15.鉄道車両の形式と番号の付け方はどうなっている?

  鉄道車両には多くの種類がありますが、それぞれを識別、管理するために形式と番号が付けられています。
  JR、民鉄各社それぞれ独自の付け方をしていますが、最も車種の多い旧国鉄の例を見てみます。JR移行後も、JR四国を除いては同様な考え方で付けられています。

1. 法的な根拠

  言われなくても各車両を識別、管理するためには名前を付けることになると思いますが、法的にも根拠があります。
  旧国鉄では「日本国有鉄道構造規程」の中で標記方法が次のように定められていました。

第89条
 機関車には形式および番号を標記しなければならない。
第90条
 旅客車及び貨車には次に掲げる事項を標記しなければならない。但し特殊の車両にあってはこの限りでない
 1 国有鉄道の記号
 2 記号および番号
 3 自重および換算両数
 4 旅客車には等級(3等を除く)および旅客定員
 5 荷物車、郵便車および貨車には積載量

  昭和62年4月の国鉄改革後は、運輸省令の「普通鉄道構造規則」、「新幹線鉄道構造規則」にまとめられました。

普通鉄道
第二百十条(車両の表記)
 機関車には、記号番号を表記しなければならない。
2 旅客車及び貨物車には、次に掲げる事項を表記しなければならない。
 一 記号番号
 二 空車重量
 三 旅客定員及び最大積載量
3 特殊車には、空車重量を表記しなければならない。

新幹線
第六十九条(表記)
 車両には、次に掲げる事項を表記しなければならない。
 一 営業主体の名称又は記号
 二 形式及び番号
 三 自重
 四 旅客定員(旅客用電車に限る)
 五 積載量(貨物に限る)

  平成13年12月に制定された最も新しい国土交通省令「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」第82条(車両の表記)には、

 「車両には、車両の識別等ができるように必要な表記をしなければならない。」

としか書かれておらず、その解釈基準は次のとおりです。

[基本項目]
1 車両の表記は、以下のとおりとする。
 (1) 車両には、それぞれの車両の識別ができるよう記号番号等の表記をすること。
 (2) 貨物車には、最大積載量を表記すること。
[鋼索鉄道]
 2 基本項目によるほか、車両には、最大乗車人員及び最大積載量を表記すること。

2. 旧国鉄、JR関係(四国を除く)

(1) 蒸気機関車
  大別して、石炭や水を機関車本体後部に積んでいるタンク式と石炭と水を積む炭水車を機関車本体の後ろに連結したテンダ式があります。タンク式は、主に短距離用として使われました。
  最初は、4桁までの数字だけで形式と番号を表していました(タンク機が1〜4999、テンダ機が5000〜9999)。
  たとえば9600形というようにその形式の機関車の最初の番号で形式番号としていました。
  この場合、製造が進むと9699の次は9700になりますが、9700形のように既に別の形式がある場合には、19600と5桁にしています。
 [例]59612
  テンダ機関車の9600形式で、同一形式で512番目に製作された蒸気機関車です。
  昭和初期に称呼、称号方式が改正され、動軸数を表す英字1文字と方式を表す2桁の数字で形式を表し、その後に製造順に番号が付けられるようになりました。
第1の英字(動軸数)2桁の数字(用途)
 B:2軸
 C:3軸
 D:4軸
 E:5軸
 0〜49:タンク式機関車
50〜99:テンダ式機関車

 [例]C62 34
  動輪が3軸あるテンダ機関車のC62形式で、34番目に製作された蒸気機関車です。

(2) 電気機関車
  架線から供給を受ける電気の種類に応じて、直流専用、交流専用、どちらでも通して走行できる交直流兼用の3種類に分けられます。
  英字2文字と2桁の数字で形式を表し、英字の1文字目はElectricの頭文字Eのみを、2文字目は動軸数を表し、その後ろに電気方式と運転速度を表す2桁の数字で形式を表します。その後に製造順に番号が付けられます。
第1の英字第2の英字(動軸数)2桁の数字(電気方式と最高運転速度)
 E B:2軸
 D:4軸
 F:6軸
 H:8軸
10〜29:直流85km/h以下の速度で運転する車両
30〜49:交流・交直流
50〜69:直流85km/h以上の速度で運転する車両
70〜89:交流・交直流
90〜99:試作機 

 [例]EF65 112
  85km/h以上(EF65の最高速度は100又は110km/h)の速度で運転する6軸の直流専用電気機関車のEF65形式で、112番目に製作された電気機関車です。
  この系列は、やや流線をした国鉄最後の大出力、高速機関車となったEF66形式で最後になっています。
  112というのは、製造順に付けられるものですが、オリジナルとなるこの一般形とは基本仕様は同一でも一部仕様の異なる場合、新たに形式をおこさず、桁数を多く取り、「○○○番台」というように枝番で区別することがよくあります。
EF65形式でも、
 500番代
  20系の固定編成客車けん引用に新製したP形と、高速貨物列車けん引用のF形のグループがあります。
P形は501-512、527〜531が新製車で、535〜542は一般形のEF65-77〜84からの改造しました。110km/h運転時ブレーキカを増す増圧装置と電気指令装置、連絡電話などが設けられています。F形は513〜526、532〜534で高速貨物列車用の密着自動連結器、重連制御装置があり、ジャンパ栓等が異なっています。
1000番代
  PF形と称している客貸両用のグループで、ブルートレイン、高速貨物けん引用に新製されました。
客貸兼用のPF形として運用効率を上げるために新製されたもので、耐寒耐雪構造、貫通形車体の採用などにより使用線区を拡大していきました。1001〜1139が新製車です。
たとえば、交直流両用電気機関車EF81にも、オリジナル機と異なり、関門トンネル用に製作されたステンレス製の外板を持つ300番台などがあります。(下の3両ともEF81形式です)

(3) ディーゼル機関車
  英字2文字と2桁の数字で形式を表し、英字の1文字目はDieselの頭文字Dのみを、2文字目は動軸数を表し、その後ろに運転速度を表す2桁の数字で形式を表します。その後に製造順に番号が付けられます。
  ディーゼル機関車の場合、液体変速式と電気式に大きく区分されますが、これを形式では分けていません。
第1の英字第2の英字(動軸数)2桁の数字(電気方式と最高運転速度)
 DD:4軸
E:5軸
F:6軸
10〜4985km/h以下の速度で運転する車両
50〜8985km/h以上の速度で運転する車両
90〜99 

 [例]DD51 43
  85km/h以上(DD51の最高速度は95km/h)の速度で運転する4軸のディーゼル機関車のDD51形式で、43番目に製作された機関車です。
  DD51は最初SG(SteamGenerator:蒸気発生器で暖房用ボイラのこと)付きを基本として設計し(1〜53)、非重連だったものが途中から重連総括方式(500番代)に移行し、さらにSGの搭載を新製時より考慮していないもの(800番代)もできました。 しかし、SG付きの重連形の量産化が進み、その番号も799となったので次を1001とし番号を飛ばしました。 一方、800番台も899に達したため、1801から番号を付けています。
  枝番はその形式がどれだけ製造されるか判らないためこのようなことになることがありますが、この番号を見ただけでその詳細仕様を判断できる人はあまり居ないと思います。
次のような番号があります。
 SG有無車号 記事
非重連形1〜53  
重連形(総括制御装置付) 501〜799 1081〜SG準備工事車(587〜592)
801〜 1001〜SG塔載準備工事なし

(4)新幹線ディーゼル機関車
  東海道新幹線の開業当初は、架線切断につながるような事故の場合に営業列車を救援するための160km/h運転能力を持つ大形機関車や工事用に使う小形の機関車が準備されていました。
  現実は列車密度が高くなったため事故現場に近づけず、営業列車で救援するようになっていることから、大形は全て廃車になっています。
  3桁の数字で形式を表し、後にハイフン(-)を置いて、製造順に番号が付けられています。
  3桁の数字の第1位は事業用車を表す9、第2位の数字は新幹線用のディーゼル機関車を表わす1、第3位は1が大形、2が小形を表わしています。
 [例]912-2

(5) 客車
  2桁の数字で形式を表し、第1、第2の数字は下表のようなの意味を持っています。その後に製造順に番号が付けられています。
  客車の歴史は古く、今はないような客車も表には含まれていますが、名前を見ると戦後活躍した様子がしのばれます。地方都市でも電車化が進み、動力分散方式主体の日本では今後新規に製造されることは無いと思われます。
  客車の花形は何といっても寝台車ですが、これも新幹線の整備や航空機との競争で国鉄では24系25形(25形式)まで製造されて新製はありませんでした。JR東日本がバラエティに富む客室を持つ26形を1編成投入しましたが、今後の増備は不明です。
第1の数字歴史第2の数字
 1:軽量客車昭和30年、最初の軽量客車ナハ10形登場  0〜7 : 2軸ボギー車
 8、9 : 3軸ボギー車
 2:固定編成客車昭和33年、最初の20形特急用固定編成客車”あさかぜ”登場
 3〜5:一般型客車昭和2年、最初の鋼製客車オロ30形登場
 6:鋼体化客車昭和24〜31年に旧木造車を全数鋼体化改造
 7:戦災復旧客車 
 8:和式客車 
 9:特殊客車 

 [例]24系寝台特急
  固定編成の呼び方としては、このようになりますが、個々の客車を表す記号番号は、積車重量を1文字目とし、その後に用途を表す記号を付けます。

積車重量は、
記号積車重量(ボギー客車に限る。)
 22.5トン未満
 22.5トン以上27.5トン未満
 27.5トン以上32.5トン未満
 32.5トン以上37.5トン未満
 37.5トン以上42.5トン未満
 42.5トン以上47.5トン未満
 47.5トン以上

用途は
記号用途記事
 1等車  昔は3等級まであり、1等車がイ、2等車がロ、3等車がハでした。
 2等級に集約するとき、2等車を1等車に、3等車を2等車に改称しましたが、記号も変更すると経費がかかり混乱もするということから そのまま新1等車は旧2等車のロと、新2等車は旧3等車のハとしたものです。
 現在は、1、2等車とも言わなくなり、特別車(グリーン車)と普通車といっています。
 2等車
 寝台車
(1等:ロネ 2等:ハネ)
 食堂車
 郵便車
 荷物車
 職用車
 配給車
 暖房車
 救援車
です。
 「緩急車」という名称を有するものは末尾に「フ」を付け加えます。
 [例]オハネフ25 12 
のようになります。車掌室の付いた普通寝台客車です。形式の後ろの数字は製造順に番号が付けられます。

(6)電車
  最も一般的な車両で、架線から供給を受ける電気の種類に応じて、直流専用、交流専用、どちらでも通して走行できる交直流兼用の3種類に分けられます。
  主な用途からは、かつては
○特急形は冷房付で出入口が客室と仕切られて1カ所、高速運転に適した性能を持つ。
○急行形は出入口が客室と仕切られ、前後に計2カ所、座席はクロスシートで中高速運転に適した性能を持つ。
○近郊形は出入台仕切無しで客室に出入口が3つあり、座席はセミクロスシートで、都市近郊の運用に適した性能を持つ。
○通勤形は出入台仕切無しで、客室に出入口が4つあり、座席はロングシートで、駅間の短い都市内通勤輸送に適した高加速、高減速性能を持つ。
というふうに定義されていたものですが、急行形の新規製作はなくなり、設備面では通勤電車でも冷房、空気ばねを標準採用するなど、時代を反映したものになってきています。
  固定編成としての形式は3桁の数字で表し、各数字の意味は次のとおりです。
第1の数字(電気方式)第2の数字(用途)第3の数字
 1〜3 : 直流
 4〜6 : 交直流
 7、8 : 交流
    9 : 試作のもの
 0〜2 : 通勤及び近郊形
 5〜7 : 急行形
    8 : 特急形
形式の登場順に奇数番号を割り当てます。

 [例]485系
  交直流兼用の特急電車で、5は5番目に登場したということではなく、固定編成の形式については奇数番号を割り当てるということから、481系、483系、485系と、3形式目ということになります。481、483はそれぞれ60Hz、50Hz専用交直流特急電車で、3代目で両周波数対応になりました。
  各車両の記号は、客車の記号のような重量別ではなく、中間電動車、制御(運転台があるという意味)電動車クモ、制御車、付随車という車両構造とロ、ハという等級を表すカタカナの組合せと3桁の形式数字を付けます。 次にハイフン(-)をおいて、その後は製造順に番号が付けられます。
  [例]モハ485-21
のようになります。
  485系というのは固定編成電車の代表形式であり、モハが電動車の普通車を表し、485が形式名です。編成中にはモハ485とセットになった電動車の普通車モハ484、先頭車の制御普通車クハ481、 グリーン付随車サロ481などがあります。制御車や付随車は電動車と違って周波数と関係がないので最初の形式の481を使っています。
  電車の場合、制御装置を片方の電動車に集約した電動車2両1ユニットで機能を発揮する方式(MM’方式)を使うのが普通だったので、制御装置を持つ電動車Mに形式名と同じ奇数番号を、持たない電動車M’にそれから1を引いた偶数番号が付けられています。

  1987年の国鉄民営化以降、各社が新形式電車を投入していますが、基本的には旧国鉄方式にならっています。
  しかし、JR東日本は、1993年、中央線に投入した新”あずさ”のE351系以降は、新幹線を含めて形式番号の前にEastのEを付けるようにしています。
  また、初期の特急を除いて急行用だった2桁目の5、7についても、急行用の新製が無いためか特急にも使われるようになってきました。

(7) 新幹線
  3ケタの数字で用途や構造を表し、番号は3ケタ数字の後にハイフン(-)を置き、製造順に番号が付けられます。なお、営業用と事業用とでは表記方式が異なっています。
○営業用電車
第1の数字(形式)第2の数字(用途)第3の数字(構造)
 0〜7
 (但し0の場合は
 数字を付けない)
 1:特別車
 2:普通車
 3:食堂車及びその合造車
 4:2階建て特別車
 5:2階建て普通車
 6:2階建て食道車
 7:2階建て特別車(1階は普通車)
 1:制御電動車
 2:制御電動車(集電装置付)
 3:2階建て中間電動車、300系以降制御車
 4:2階建て中間電動車(集電装置付)、300系以降制御車
 5:中間電動車
 6:中間電動車(集電装置付)
 7:中間電動車
 8:中間付随車、500系は中間電動車
 9:中間付随車
(集電装置付)は、MM'方式の0〜200系までで、その後の編成では編成2パンタが標準となり、不定。

  [例] 200系 
  200系が固定編成の代表形式です。JR東海、西日本の700系まで順に付けられていますが、600系だけは欠番です。これは、JR東日本の全2階建て新幹線に付ける予定でしたが、JR東日本は新しい形式様式(最初にEを付ける)に移行しE1系となったため、幻の形式名となってしまいました。
  各車両の記号は、上の表に記載してあるような3ケタの数字で表し、3位と4位以下の数字の間にはハイフン(-)をおいて、第4位以下の数字は製造順に1から順につけています。
  [例]225-12
のようになります。
  200系新幹線電車の場合、最初は221形式:上野より先頭車、222形式:反上野より先頭車、225形式:中間電動車(M)、226形式:中間電動車(M')、215形式:グリーン車電動車、237形式:ビュッフェ車で構成されていました。
  300系以降MM'ユニット方式が崩れてからは特に第3の数字に各社独自の番号を付ける傾向にあります。
  ○事業用車
第1の数字第2の数字(用途)第3の数字
 9 1 : 機関車
 2 : 試験車
 3 : 工事用車
 4 : 特殊車
 5 : 試験電車
 6 : 試作電車
 形式の登場順に番号を割り当てます。
  912形ディーゼル機関車
  925形電気軌道総合試験車
  931形ホッパ車
  942形救援車
  951形試験電車
  962形試作電車
などがあります。
  試験車と試作車の違いは、試験車が新規技術開発用であるのに対して、試作車は営業用量産車とほぼ同じレベルまで完成させた車両で、 6両編成の962形試作電車は921形軌道検測車を中間に組み込み、電気軌道総合試験車(いわゆる、ドクターイエロー)に改造されました。 951形試験電車は試験終了後廃車になっています。

(8) 気動車
  主な用途からは、かつては
○特急形は冷房付で出入口が客室と仕切られて1カ所、高速運転に適した性能を持つ
○急行形は出入口が客室と仕切られ、前後に計2カ所、座席はクロスシートで中高速運転に適した性能を持つ
○一般形は出入台仕切無しで客室に出入口があり、座席はセミクロスシート
○通勤形出入台仕切無しで、客室に出入口が3つあり、座席はロングシートで、駅間の短い都市内通勤輸送に適した高加速、高減速性能を持つ
というものですが、急行形の新規製作はなくなり、設備面では通勤電車でも冷房、空気ばねを標準採用するなど、時代を反映したものになってきています。 形式は2または3桁の数字で表し、各数字の意味は次のとおりです。
○2桁の形式番号の系列
  最初、気動車の形式は2ケタの数字(10〜99)で構成されていました。
  第1と第2の数字で形式を表します。形式の後ろの数字は製造順に番号が付けられます。
  なお、第1の数字の意味は特に定義づけられていませんが次のとおりです。
第1の数字第2の数字
 1〜4 :液体式1台機関付(6〜9のものを除く)形式の登場順に番号を割り当てます。
   5 :液体式2台機関式(6〜9のものを除く)
 6、7 : 大馬力機関付
   8 : 特急形
   9 : 試作のもの

 [例]80系 特急形気動車
のようになります。
  キハ80系の180馬力DMH17Hエンジン2基に対して、より高性能な特急気動車が必要になり、500馬力のDML30HSEエンジン1基を搭載したキハ181系が昭和43年10月中央西線名古屋〜長野間特急「しなの」で登場以来、3桁の系列が生まれました。
○3桁の形式番号の系列
  3桁の各数字の意味は次のとおりです。
第1の数字(原動機)第2の数字(用途)第3の数字
 1、2 : ディーゼル機関
 3 : ガスタービン機関
 0〜2 : 通勤、一般形
 5〜7 : 急行形
   8 : 特急形
   9 : 試作のもの
形式の登場順に番号を割り当てます。

  番号の付け方は電車と同じで、3桁の数字の後に形式ごとに1から順に番号を付けます。
  記号は客車の記号の重量別のかわりに、ディーゼル制御車キク、ディーゼル動車キ、ディーゼル附随車キサ、ガスタービン動車キと表記します。
  [例]キハ183系 特急形気動車
  [例]キハ391系 ガスタービン動車:試験車で、エネルギーや騒音問題などから廃車になっている。

(9) 貨車
  形式記号は、構造または用途を表すカタカナ文字と、荷重トン数を表すカタカナ文字を組み合わせたものです。
  下表に示すような種類がありましたが、今はコンテナ車、タンク車、ホッパ車等を除いて見ることのできないものばかりです。しかし、石炭から活魚まで何でも輸送していたことが判ります。
<構造または用途を表すカタカナ記号>
分類構造・用途記号 具体的な用途又は構造
有ガイ貨車有ガイ車 鋼製又は木製で、木の内張りのあるもの
鉄側有ガイ車車体が鋼製で、木の内張りのないもの
鉄製有ガイ車全鋼製で、木の内張りのないもの
冷蔵車鮮魚等を運ぶ断熱構造の車体のもので、氷タンクを持つものとないものがある。
通風車野菜等を運ぶもので、車体の全周がスカシ張り
家畜車牛等を運ぶもので、側板をスカシ張りとし、つなぎ棒がある
豚積車豚を運ぶもので、2階式で、水タンクと付添人室がある
活魚車鮎、鯉等の活魚を運ぶもので、水タンクと循環装置が付いている
陶器車破損しやすい陶器類を運ぶもので、棚がある
タンク貨車タンク車 灯油等の液状貨物を運ぶもの
水運車断水、水不足、水質の悪い地区等に水を運ぶもの
無ガイ貨車無ガイ車 砂利、石炭等を運ぶもの
土運車建設工事用の砂利、採石用で、側の低い、手動で車体を傾斜できる構造のもの
長物車レール等の長尺の貨物を運ぶもの
大物車重量品やかさ高品を運ぶもの
車運車乗用車を運ぶもので、2階式になっている
コンテナ貨車コンテナ車 コンテナを運ぶもので、緊締装置が付いている
ホッパ貨車ホッパ車 穀物、石灰石等粉粒体を運ぶもので、底開き構造になっている。
石炭車石炭専用で、底開き構造になっている。
事業用貨車車掌車 列車運転に必要な車掌の乗務するもの
雪カキ車ラッセル、ロータリー、広幅、カキ寄せなどの除雪車
検重車貨物駅の重量測定装置が正確か検査するもの
試験車軌道や架線の状態、ブレーキ作用、けん引性能等を調べるもの
職用車軌道、電気工事用に用いるもの
工作車機械設備等を修理、製作するための設備を持ったもの
救援車常時救援用器材を積んでおき、事故発生時に現場に派遣するもの
操重車脱線等の事故時に復旧に当たるもので、クレーンを持つ
控車連絡船用可動渡り橋に機関車が乗らずにすむようにするためのもの

<荷重トン数を表すカタカナ記号>
標記荷重トン数記号
 13トン以下のものなし
 14トン〜16トン
 17トン〜19トン
 20トン〜24トン
 24トン以上

  形式は、80000形式など適当な空番を使用しています。番号は製造順に0から付けられます。
 [例]ワム80000形式 15トン積み有がい貨車
 [例]コキ50000形式 37トン積みコンテナ車
  従って、各車両の記号、番号は、
 [例] コキ51733
のようになります。

  JR貨物になってから登場した貨車は、電車などと同様に、2または3ケタの形式数字の後にハイフン(-)を置いて、その後に製造順に番号が付けられます。
  [例]コキ104-47 40.5トン積みコンテナ車
のようになります。

(10) 新幹線貨車
  工事用の車両が主で、3桁の数字で形式を表し、次にハイフン(-)を置き、その後に製造順に番号が付けられます。
  3桁数字の最初は9で、2桁目は3、3桁目の数字は用途により分類されます。
  [例] 931-64 バラスト運搬・敷設用ホッパ車

3.JR四国

  20世紀を間近に控え、平成元年にJR四国は2000系という日本最初の制御振子付き(ころ式)高性能気動車特急を投入しました。これ以降新製される車両については、旧国鉄の記号番号方式から離れ、独自の方式に移行しました。 全体の形式は4桁の数字で表し、各車の番号は民鉄のように数字のみで表示します。
動力別用途形式
 気動車 一般 1000系
 特急 8000系
 電車 近郊 6000系
 通勤 7000系
 特急 8000系

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