編成とH編成は定期運用から姿を消した。
 H編成については予備1本も含めH1、H4〜6の4編成が当座残されたが、そのうちのH1、H6は平成16年度に廃車、H4、H5については当面の波動輸送力対応として12両編成にして使月期間を延長した。
 波動用のH編成は東北新幹線と上越新幹線両線で使用できるように付随車等を抜き、編成長を12両(定員948席)とした。短編成化はH4、H5編成の5,6,9,10号車MM'TsDT'sD×2の8両を廃車し、12両編成としている。組替改造は平成16年5月下旬〜7月中旬で行われ、編成名は変更せず、H4、H5として夏季輸送から使用した。その後、E2系、E3系の波動用車両の投入によって平成17年5月にはH4編成を、8月にH5編成を廃車してH編成は消滅した。

サ、K編成へのデジタルATC搭載
 平成14年末に開業した盛岡〜八戸間には初めてデジタルATC(DS−ATC)が採用され、既設の区間もアナログからデジタルATC化されることになり、地上更新工事拡大に伴う車両側準備工事として平成16〜平成17年度に200系リニューアル編成12編成にDS−ATC装置を搭載した。

シ、完全引退
 リニューアル改造されたK編成は、平成24年4月1日現在で新潟新幹線車両センターに8編成(K26,K41〜K44,K46,K47,K51)計80両が所属していたが、廃車が急速に進み、平成25年1月26日からは3編成2運用体制に移行、3月16日ダイヤ改正の前日までにすべての定期運用からはずされ、30年の歴史に幕を落とした。
 最後まで残った編成は、平成17年5月にオリジナル塗色に戻されたリニューアル第1号編成の元F13編成のK47編成、元F3編成のK43編成、200系電車の最終編成元F21編成のK51編成の3編成である。
 4月14日には団体臨時列車「さよなら200系」号が運転され、この日を持って200系電車は東北・上越新幹線開業から完全に姿を消す。個人的にも思い出に残る200系新幹線電車であり、その東北・上越地区に果たした役割の大きさ、活躍に感謝したい(涙)。

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