12.バリアフリー法と鉄道車両の関係は?

1. バリアフリー法について

  平成12年11月15日から施行された通称「バリアフリー法」といっている法律は正式には「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」といいます。
  国は、移動円滑化の意義及び目標、公共交通事業者が講ずべき措置に関する基本的事項、市町村が作成する基本構想の指針を内容とする基本方針を策定し、それに基づき公共交通事業者、市町村等が一体となってバリアフリー化に取り組む内容になっています。
  公共交通事業者に対しては、鉄道駅等の旅客施設の新設・大改良、車両の新規導入の際、この法律に基づいて定められるバリアフリー基準への適合を義務付けるもので、既存の旅客施設・車両については努力義務としています。
  具体的な基準は省令の「移動円滑化のために必要な旅客施設及び車両等の構造及び設備に関する基準」に細かに規定されています。

2.車両関連の項目

  前記の通達の中で、車両及び車両に関係する駅ホームに関する条文を抜粋すると下のようになります。
  最近の車両ではこれらを先取りした形で既に実現しているようですが、車両とホームの段差の関係から「プラットホームと車両間に隙間又は段差があり車いす使用者が円滑に乗降できない場合は、円滑に乗降するための設備を1つ以上備えること」という点が今後新たに整備されるものになると思われます。

第三節 鉄道駅

(改札口)
第十八条  鉄道駅において移動円滑化された経路に改札口を設ける場合は、そのうち一以上は、有効幅が八十センチメートル以上でなければならない。

(プラットホーム)
第十九条  鉄道駅のプラットホームは、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
 一  プラットホームの縁端と鉄道車両の旅客用乗降口の床面の縁端との間隔は、鉄道車両の走行に支障を及ぼすおそれのない範囲において、できる限り小さいものであること。この場合において、構造上の理由により当該間隔が大きいときは、旅客に対しこれを警告するための設備を設けること。
 二  プラットホームと鉄道車両の旅客用乗降口の床面とは、できる限り平らであること。
 三  プラットホームの縁端と鉄道車両の旅客用乗降口の床面との隙間又は段差により車いす使用者の円滑な乗降に支障がある場合は、車いす使用者の乗降を円滑にするための設備が一以上備えられていること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
 四  排水のための横断こう配は、一パーセントが標準であること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
 五  床の表面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
 六  ホームドア、可動式ホームさく、点状ブロックその他の視覚障害者の転落を防止するための設備が設けられていること。
 七  プラットホームの線路側以外の端部には、旅客の転落を防止するためのさくが設けられていること。ただし、当該端部に階段が設置されている場合その他旅客が転落するおそれのない場合は、この限りでない。
 八   列車の接近を文字等により警告するための設備及び音声により警告するための設備が設けられていること。ただし、電気設備がない場合その他技術上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
 前項第四号及び第八号の規定は、ホームドア又は可動式ホームさくが設けられたプラットホームについては適用しない。

(車いす使用者用乗降口の案内)
第二十条  鉄道駅の適切な場所において、第三十一条第一項の規定により列車に設けられる車いすスペースに通ずる第三十条第三号の基準に適合した旅客用乗降口が停止するプラットホーム上の位置を表示しなければならない。ただし、当該プラットホーム上の位置が一定していない場合は、この限りでない。

第三章 車両等

第一節 鉄道車両

(適用範囲)
第二十九条  鉄道車両の構造及び設備については、この節の定めるところによる。

(旅客用乗降口)
第三十条  旅客用乗降口は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
 一  旅客用乗降口の床面の縁端とプラットホームの縁端との間隔は、鉄道車両の走行に支障を及ぼすおそれのない範囲において、できる限り小さいものであること。
 二  旅客用乗降口の床面とプラットホームとは、できる限り平らであること。
 三  旅客用乗降口のうち一列車ごとに一以上は、有効幅が八十センチメートル以上であること。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
 四  旅客用乗降口の床面は、滑りにくい仕上げがなされたものであること。
 五  旅客用乗降口の戸の開閉する側を音声により知らせる設備が設けられていること。
 六  車内の段の端部とその周囲の部分との色の明度の差が大きいこと等により、車内の段を容易に識別できるものであること。

(客室)
第三十一条  客室には、一列車ごとに一以上の車いすスペースを設けなければならない。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
2 通路及び客室内には、手すりを設けなければならない。
3 便所を設ける場合は、そのうち一列車ごとに一以上は、車いす使用者の円滑な利用に適した構造のものでなければならない。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
4 前条第三号の基準に適合する旅客用乗降口と第一項の規定により設けられる車いすスペースとの間の通路のうち一以上及び当該車いすスペースと前項の基準に適合する便所との間の通路のうち一以上の有効幅は、それぞれ八十センチメートル以上でなければならない。ただし、構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
5 客室には、次に停車する鉄道駅の駅名その他の当該鉄道車両の運行に関する情報を文字等により表示するための設備及び音声により提供するための設備を備えなければならない。

(車体)
第三十二条  鉄道車両の連結部(常時連結している部分に限る。)には、プラットホーム上の旅客の転落を防止するための設備を設けなければならない。ただし、プラットホームの設備等により旅客が転落するおそれのない場合は、この限りでない。
2 車体の側面に、鉄道車両の行き先及び種別を見やすいように表示しなければならない。ただし、行き先又は種別が明らかな場合は、この限りでない。

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