0. 鉄道車両にはどのような種類があるの?

1. 車両定義の変遷

  何気なく使っている車両という言葉ですが、ご存知のように色々な種類があります。定義を云々してもあまり意味がありませんが、現在までその定義は次のように変わってきました。

(1) 旧国鉄
  旧国鉄時代は「日本国有鉄道構造規程」の中に定義があり、

「機関車(車両の入れ換えに使用するため、原動機によりレールの上を移動することを目的とする重量10t以下の用具を除く)旅客車および貨車をいう。」

となっていました。

(2)旧構造規則
  昭和62年4月の国鉄分割・民営化以降は、「普通鉄道構造規則」、「新幹線鉄道構造規則」に集約され、次のようになりました。

○普通鉄道
  運輸省令の「普通鉄道構造規則」第2条(定義)第9項に、「車両は、機関車、旅客車、貨物車及び特殊車であって、鉄道事業の用に供するものをいう。」と定義され、それぞれは次のような内容です。
車両機関車 電気機関車、内燃機関車及び蒸気機関車をいう。
旅客車旅客電車、旅客内燃動車及び客車(専ら機関車によりけん引され、旅客の輸送の用に供するものをいう)をいう。
貨物車貨物電車、貨物内燃動車、貨車(専ら機関車によりけん引され、専ら貨物の輸送の用に供するものをいう)及び荷物車(専ら手荷物及び小荷物の輸送の用に供するものをいう)をいう。
特殊車除雪車、軌道試験車、電気試験車、事故救援車等特殊な構造又は設備を有するものをいう。

○新幹線
  運輸省令の「新幹線鉄道構造規則」第2条(用語の意味)第6項に車両が、第7項に準車両が定義されており、それぞれ次のような内容です。
車両機関車、旅客用電車、貨車及び特殊車(軌道試験車、レール探傷車、レール研削車、電気試験車及び事故救援車をいう。)をいう。
準車両モーターカー、マルティプル・タイタンパー、小型クレーン車その他線路を使用する車であって、車両以外のものをいう。


(3)新省令
  その後、技術基準の性能規程化の流れを受け、上記の各省令は廃止になり、平成13年12月25日制定された国土交通省令「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」第2条(定義)第12項では、

  「機関車、旅客車、貨物車及び特殊車(除雪車、軌道試験車、電気試験車、事故救援車その他特殊な構造又は設備を有するものをいう。)であって、鉄道事業の用に供するものをいう。」

となりました。
  普通鉄道は、旧「普通鉄道構造規則」では、上の表のようにそれぞれ細分化されていましたが、必要な場合には各分野の各解説に示すようになりました。
  また、新幹線は、旧「新幹線鉄道構造規則」に準車両(モーターカー、マルティプル・タイタンパー、小型クレーン車その他線路を使用する車であって、車両以外のものをいう。)が定義されていましたが、 使用実態が保守用機械に類し鉄道事業用に使用しないことから、準車両は廃止されました。

2.車両の種別一覧

  省令とは別に機能別に一覧表にまとめてみると、次のようになります。
大別中 別略号細  別記    事
機関車電気機関車EL直流電気機関車直流き電区間のみ走行できる機関車
交流電気機関車交流き電区間のみ走行できる機関車
交直流電気機関車直流、交流(50、60Hz又は両方)どちらも走行できる機関車
内燃機関車DL夜体式内燃機関車機関の出力を液体変速機を用いて駆動軸に伝える方式
電気式内燃機関車機関で発電機を回し、その電気出力で電車のように電動機を駆動する方式
蒸気機関車SLタンク機関車石炭や水を機関車本体後部に積んでいる機関車
テンダ機関車石炭と水を積む炭水車を機関車本体の後ろに連結した機関車
旅客車電車EC直流電車直流き電区間のみ走行できる。電動車、制御電動車、付随車で編成される
交流電車交流き電区間のみ走行できる。電動車、制御電動車、付随車で編成される
交直流電車交、直流区間どちらも走行できる。電動車、制御電動車、付随車で編成される
内燃動車DCディーゼル動車ディーゼル機関を用いた気動車。気動車、制御気動車、付随車で編成される
ガスタービン動車ガスタービンを用いた気動車。気動車、制御気動車、付随車で編成される
客車PC座席車通常の座席を持つ客車
寝台車寝台を持つ客車。個室や2段、3段寝台がある
貨物車電車  貨物を運ぶ電車
貨車FC有ガイ貨車屋根の付いた貨車
無ガイ貨車屋根のない貨車
コンテナ貨車コンテナを運ぶ専用の貨車
タンク貨車液体を運ぶ専用の貨車
ホッパ貨車粉粒体を運ぶ専用の貨車
荷物車  小荷物等を運ぶ車両
特殊車  除雪車、軌道試験車、電気試験車など

索引に戻る