14.電動機 その種類、構造、定格、制御方法 温度上昇と線路勾配との関係は?

1.車両用の電動機

  電力を受けて回転運動などの動力を発生する機械を電動機といい、発電機は逆に動力を電気に変換するものです。
  電動機に供給する電力の方式によって、大きく直流機と交流機に分かれますが、当然、架線の電気方式とは無関係で、直流1500Vの区間を走る電車でも三相交流誘導電動機が使われています。逆に、交流25000Vの新幹線でも、0系〜200系、400系では直流電動機を使っていました。
  直流電車や交流電気機関車というような場合は、架線の電気方式のことです。
  直流電車で三相交流誘導電動機を使う場合はVVVFインバータで3相交流を作り電動機に供給します。交流電車が直流電動機をつかう場合は車両側で交流を直流に変換(整流)してから電動機に直流を供給しますが、新幹線700系のように交流電車が交流電動機を使う場合は、交流を直流に変換(整流)してから、さらにVVVFインバータで3相交流を作り電動機に供給するという複雑な手順になります。
  鉄道車両には長く直流電動機が使われていましたが、それは回転数(速度)、トルクの制御がしやすいからでした。鉄道車両は起動の時に大きなトルクが必要で、速度の変化に応じて広い範囲でそのトルクを制御する必要があるからです。
  三相誘導電動機は構造簡単で保守が容易、電力会社から供給される電力が交流であることなどからポンプ等多くの分野で使用されていましたが、電源周波数、極数で決まる同期速度から少し遅れた(すべり)速度で回転する性質のため、メリットは大きいものの広い範囲で回転数(速度)とトルクを制御する鉄道車両では使えませんでした。
  しかし、GTOサイリスタなどの高速・大容量のスイッチング素子が実用化されるに至り、直流から任意の電圧、周波数を取り出す電力変換装置(インバータ)によって誘導電動機に供給する電圧、周波数を自由に制御(VVVF:Variable Voltage Variable Frequency)することが可能となり、現在では特に断りがなければ誘導電動機が標準になっています。
  東京都営地下鉄大江戸線のようなリニア地下鉄では回転子を板状に地上に並べたリニア誘導電動機が、軌間可変電車のAタイプ台車には車輪と一体となった回転する磁気枠の界磁に永久磁石を使った同期電動機が使われています。

2.直流電動機と3相交流誘導電動機の比較

 永く使われてきた直流電動機と、最近の標準となっている誘導電動機を徹底的に比較して、なぜ誘導電動機に変わっていったのかを見てみたいと思います。

(1) 電動機の構造、出力と重量
  下図に新幹線で使われている両電動機の断面と重量をのせています。スケールはほぼ合わせてあるので大きさの比較はし易いと思います。
  図から判るとおり、同じ新幹線の電動機でも、誘導電動機の方が出力が大きいにも関わらず、重量は半分程度になっています。
  また、直流電動機には整流子という電機子に流れる電流の方向を一定に保つための部品が必要で、全体に大きめ(長め)です。更に、枠に固定されたカーボン製のブラシと回転する電機子の整流子間に電機子電流が流れるため、この部分の保守が大変で、整流不良等の発生もありました。誘導電動機では、このような部分がないため小形・大出力化が可能になりました。
  直流電動機の場合、新幹線のような大出力、高速回転の電動機を狭い台車に組み込むという寸法面からは出力は最大300kW程度が限界と言われており、JR東日本のE4系で使われている420kWというような大出力の電動機は誘導電動機で初めて実用化されたといえます。
  直流電動機で最大のものは、昭和48年に登場し、東北新幹線の小山試験線で319km/hという国鉄としての最高速度を達成した961形試作電車のMT920形電動機(連続定格:出力275kW、電圧700V、電流435A、速度205km/h、ギア:比2.4)でしょうか。
種別誘導電動機(300kW)脈流直巻補極付き自己通風式直流電動機(230kW)
断面
重量300kW 450kg230kW 830kg

(2) たわみ継手構造
  主電動機は、下図のように、一方の車輪と歯車装置と間に収めなければなりません。
  また、電動機は台車枠に固定されており、一方、電動機の軸とつながる小歯車軸は歯車装置の大歯車を通じて車軸に固定されており、車軸は軸ばね装置等によって台車に対して変位するので、相互に動く必要があります。
  その変位を吸収するためのものがたわみ式継手です。新幹線や標準軌在来線電車では、直流電動機の場合でも左右車輪間の間隔が広いため、電動機と直列に歯車形たわみ継手(WN継手)という可とう継手が使われています。
  一方、狭軌の在来線では大変狭いために、図のように直流電動機を中空軸構造とし、その中にトルクを伝達しながら相対変位も吸収する中空軸たわみ継手が使われていました。
  誘導電動機となってからは、狭軌台車でも特に長さ方向が小型化できたためWN継手が使われるようになっています。
種別誘導電動機直流電動機
断面

  歯車形たわみ継手は下の図のようになっており、左側が正位の状態、右側が変位状態で、軸側のアウターギアと円筒継ぎ手側のインナーギア間で変位を吸収します。
正位の状態変位状態

(3) 回転数
  直流電動機の場合、整流上の問題から、実用上の回転数は4500RPM程度と言われていました。この制限は、回転速度やギヤ比の選択に制限を与えることになり、高速・大出力電車の設計にとって大きな制約になります。誘導機の場合、軸受性能等総合的に判断されます。

(4) 電動機の定格
  定格はその機器の適正な使用法を示した数字です。
  定格出力とは、主電動機を使用と同じ冷却状態として、所定の電圧(定格電圧)、定格周波数(誘導機の場合)で連続運転したときの各部の温度上昇が許容値を超過せず、整流などが支障を来さない最大電機子軸出力をいい、この時の電流値を定格電流、回転数を定格回転数といいます。
  連続定格と1時間定格が使われており、国際規格では連続定格が基本となっているようですが、駅間が短く加・減速の激しい在来線では1時間定格が、高速連続運転の新幹線では連続定格が一般に使われています。連続定格に比べて1時間定格は約10%程度大きいそうです。定格には、出力、電圧、回転速度、周波数、力率などの指定値があり、これらは銘板に記載されています。
  電動機は短時間ならこの定格値を上回っても支障がなく、一方、電動機に流れる負荷電流は線路及び運転条件によって絶えず変わるので、運転計画の策定、電動機の設計に当たっては熱的に等価の連続電流を計算します。それが、RMS(Root Mean Square:自乗平均平方根)電流であり、下の式で計算します。
  運転条件として、駅間距離、縦断線形、運転時分、電車線電圧等を、車両条件として、列車重量、最高速度、加・減速度、走行抵抗、ギア比、車輪径、MT編成などを入力して、コンピュータによって運転線図、線区のRMS電流等を計算して諸条件を満足し、電力消費量の少ない経済的で信頼性の高い運転ができるように容量が決定されます。
ここで、i:電流の瞬時値t:時間T:全運転時分

  この式で計算して定格電流を上回らないように電動機の容量を決定し、また運転計画を立てます。車両が完成したら実際の電動機の温度上昇を測定して支障のないことを確認します。

3.電動機の原理

  回転機の原理は
  @磁束と導体の相対運動による起電力を利用する
    磁束密度をB(T:テスラ)、導体の長さをL(m)、磁束と直角に運動する導体の相対速度をV(m/s)とすると、導体に発生する起電力E(V)は
         E = B・L・V
          A磁界中の導体に電流が流れる時に働く相互作用を利用する
    磁束密度をB(T:テスラ)、電流をI(A)、電流の流れている導体の有効長をL(m)とすると、導体に働く力F(N)は
         F = B・L・I
という基本式を利用します。
 誘導電動機直流電動機(直巻補極付)
原理   金属の円盤上で磁石を手で回してやると、磁石から出ている磁束と円盤導体の間の相対運動により起電力が誘導され(フレミング右手の法則)、図のような渦電流が流れます。
  の電流と磁石の磁束とによって円盤は磁石の回転方向に力を受けて(フレミング左手の法則)回転します。
  このとき、磁石と円盤とは必ず速度差があり、これを“すべり”といいます。
 磁界内の導体に電流を流すと導体に力が働きます(フレミング左手の法則)。
 電機子のコイルに電流を流すと、この法則によって力が働き、電機子が回転します。そして常に同じ方向の回転力を与えるためには半回転毎にコイルに流れる電流の向きを変えてやる必要があります。
 この役目を持っているのが整流子です。
得失
  1. 回転数、トルク制御が難しい(VVVFインバータがなければ事実上実用化不可能)
  2. 整流子とブラシがないので信頼性が高く、保守軽減が可能
  3. 構造が単純で出力当たりの重量が小さい。
  1. 回転数、トルク制御が易しい
  2. 整流子が有るため、ブラシの保守、点検が必要。フラッシュオーバー等の故障がある。
  3. 最大回転数、電機子温度上昇等の制約が大きい。
  4. 構造が複雑で出力当たりの重量が大きい。
特性式 3相固定子巻き線によって自動的に回転する磁界を作ることができます。
ここで、
 V:インバータ出力電圧(電動機電源電圧)
 finv:インバータ周波数(電動機電源周波数)
 n:回転数
 Φ:磁束P:極数
 Im:回転子電流
 fs:すべり周波数
 T:トルク
 k:任意の定数
 とすると、誘導電動機の特性は、次の式で表される。
 n=120(finv−fs)/P
 Φ=k・V/finv・・・・(1)
 Im=k・Φ・fs・・・・・(2)
 T=k・Φ・Im・・・・・(3)
これらから、
 T=k・(V/finv2・fs・・・・(4)
 主電動機に端子電圧Etを与えると、界磁コイルと電機子に電流が流れます。界磁コイルによって磁束が生じ、この磁束と電機子電流によって回転します。
一方、この電流が磁束を切ることによって端子電圧とは反対方向の起電力(逆起電力)が発生します。
ここで、
 Et:電動機端子電圧
 Ec:電動機逆起電力
 I:電機子電流
 r:電機子の内部抵抗(小さい値)
 Φ:磁束
 n:回転数
 k:任意の定数
とすると、直流電動機の特性は、次の式で表されます。
 I=(Et−Ec)/r
 Φ=k・I(磁路の飽和がないとき。飽和するとほぼ一定)
 n=(Et−I・r)/(k・Φ)
 Ec=k・Φ・n=Et−I・r≒Et
 T=k・Φ・I
これらから、
 n=Et/(k・I)
 T=k・I2
回路概要  右図は、VVVFインバータ制御電動機の概念図で、インバータに使われるスイッチング素子はGTOサイリスタからより高速で廉価なIGBTになってきています。
  更に低損失化等の改良が進められています。
  右図は、直流直巻電動機の概念図で、電機子と界磁が直列になっています。並列になった分巻形等も使われています。
  電動機の電圧、電流制御には抵抗制御、直並列制御、チョッパ制御等が、界磁制御には界磁チョッパ、添加励磁制御等があります。

4.誘導電動機の制御

右図の特性曲線のように制御します。すべり率制御ですが、最近はベクトル制御が主流になっています。

@:定トルク領域
  直流電動機の限流地制御領域にあたり、誘導電動機ではトルクを一定にするために(4)式から、(V/finv)、fsを一定になるように定トルク定すべり周波数制御します。
  この、finv(電車の速度)に比例してVも同時に大きくするよう制御することからVVVF(VVVF:Variable Voltage Variable Frequency)制御とよばれ、直流電源を任意の周波数の交流電源に変換するPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)方式インバータ(一般に逆変換装置といい、直流を交流に変換します。交流を直流に変換するのを一般にコンバータ:順変換装置といっています。電力回生中は同じ機器が逆の立場になります。)が実用化されて初めて可能となりました。

A:定出力領域
  直流電動機の弱め界磁制御領域にあたり、誘導電動機ではVを一定としてfinvを大きくすると(1)式から(2)式のΦが小さくなりますが、fsをfinvに比例して大きくすると、電流Imは一定になります。電圧と電流が一定になるよう定電圧定電流制御を行うので出力も一定になります。

B:特性領域
  直流電動機の特性領域にあたり、V、fsを一定に保ち、finvを大きくしていくとTはfinvの2乗に反比例して減少して行きます。定電圧定すべり周波数制御領域です。
  @の範囲がVVVF制御でA、BがCVVF制御範囲ですが、インバータで制御することには変わりありません。
  誘導電動機の場合、ある周波数で回転させた場合、すべり周波数が変わるとトルクが大きく変わります。従って、電動機の回転周波数より少し高い周波数でインバータ出力電圧を定める方式でトルク制御をしていました(すべり周波数制御)。最近はCPUの32ビット化等により演算速度が高速になったため、 交流電動機の電流を直流電動機のように磁束成分とこれと直交する電流に分けて制御するベクトル制御方式が用いられるようになっています。応答速度が速いため、車輪の空転・再粘着制御等の高機能化、回生失効の低減等が実現し、今後の標準的な制御方式になります。

5.電動機性能と線路勾配

(1) 温度上昇と勾配
  電動機は電気を受けて回転しますが、導体の抵抗等により必ず損失が発生し、結果的に各部の温度を高めることになります。加速中だけでなく、ブレーキ時には発電ブレーキを使うために電動機には電気の流れる時間が長く、空気冷却を行いますが過大な温度上昇は電動機の焼損につながるため、温度管理は重要です。
  一般に、電気機器は絶縁材で保護されており、その絶縁材種別毎に最高許容温度が規定されており、Y種の90℃からC種の180℃をこえるまでの7種に分けられています。
  直流電動機の場合は電機子の温度上昇が最も問題で、一般に直流電動機で用いられていたF種絶縁の場合、最高許容温度は140℃です。
  電車の場合、起動・ブレーキを繰り替えす各停運転の方が電動機にとって熱的に厳しい条件であり、前項で述べたように新線計画では最高速度、線区の勾配、運行条件等を基にコンピュータシミュレーションなどで温度予測を行い、電動機容量の決定、線区の勾配等を決めています。
  車両性能(編成出力、MT編成、運転速度等)と勾配は相互に密接に関係するので、電動機の温度上昇だけでなく、勾配を下るときのブレーキ性能(回生及び機械ブレーキ)、故障車両を切り離して健全な車両だけで運転を継続するユニット解放運転、急勾配での再起動・加速、救援運転、異常時の特別な取扱等を総合的に判断して決められます。

(2) 新幹線の最急勾配
  最初に開業した東海道新幹線でも前記のような検討がなされ、下表の左のような勾配で建設されました。その後の線区でも最急勾配が15‰という点では変わりませんが、東海道新幹線の開業後、0系のMT200電動機が関ヶ原地区の連続勾配で熱的に厳しかったので、その後の山陽・東北・上越新幹線の建設計画では「但し、延長10km間平均勾配12‰以下」という部分が加わりました。上越新幹線の大清水トンネル内や青函トンネル内の勾配が12‰になっているのはこのためです。
最急勾配の比較
 東海道新幹線山陽・東北・上越新幹線
線路の急勾配15‰以下 15‰以下
但し、延長2.5km以内18‰以下
延長1km以内20‰以下
但し、延長10km間平均勾配12‰以下

  では、30‰連続急勾配のあるの北陸新幹線ではどう対処したのでしょうか。30‰というと、12両編成の場合で全長300mになりますから、前後の運転席で3階に相当する9mもの高低差があります。
  北陸新幹線の予定ルートの信越線横川−軽井沢間には最急勾配66.7‰という難所が長く続く碓氷峠があります。これを現在の安中榛名駅から15‰以下の勾配で登るとすると、軽井沢の駅は地下300mになってしまい、逆に、現在のような地上駅とするためには約20kmも迂回しなければなりません。
  そこで考えられたのが、30‰連続勾配案です。この勾配を採用すれば迂回することなく地平の軽井沢駅にすることができます。
  しかし、当時はサイリスタ制御の抵抗器+発電ブレーキ方式で直流電動機を持つ200系電車しかありませんでした。200系と同じような車両システムではこのような急勾配のある線区を最高速度260km/hで走りながら、かつ、この連続急勾配を上り下りすることは困難との判断から、新しい車両の開発計画が持ち上がりました。
  それが次世代の新幹線となる電力回生ブレーキ併用VVVFインバータ制御誘導電動機駆動方式の新幹線電車構想で、1984年から北陸新幹線を建設する鉄道公団と新幹線を運営する当時の国鉄の手で具体的な開発が始められ、更に国鉄の分割・民営化後も続けられ、この間GTOサイリスタの大容量化も進み、1988年に4,500V-2,500Aという当時最大容量だったGTOを使ったPWMコンバータやVVVFインバータの基本システムの開発が終了、実用化の目処が得られました。
  30‰を採用することで15‰で迂回するより実に20kmも距離が短縮され、工事費の大きな節約になりました。
  その成果は1990年春に登場したJR東海のスーパーひかり(300系)に生かされました。当然、後の北陸新幹線用E2系にも生かされました。
  この30‰という勾配は新しい車両を開発する北陸新幹線限定ということで、特認の扱いでしたが、300系が実用化されたこと、急勾配の採用が整備新幹線の建設費低減等に大きな効果があるということから、平成3年7月に新幹線鉄道構造規則に下表のような第3項が追加されました。
 新幹線鉄道構造規則
線路の勾配1線路の最急勾配は、15‰以下とする。
但し、延長2.5km以内18‰以下、延長1km以内20‰以下
2回送列車又は貨物列車のみを運転・・・(省略)
3地形上等のため前2項の規定によることが困難である区間における最急勾配は、前2項の規定にかかわらず、列車の動力発生装置、動力伝達装置、走行装置及びブレーキ装置の性能を考慮して1000分の35とすることができる。
4列車の停止区域及び・・(省略)・・最急勾配は・・・1000分の3とする。

  平成13年12月に新たに制定された「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」では、更に見直しが行われ、その第18条(こう配)の条文は次のようになっています。

  第十八条
  こう配は、車両の動力発生装置、ブレーキ装置の性能、運転速度等を考慮し、車両が起動し、所定の速度で連続して運転することができ、かつ、所定の距離で停止することができるものでなければならない。
2列車の停止区域のこう配は、車両の動力発生装置、ブレーキ装置の性能等を考慮し、列車の発着に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。
3車両の留置又は解結をする区域におけるこう配は、車両が転動するおそれのないものとしなければならない。ただし、車両の転動を防止する措置を講ずる場合は、この限りでない。

  この条文には具体的な数値はありませんが、新幹線の最急こう配については、[解釈基準]に次のように表現されています。この見直しは、新しく700系、E2系が登場したことから、ユニット解放を含むその性能を検討した結果です。

@列車の走行区域における最急こう配は、次のとおりとする。
 (ア) 1000分の25とする。
 (イ) 地形上等のため、前号によることが困難である区間においては、列車の動力発生装置、動力伝達装置、走行装置及びブレーキ装置の性能を考慮し、1000分の35とすることができる
A列車の停止区域における最急こう配は1000分の3とする。

  性能規定化に伴い「新幹線鉄道構造規則」は廃止されたので、これが今後の再急勾配になり、車両性能の向上によって東海道新幹線の15‰から25‰まで許容されることになりました。
  急勾配の多用は新幹線の特性である高速走行の制限や車両の出力の増大等を招くことから避けなければなりませんが、山岳地帯の多い日本では限定的に採用することで高速性を損なわず建設費の低減が可能となり、九州新幹線で一部に35‰が採用されています。

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